金総書記死去の発表があった昨年12月19日の翌日、中国が北朝鮮に対する「食料と原油の大規模な緊急支援」を決めていたことが分かりました。規模は食糧50万トンと原油25万トンとのことです。(1/30 中央日報「中国、北朝鮮に大規模な食糧・原油支援」⇒http://p.tl/zS96)
中国の迅速な支援は「金正恩氏の新体制を安定させるため」と見られ、金総書記の死去後も「北朝鮮を引き続き支える」という中国政府の強い意思が伝わって来ます。
こうした食糧は正恩氏の体制固めに利用されています。実際、北朝鮮当局は旧正月に全国規模のコメ配給を行うと発表しています。北朝鮮が全国規模で配給を実施するのは7年ぶりであり、正恩氏の「善政」をPRする絶好の手段となります(1/19 Daily NK)。
国民が餓死するほど貧しい北朝鮮が「先軍政治」を堅持し、米国や韓国に強気の姿勢を崩していない理由も、これでよく分かります。「中国の支援」があるからです。
昨年、米朝両国は北朝鮮がウラン濃縮停止など、6カ国協議再開の前提条件に応じる代わりに、米国がビスケットなど「栄養食品」24万トンを支援することで合意しました。
しかし、正恩氏が引き継ぐと「穀物支援がなければウラン濃縮の臨時停止はない」と強硬姿勢に転じました。
これは金総書記死去直後に中国が食糧支援をいち早く決定したお陰で余裕ができ、米国に譲歩する必要がなくなったからだと推測されます。
今、北朝鮮では「故金日成の生誕100周年」にあたる4月15日の「太陽節」を盛大に祝う行事の準備を進めています。
正恩氏が権力継承の正統性を強調するには、深刻な食糧難を改善する他、国民の忠誠心を確かなものにして、祝賀ムードを盛り上げる必要があります。中国からの石油や食糧の援助は、さぞ祝賀ムードを「盛り上げる」ことに一役買うでしょう。
2010年に韓国の哨戒艦が魚雷攻撃で沈没した事件でも、世界が「北朝鮮による攻撃」だったことを認める中、中国だけは北朝鮮を擁護し続けました。それほど中国にとって、北朝鮮は「利用価値が高い国」なのです。
北朝鮮を「緩衝地帯」とすることで、中国は韓国や米国等の自由主義国と直に接する必要がなくなります。そのため、中国は北朝鮮に石油や食糧をせっせと支援し、「生かし続けている」のです。
しかし、『北朝鮮終わりの始まり』(大川隆法著、幸福実現党発行⇒http://p.tl/2kkX)の「金正恩守護霊の霊言」で明らかになったように、正恩氏は権力継承の正統性を示すことを急いでおり、蛮勇さが裏目に出ることが予想されます。
4月15日の「太陽節」などの節目において、今後も威嚇や権威づけのためのミサイル発射、核実験等が予想されます。
また、中国の支援があったとしても、「先軍政治」を継続し、全ての資源を軍や核ミサイル発射に投資し続けている限り、国民の飢餓や貧困は終わることはありません。
これが命を落とすリスクがあっても「脱北者」が後を絶たない理由です。北朝鮮の国民の多くは苦しんでいます。
1月23日の朝鮮中央通信は、食料を支給された国民は「ありがたさにかられて目頭が熱くなり、限りない愛と恩情に必ず報いる誓いを立てた」とPRしています。
しかし、これは裏を返せば、僅かな食料の支給で歓喜するほど、北朝鮮の国民は「飢えている」ことを意味します。
こうした事態を打開するために、最も重要なのは日本の役割です。日本は、かつての宗主国として、権力継承基盤が十分ではない今年こそ、北朝鮮の「核武装解除」を実現し、南北に引き裂かれた民族の悲劇を終わりにすべきです。
そのためには、日本はアメリカ、韓国と組む姿勢を見せることです。三か国が固く結びつき、ロシアも巻き込むことができれば、一番危険な北朝鮮の「核の刀狩り」が可能になります。
しかし、日本がリーダーとなって「北朝鮮の悲劇」を終わらせるためには、今の野田政権ではとても無理です。野田政権は、他国を巻き込んで国際問題を解決していくだけの意欲も能力も微塵も感じられません。
日本の隣国で起ころうとしている未来を洞察し、北朝鮮の「終わりの始まり」に向け、「機を見るに敏」な実行力ある政権が必要です。
野田首相は先日、眼帯をしていましたが、私には「国民の方を見たくない」という潜在意識の表象にしか見えませんでした。
「増税反対」を主張する国民の姿も見ていなければ、世界も見ていない。見ている先は「財務省」だけ、という野田政権は日本とアジアの未来ためにも、即刻退陣して頂く必要があります。(文責・竜の口法子)
[HRPニュースファイル168]北朝鮮と中国の隠された“蜜月関係”――南北に引き裂かれた民族の悲劇を終わらせよ!
1月 30th, 2012
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