尖閣諸島漁船衝突事件から間もなく1年を迎えようとしていた8月24日の早朝、尖閣諸島の周辺海域で中国の漁業監視船2隻が日本の領海に侵入したことは記憶に新しい。危機管理対応が鈍くなる政権移行期の政治空白を突かれた形です。
そして野田政権発足後も、中国は野田政権は「どうせ何も出来ないだろう」と見くびり、試すが如く、尖閣諸島に対するアプローチをエスカレートさせています。
昨日22日、中国の程永華駐日大使が都内で講演し、尖閣諸島は「もとより中国の領土で、中国の関係機関がいろいろと活動している」と演説。漁業監視船の活動は「正当だ」と力説しました。
その上で、程大使は「なるべく早い時期に野田総理大臣の訪中が実現することを望む」と述べています。
中国大使の発言は、野田首相がオバマ大統領と初会談し、「日米同盟が日本外交の基軸だ」と語った直後のタイミングであり、中国としては野田首相に踏み絵を迫る意図もあるのでしょう。
現在、野田首相の年内訪中に向けて具体的日程を調整中とのことですが、野田首相がこのまま中国大使の発言に何ら抗議もせず、訪中するのであれば、野田首相の訪中は「朝貢外交」そのものであります。
同じく22日の日中外相会談においても、中国の楊外相が沖縄県・尖閣諸島について「中国領土である」と主張しました。これに対して、玄葉外相が「歴史的にも国際法上も、わが国固有の領土であることは明確」と応酬したことは評価されます。
尖閣諸島は終戦直後に締結されたサンフランシスコ平和条約第3条に基づき、アメリカの施政下に置かれていましたが、71年の沖縄返還協定に基づき、施政権が日本に返還されています。
尖閣諸島が日本固有の領土であることは歴史的にも、国際法上も何ら疑いようのない事実であり、中国が尖閣諸島の領有を主張する正当性は歴史的にも、国際法的にも全くありません。
しかし、1968年に日本、中華民国、大韓民国の海洋専門家が国連アジア極東経済委員会(ECAFE)の協力の下に東シナ海一帯の海底を学術調査した結果、東シナ海の大陸棚に大量の石油資源が埋蔵されている可能性が指摘されると、中国は急に尖閣諸島の領有権を主張し始め、領有に向けて着々と行動を始めています。
日本が尖閣諸島の領有を主張するのであれば、中国と同じように具体的行動で「領有の意思」を示し、中国が抗議して来たら堂々と外交交渉するべきです。
中国大使が「中国の領土だ」と表現したことは、中国の尖閣諸島に対する「領土的野心」を剥き出しにしたことを意味します。当然、日本としては尖閣防衛を強化すべきです。
日本は尖閣諸島海域に海上保安庁の巡視船を進出させると共に、南西諸島の防衛強化に向けて、海上自衛隊の護衛艦を配備し、海保の巡視船と密接に連携させることも重要です。
尖閣諸島の領海パトロール・防衛強化は、中国の海洋覇権の動きを牽制する上でも大きな効果をもたらすでしょう。(文責・黒川白雲)
9/23[HRPニュースファイル038]【尖閣諸島防衛】日本政府は行動で「領有の意思」を示せ!
9月 23rd, 2011
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