12月9日、国家公務員の冬のボーナス(期末・勤勉手当)が支給されました。管理職を除く一般行政職の平均支給額は61.7万円で、前年より2.4万円(4.1%)増額となりました。
政府は東日本大震災の復興財源を生み出すため、ボーナスの一律1割カットを目指していましたが、与野党対立で関連法案の成立が間に合わなかったため、結果的に「ボーナス4.1%増額」という、国民にとって全く理解できない結果に至っています。
そもそも、人事院は9月30日、国家公務員一般職給与を平均で年間0.23%、1.5万円引き下げるよう内閣と国会に勧告していました。
しかし、政府は人事院勧告を無視して、震災の復興財源確保のため、ボーナスの10%カットを含む、給与を平均7.8%引き下げる特例法案成立を優先させる判断をしました。
特例法案成立が成立しなかったのは、野党からの法案修正案に対して、民主党の最大の支持勢力である連合の意向を受けた労組系議員のドンである輿石東幹事長らが反対して「ゼロ回答」をしたため、与野党合意に至らなかったことが原因です。(12/3産経)
結局、官公労に支配された野田政権は、0.23%引き下げの人事院勧告を無視した上、給与を平均7.8%引き下げる特例法案も成立を断念。「ドジョウ戦略」で巧みに公務員ボーナス4.1%増額を成就しました。
世界的な不況と東日本大震災により、民間企業の今冬のボーナス額は前年比0.3%減の37.8万円(みずほ証券調べ)と、3年連続の減少となっています(11/2産経)。
民間のボーナス減少の理由について、みずほ証券は「東日本大震災直後に企業活動が制限された影響や政府の23年度補正予算の成立が遅れ、復興需要も遅れているため」としています。
政府の責任で不況が深刻化しているのに、公務員だけがボーナス増となり、国と地方の公務員のボーナス平均は76.5万円(みずほ証券調べ)で、民間平均37.8万円の2倍以上となり、「官民格差」は広がるばかりです。
日本は既に「官」のみが肥え、「民」がやせ衰えていく「国家社会主義」の兆候を示しています。
野田政権は、臨時国会の会期を延長せず、国家公務員の給与引き下げ法案の成立を断念すると共に、国会議員の定数削減などの懸案も全て先送りし、身を削ることなく、復興増税を成し遂げ、消費増税に突き進もうとしています。
国民は「まず国が身を削る」といった虚言を吐いて復興増税を成立させた政府の責任を追及すると共に、消費税増税を断固拒否すべきです。
また、幸福実現党は、景気の変動に連動して公務員の給与も上下する「公務員の景気連動型給与体系」を政策として掲げています。
これは民間の業績連動型給与と同様、給与や賞与の一定割合をGDP成長率、あるいは日経平均株価などと連動させる給与体系です。
これが実現すれば、行政コストの削減を実現すると共に、官僚達が「デフレ下の増税」といった愚劣な思考をやめ、景気向上、経済成長をもたらす政策を最優先で選択するインセンティブともなるでしょう。
不況や震災で国民が苦しんでいる時に「増税」して負荷をかけると共に、自分達だけは私腹を肥やしている「悪徳役人」は日本には要りません。(文責・黒川白雲)
[HRPニュースファイル123]国家公務員のボーナス4.1%増の欺瞞――公務員の給与を景気連動型にせよ!
12月 16th, 2011
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