TPP参加を「成長戦略」の柱に!――訪米中の安倍首相はTPP交渉参加を決断せよ![HRPニュースファイル557]

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◆安倍首相訪米の焦点となるTPP

安倍首相が2月21日に訪米。22日(日本時間23日未明)に行われる安倍首相とオバマ大統領の日米首脳会談に注目が集まっています。

安倍首相はTPP(環太平洋連携協定)交渉参加に意欲を示しており、その前提として関税撤廃の例外品目が容認されるとの感触を大統領から得られるかが焦点となっています。(2/22 時事「TPP、同盟強化を議論=日米首脳が初会談」)

日本のコメなど農業分野の重要品目を関税撤廃の例外として認める「感触」を米国から得られれば、安倍首相はTPP交渉への参加を判断する見通しです。(2/22 J-CAST「日米首脳会談がTPPのヤマ場 オバマ大統領の発言に注目」)

外務省と経済産業省は米国が関税撤廃の例外品目を認める可能性があり、TPP交渉に早期に参加すべきだとする立場ですが、農林水産省は米国がコメなどを例外品目として認める可能性は低いとみており、オバマ大統領の発言が注目されます。(同上)

◆今回がTPP交渉参加のラストチャンス――

2013年のTPP交渉は3月、5月、9月の開催が予定されていますが、TPP交渉に入るには全ての交渉参加国による承認が必要になります。

特に米国では議会の了承を得る必要があり、手続きに90日超かかります。(2/18 日経ビジネス「安倍首相、TPP交渉参加決断へ」)

そのため、仮に3月に参加表明した場合としても、日本が正式にTPP交渉の席に着けるのは9月からになります。

TPP交渉に参加する11カ国は2013年中の交渉妥結を目指しています。

交渉妥結後に参加表明してもTPPのルールづくりに参画できないため、日本にとっては、今が交渉参加を表明するラストチャンスだと言えます。

安倍首相はTPP交渉に参加する意向を固めているとも言われていますが、TPP交渉参加に反対する自民党議員で作る「TPP参加の即時撤回を求める会」(会員236人)は、日米首脳会談で交渉参加を表明しないよう求める決議を行っており、予断を許さない状況にあります。

◆TPP参加を「成長戦略」の柱に!

オリックスの宮内義彦会長は、日本が国際的に他国と同等の競争環境に身を置くことが日本の成長戦略に欠かせず、TPPに参加しない場合はアベノミクスの構想は崩れると指摘しています。(2/22 ロイター「TPP不参加ではアベノミクスは崩れる」)

実際、宮内会長が指摘しているように、今は金融緩和を行なっても、お金が日銀、銀行、国債の中でぐるぐる回っているだけで、株価は上がれども、インフレ効果、景気回復効果が出づらい経済環境にあるのは事実です。

日本経済がデフレ脱却、景気回復軌道に乗るためには、金融緩和だけでは足りず、金融緩和と同時に、安倍首相の言う「三本目の矢」、すなわち、「成長戦略」の実施が不可欠です。

TPPによって、世界成長の中核を担うアジアに、日本との自由貿易圏が誕生することは、輸出立国・日本にとっては市場が拡大することを意味し、工業製品、輸出産業の投資が拡大することは間違いありません。

「TPPによって、日本の農業が危機に追い込まれる」という不安も聞かれますが、TPP参加を機会に、日本の農業は腰を据えた「構造改革」に取り組むことで、むしろ飛躍のチャンスとなります。

農業の規制緩和、自由化を図ることで、意欲と能力の高い個人や企業が農業の担い手となり、農業分野に企業家精神を導入すれば、日本の農業は価格面においても、品質面においても国際競争力が高まり、日本の農業を輸出産業に転換することも可能です。

実際、1991年から牛肉の輸入自由化で海外から安い牛肉が入ってくると、牛肉の消費量は上がりましたが、経営努力と高い品質によって国内牛肉の生産量は横ばいです。

オレンジ、リンゴ、サクランボなど自由化された農産品の国内生産量も、卓越した経営努力によって大きくは減っていません。野菜も関税はたった3%ですが、競争に生き残っています。

日本の農産品の美味しさ、安全性は国際的にも高く評価されており、TPP参加を機に、農業の国際競争力の強化、農業の輸出産業化を図れば、農業を成長戦略の柱の一つにしていくことも可能です。

◆安倍首相は、幸福実現党の複合政策から学べ!

いずれにしても、大胆な金融緩和や財政政策は景気回復の刺激策、突破口にはなりますが、本質的には、民間企業の投資拡大や、GDPの約6割を占める個人消費が本格的に回復・増大しなければ、景気は回復しません。

そのためには、TPP参加、大胆な規制緩和(規制撤廃)、法人税半減、未来産業の創出等により企業の投資意欲を増大させると共に、消費増税を中止し、消費の拡大を図るべきです。

幸福実現党にはポリシー・ミックス(金融政策+財政政策+減税+未来産業創出)に基づく革新的な経済政策があります。安倍首相はTPP参加を決断すると共に、幸福実現党の経済政策を真摯に学ぶべきです。(文責・黒川白雲)


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