[HRPニュースファイル139]2012年、日本の分岐点―日本再建に向け、「富の分配」ではなく「富の創造」を!

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新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

野田首相は1月1日付で平成24年の「年頭所感」を発表しました。「社会保障制度の持続可能性を高める必要性」を指摘する一方、「歳出削減と、税収収入の確保」に全力で取り組むと方針を示しました。「力こぶを入れて取り組んでいく」そうです。

さて、昨年末から、消費税増税を巡る民主党内の攻防が激化し、9人が離党届を提出しましたが、今回、注目したいのは「所得税の最高税率を現状の40%から45%に引き上げる」案です。

見直しの理由は、経済格差の是正を図るための「所得再分配機能の回復」とされています。つまり、高額所得者からの税収を増やし、低所得者向けの社会保障サービスを充実させるということです。

しかし、これは大変、危険な見直し案です。人の何倍も働き、長年努力して来た高額所得者を狙った増税は「働く意欲を失わせる」ことに繋がります。社会主義国のように「努力が報われない社会」になります。

その結果、富裕層が、税金の安い香港やシンガポールに移る「資本逃避」が現実となり、一層、税収が下がることでしょう。

実際、米国で「富裕層に対する増税案」に賛成しているといわれる、富豪、著名投資家のウオーレン・バフェット氏も、シンガポールに移住しています。

「所得の少ない人ほど負担感が強くなる消費増税への理解を得るには、富裕層に負担を求める必要がある」として、最高税率の引き上げを指示した野田首相。野田首相の頭にあるのは「富の分配」ばかりです。

消費増税の不満を減らし、支持率や国民世論、選挙を考えての「迎合主義」と言わざるを得ません。

民主主義では、高額所得者も税金を納めていない者も同じ一票です。一万人に一人の富豪から税金をとって、一万人に分配すれば「一票が一万票に化ける」。政治家にとっては、抗しがたい誘惑なのでしょう。

しかし、これはマルクスが『共産党宣言』で打ち出した「強度の累進課税」と発想が同一です。

「強度の累進課税で、高額所得者から財産を取って分配する」――つまり、財産を全部、国家の方に持っていこうとする社会主義的発想が強く見られます。

政府税制調査会が30日にまとめた税制抜本改革案には相続税の最高税率5%引き上げも明記されています。改正が行われれば、相続税の対象になる人が全国民の4.2%から6~7%まで増えると試算されています(ニッセイ基礎研究所調査)。

ここにも、マルクス『共産党宣言』(「相続権の全面廃止」)の強い影響が見られます。

現在、所得税と個人住民税を合わせた個人所得課税の最高税率は50%です。税と所得を折半する「五公五民」となっていますが、最高税率引き上げが実現すれば、高額所得者は課税所得の過半を税で納めることになります。

働いても、働いても、半分以上を税で取り上げる仕組みは、国家による「合法的な略奪」であり、憲法18条の「奴隷的拘束の禁止」に明らかに違反する行為です。

野田増税内閣が突き進んでいるのは、まさしくハイエクが言う「隷属への道」そのものであります。

ハイエクは、たとえ、「共産主義」であろうが、「ファシズム」であろうが、「福祉国家」であろうが、「富の分配」であろうが、その「目的」に関わらず、私有財産を中央集権的に管理統制する「集産主義(collectivism)」という「手段」は同一で、その「手段」こそが「暴政」と「貧困」という、「隷属への道」を生み出すことを指摘しています。

「社会保障と税の一体改革」が「国家社会主義への道」であることを指摘しているのは、幸福実現党だけです。
※詳細は1月18日、幸福実現党より緊急発刊される『国家社会主義への警鐘~増税から始まる日本の危機~』(大川隆法名誉総裁とついき秀学党首との公開対談)をご覧ください。⇒http://p.tl/C9UO

松下政経塾で無税国家を学んだはずの野田首相は、「無税国家」を目指した松下幸之助氏の理想とは見事に真逆に進んでいます。

2012年、「税収収入の確保に力こぶを入れて取り組んでいく」のなら、日本を豊かにするための、「富の創造者」の輩出に努力すべきです。

あの、「岩崎弥太郎」を100人輩出する!」という目標でも立てたらいかがでしょうか。

「富の分配」ではなく、「富の創造」への努力こそ、「日本再生に歩み始める最初の年」となるはずです。

野田首相は、「増税に不退転」になるのではなく、「多くの雇用を生み、国富を増やしてくれる人こそ国の宝」と考え、「未来のリーダーを創る」ことに「不退転」であるべきです。

所得税の最高税率を上げていく考え方は、日本を豊かにしていく道とは反対方向に進む道です。

イギリスのサッチャー元首相は「お金持ちを貧乏にしても、貧乏な人はお金持ちになりません」と言い切り、労働党政権が続けてきた「福祉国家路線」を大きく転換。「自由な競争社会」に改革し、イギリスの国力を復活させました。

「世界中の成功者が住みたくなる国」「新しい成功者を続々と輩出する国」――幸福実現党は、そんな豊かで自由な日本にして参ります!(文責・竜の口法子)


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