◆円安で「値上げの春」到来
円安による原材料の輸入価格上昇などを受け、4月1日から電気料金、食用油など生活に密着したものの値上げが相次いでいます。
平均的な世帯のモデルでは、月あたりで東京電力が131円アップ。東京ガスが102円の値上がりとなります。
サラダ油、キャノーラ油などの食用油は、家庭用で1キログラムあたり30円以上の値上がりに。ツナ缶、小麦の値上がりも、円安による原材料費高騰が要因です。
トイレットペーパーやティッシュは、大手製紙会社の出荷価格が約15%上昇。自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料も2890円アップします。(3/30 夕刊フジ「『値上げの春』到来 円安で電気、ガス、食用油が値上げ」)
クリーニングには欠かせない溶剤などの石油製品が値上がりしたため、全国でクリーニング代の値上げも相次いでいます。
ガソリン価格は、現在は横ばいが続いていますが12週間連続で上がりました。このように製造業は円安によるコスト上昇に直面しています。
コスト上昇による値上げは「コストプッシュ型インフレ」と呼ばれ好ましくない「悪いインフレ」として分類されます。
特に日本は、原油、天然ガス、鉄鉱石、銅、小麦などの必需品の大半を輸入に頼っており、円安になると「コストプッシュ型インフレ」に直結しやすい環境にあります。
◆円安は景気回復をもたらすか?
日本のマスコミの多くは「円安になれば日本経済は復活する」と評しています。
確かに、円安効果で日本の輸出企業に急速に注文が増えており、輸出企業が活力を取り戻しつつあります。
実際、輸出企業の時価総額はトヨタ自動車が16兆9296億円と昨年11月14日(野田前首相による衆院解散表明時点)に比べて6兆円以上も増加。
東京証券取引所の第1部に上場し、時価総額が1兆円を突破している企業の数が、昨年11月14日から4カ月で約1.5倍に急増しています。(3/26 産経「時価総額1兆円突破企業が4カ月で1.5倍に アベノミクス効果」)
しかし、円安による景気回復効果は業種によって大きな差が見られます。
みずほ総合研究所の試算によると、2012年平均の円ドルレート79.8円が10%円安になった場合、「輸送機械」「電気機械」「一般機会」の三業種は大幅に利益が上昇するものの、輸入コスト増によって「石油製品」「飲食料品」「建設」等は利益が減少します。(4/6 週刊ダイヤモンド)
◆円安が「良いインフレ」をもたらすためには?
円安が日本経済全体の景気回復をもたらすためには、輸出企業の利益が設備投資や賃金上昇・消費拡大を通じて波及することが不可欠です。
同研究所のシニアエコノミストの前川亜由美氏は円安が景気回復に繋がるかは「(円安のメリットが)雇用の6~7割を占めている非製造業の中小企業に波及するかどうか」が鍵だと述べています。(同上)
第一生命経済研究所副主任エコノミストの鈴木将之氏は「まずは外需が引っ張る形で、それが内需に波及し、消費で後押しするという回転が起きるか否か」だと語っています。(同上)
すなわち、円安→輸出企業の利益増大→賃金上昇→投資・消費拡大→景気回復という「良いインフレ」の好循環に入るか、円安→輸入コストの増大→消費者・非製造業・中小企業の負担増、賃金は上がらず、という「悪いインフレ」に陥るかの分岐点にあるのです。
◆「悪いインフレ」を避けるためには、消費増税を中止せよ!
1997年の消費増税が「消費不況」をもたらしたように、来年2014年4月と2015年10月に予定されている消費税増税は、消費拡大・投資拡大の循環を断ち切る最大の障害となります。
実際、大和総研の試算によれば、消費税増税がなされれば、毎年3%ずつ賃金が上がっていかなければ、実質可処分所得が目減りします。(2/25 日経ビジネス)
同研究所の試算によれば、年収500万円の世帯の場合、2012年の実質可処分所得は423万円だったのが、消費税増税等により、2016年の実質可処分所得は391万円と32万円も減少し、3%以上の賃金上昇が無ければ、実質所得が減少する計算になります。(同上)
このまま消費税増税がなされれば、実質賃金上昇→消費拡大という好循環、「良いインフレ」が実現することは極めて困難になります。
幸福実現党の大川隆法総裁は3月17日、山口支部での法話『時代を変える信念の力』において、「2%程度の物価上昇で、消費税を上げたら、景気はすぐ落ちてしまいます。日本経済はマイナス成長に変わります。」と述べています。
「悪いインフレ」の増長を阻止し、「良いインフレ」を実現するべく、幸福実現党は参議院選において、「消費税増税の中止」を訴え、戦って参ります。(文責・加納有輝彦)
円安による「悪いインフレ」に陥らないためには消費増税を中止せよ![HRPニュースファイル595]
4月 2nd, 2013
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