フィリピンと中国が互いに領有権を争う南シナ海のスカボロー礁で4月10日、中国漁船を拿捕しようとしたフィリピン船舶を中国の監視船が妨害して以降、両国の船舶がにらみ合いを続けています。
フィリピン当局によると現在、同海域には中国の監視船2隻と漁船10隻、フィリピン艦船2隻と漁船1隻がいるということです。(5/17 AFP⇒http://goo.gl/gXkpi)
この間、中国はフィリピンに対して激しい外交上の駆け引きを展開。中国旅行会社のフィリピン旅行の一時中止、バナナへの検疫強化など、経済的圧力を強化。フィリピンが提言した島嶼の領有権に関する国際司法裁判所への付託も一蹴しています。(4/18 人民網日⇒http://goo.gl/fH1vg)
にらみ合いから1ヶ月が経過した5月8日、中国共産党の機関紙・人民日報海外版は「我々はフィリピンに対抗する十分な手段を持っている」「各種の軍事的挑発に対する十分な準備を行う必要がある」と「最後通告」を掲載。
過去二度、人民日報がこうした「檄文」を掲載した直後に、中印国境紛争や中越戦争が勃発しているため、今回もフィリピンとの武力衝突は必至と見られています。(5/10 Record China「南シナ海問題で中国がフィリピンに最後通告、一触即発の事態に」⇒http://goo.gl/LyPp6)
この南シナ海での紛争は、決して「対岸の火事」と傍観することは出来ません。
中国共産党の公式機関紙である人民日報が「日本に水をあけられている中国海監の装備」と題し、フィリピンとの紛争を教訓に、更なる対日軍備強化を提唱しています。(4/19 人民網日本語版⇒http://goo.gl/stPgJ)
更に、東京都による尖閣諸島購入計画(参考:SAPIO6/6号「中国、東京都の尖閣購入計画に態度硬化させ軍艦等派遣も検討」⇒http://goo.gl/ER7LC)や「国連大陸棚限界委員会による沖ノ鳥島の認定」(参考:4/29 産経「沖ノ鳥島『支持せず』中国外務省が反論」⇒http://goo.gl/IxM7v)を受け、中国も態度を更に硬化させています。
実際に中国が尖閣諸島や沖縄に実力行使を行った場合、日本政府はどのように対処するつもりなのでしょうか?
憲法9条の束縛(「国の交戦権は、これを認めない」)によって、自衛隊には明確な交戦規定が設けられておらず、現状では日米同盟に頼らざるを得ない状況にあります。
しかし、米軍が沖縄から漸次的に撤退していく流れは必至です。今、日本が根本的に「自主防衛」に舵を切らなければ、尖閣諸島や沖縄は近々、危機的状況を迎えることになります。
既に中国では「中華民族琉球自治区」援助準備委員会設立の公告が喧伝されており、「琉球臨時政府」や「琉球独立憲法」を策定。中国の軍事力を背景に「琉球国」の独立を宣言するだけという見方もあります。(2011/3/13 産経「中国画策、沖縄を『琉球自治区』に、海軍機が尖閣接近」⇒http://goo.gl/fSGtS)
元警視庁捜査官の坂東忠信氏は「人民解放軍の中には、日本への侵攻計画を呼びかける高級幹部もいる。『琉球自治区』の動きは民間(の論調)を装っているが、今後、世界中の中華民族と連携して圧力をかけてくる可能性もある」と警告しています。(同上)
尖閣諸島、沖縄の危機が強まる中、今こそ、国民の「生命・財産・安心」を守るべく、憲法改正による防衛軍の創設を軸とした「自主防衛強化」への取り組みを開始すべきです。日本にとって今が最後の決断の時です。(文責・小川俊介)
[HRPニュースファイル278]中国の南シナ海侵攻と尖閣・沖縄の危機
5月 19th, 2012
本ブログの内容がメールマガジンでも読めます。(※無料です)
本ブログの内容がメールマガジンでも読めます。(※無料です)