教育委員会の改革・廃止議論――隠ぺい・偏向に満ちた教育行政を抜本改革せよ![HRPニュースファイル587]

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◆盛り上がる教育委員会の改革・廃止議論

教育委員会に関する議論が盛り上がっています。

自民党は、昨年末の衆院選公約で「教育委員会の責任体制の確立と教育行政の権限のあり方の検討」を打ち出しました。

安倍首相も、2月28日の施政方針演説で「現行の教育委員会制度について、責任体制を明確にすることを始め、抜本的な改革に向けた検討を進める」ことを宣言しています。

政府は22日に教育再生実行会議の4日目の会合を開き、「教育委員会制度の抜本的改革」について集中的に議論を行い、次回までに素案を内閣へ提出する予定です。

また、日本維新の会は、教育委員会制度を廃止するための関連法改正案を今国会に提出する方針です。(3/21 NHK「維新教育委廃止法案の骨子」)

同骨子によれば、教育行政の責任が国では政府に、地方では首長にあることを明確化。形骸化している教育委員会を廃止すると共に、学習指導要領や法令に則った教育が行われているかチェックする監査委員を自治体に置く、などとしています。

◆形骸化している教育委員会制度

そもそも、「教育委員会」とは、各自治体に標準5名で構成される行政委員会で、学校の組織・人事・教育課程など教育に関する広範囲の事務を管理・執行する機関です。

ただ、実際の業務処理においては「教育委員会事務局」と言われる公務員組織(広義の教育委員会)が運営しており、教育委員そのものは「名誉職のようなお飾り」になっているのが現状です。

実際、教育委員会では実質的な議論がなされず、事務局がまとめた案を追認する機関に過ぎないとの批判もなされています。

上述の改革・廃止論議は、こうした「形骸化した教育委員会」を抜本改革するためのものでしょう。

その背景には、いじめや体罰問題などにおいて、学校・教育委員会ぐるみの隠ぺい体質が問題視されたり、教育委員会と日教組等の組合との癒着、一部学閥による人事の独占等も問題点として指摘されています。

また、沖縄県八重山採択地区では、適正な手続きで選定された「育鵬社」の中学校公民教科書を、竹富町教育委員会が拒否し、「東京書籍」の教科書を配布していることが問題になっています。(参考:[HRPニュースファイル571]「【国境の島の反乱】竹富町教委に告ぐ――教科書採択の違法状態を是正せよ!」)

さらには、部活における体罰について、保護者から指摘されても教育委員会は学校と共に認めなかったにもかかわらず、マスコミが取り上げた途端、教委が体罰と認めたりと、教育委員会の透明性や公正・中立性の存在には大いに疑問があります。

◆教育委員会の抜本的改革を!

しかし、形骸化・名誉職化した教育委員会を廃止すれば、問題が解決するかと言えばそうではありません。

維新の会の案のように、教育委員会を廃止して、自治体の首長が教育委員会の機能を担う制度にすれば、自治体の首長が革新・リベラル系の場合、左翼教科書の採用や自虐史観教育が徹底されるなどの危険性も懸念されます。

「教育委員会制度が形骸化している」のであれば、いかに「教育委員会制度を充実させる」かを考えるのが筋です。

そのためには、肝心の実務をおこなっている事務局、広義の教育委員会そのものの抜本的改革が必要です。

また、「政治的中立性」の確保という点も議論の対象にすべきです。

実際、地方議会において議員が教育に関することを質問しても、首長は明確なことは答弁せず、教育長(教員委員会事務局の長)に任せることがほとんどです。「政治的中立」は、無責任体制の言い訳としか機能していないのは明らかです。

そもそも教育委員会は、戦後GHQが日本の思想的教育的骨抜き方針のために創設を指示して始まった経緯があり、現状は大学の教員養成課程、組合活動と連なって左翼的な思想に染まっていることが多い教員委員会(事務局)自体が「政治的中立」を損なっています。

実際、宮城県においては宮城教育大学出身者の学閥が県教委・市教委の主軸を握っているとされ、学校における人事・組織編制において現在も大きな影響力を有しています。

今後、生徒・保護者の立場にたった教育改革のためには、教育委員会事務局組織の再編成に加え、教育委員会・学校現場を含めた民間人材活用等の規制緩和によって、風通しのよい教育現場・教育行政を再構築すべきです。

また、学力テストの結果による定量的チェックなど含め、人事制度改革も含め、生徒・保護者にとって喜ばれる教育が行われるようにマネジメントできるガバナンスの構築も必要です。

風通しが悪く、周りから死角になるようなところに、ゴミはたまります。

狭義の教育委員会だけでなく、教育行政組織全体をまず透明にし、白日の下にさらす改革が隠ぺい・偏向といった不純物を一掃し、子供たちの未来を守るための抜本改革が必要であると考えます。(文責・宮城県本部第四選挙区支部長 村上 善昭)


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