[HRPニュースファイル377]激しさを増す日韓外交戦――「どこまでなら大丈夫か」見極めた上で、堂々と主張しよう

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韓国・李明博大統領による竹島不法上陸に端を発した、日韓の外交戦が続いています。

日韓の対立は北朝鮮を利するのみであり、アメリカからも懸念の声が出ていますが、世論の人気取りを狙って反日に舵を切ってしまった以上、「引くに引けない」というのが、レームダックに陥った李明博政権側の本音なのではないでしょうか。

実際に韓国のマスメディアでは、チンピラの言いがかりとしか思えない、過激な論調が続いています。

例えば、22日付の朝鮮日報社説は次のように論じました。「日本の非常識な動きはまだある。ロンドン五輪でメダルを獲得した日本選手団の歓迎パレードが20日に東京都内で行われ、これには50万人が集まった。これも日本国内の雰囲気が民族主義的な方向に流れていることを示しており、それを誘導しているのは政治家たちだ」

わざわざ論じるまでもなく、この論説のおかしなところは、「そもそも民族主義をことさらに煽って人気取りをしているのはどこの国の政治家か」という点でしょう。

あるいは、「サッカーの代表選手が試合後に竹島領有を主張するプラカードを掲げ、スポーツに独りよがりな民族主義を持ち込んだのはそもそもどこの国か」という点も指摘しなければなりません。

こうした自国のことを棚にあげた意見が正しいかどうかは別として、このような「民族主義的で好戦的な日本」という虚像を描く論説が出回っているのは事実であり、それが李明博政権の外交政策をハイジャックするに至っています。

ポピュリストに陥った政権は、民意がもし仮に戦争を支持すればそちらに流されざるを得ず、国益を犠牲にして民意におもねった結果、国民全体が痛い目を見ることもあります。

日韓関係の齟齬はまだ軍事衝突のレベルまでは達していませんが、このまま収拾がつかなければ戦争もありえるという危ない橋を、李明博大統領渡っていると言えるでしょう。

ポピュリストに走る政治家が世論に迎合するあまり、戦争に突入するというリスクは日本も自覚しておかなければなりません。

野田政権は竹島問題の国際司法裁判所提訴を決め、首相自らが竹島は「不法占拠」と明言するなど、民主党政権とは思えない踏み込んだ姿勢を取っています。

これまでの首脳会談での弱腰姿勢など反省される点はあるでしょうが、ここまでの竹島不法上陸事件の対応では、「やられてもやられっ放し」という、舐められた日本外交のイメージに一石を投じるための、ある程度の役割は果たしているのではないでしょうか。

一方で問題は、「いつまで韓国とやり合って、どう決着をつけるか」をきちんと考えているのかどうかという点でしょう。

大切なのは、「どこまでならやってもいいのか」「越えてはいけない一線はどこか」をしっかりとわかった上で、正々堂々と外交戦を行うことなのです。

まず日韓戦争を行うことは、日本の利益になりません。

日本が対峙していかなければならない大きな安全保障上の脅威は、まず東アジアの覇権を握ろうとする中国の軍事的な拡張であり、北朝鮮の核開発です。こうした安全保障上の問題に対処すべく、日米韓が協調するというのが、やはり自然な流れでしょう。

これには地政学的な側面もあります。日韓関係が致命的な決裂を迎えれば、韓国は「反日」を合言葉に北朝鮮と共同歩調を取ることが予想されます。

朝鮮半島という場所は歴史上、大陸の国(中国やロシア)と海の国(日本やアメリカ)が勢力圏を争うボーダーラインに位置しており、元寇などの国防の危機は、朝鮮半島全体が大陸国の影響下に入った時に訪れてきたという事実を忘れてはなりません。

あるいは、日韓基本条約を破棄して韓国との国交を断絶することも得策ではないでしょう。この条約で韓国は個人への賠償請求権を放棄したのですから、破棄すれば日本が「賠償問題は国際法上解決済みだ」と主張する根拠を失い、韓国側に付け入る隙を与えることになります。

また、いつか国交を再び回復する際に、韓国側が慰安婦問題などについての賠償を、国交正常化交渉の条件として吹っかけてくることは目に見えています。交渉すること自体が極めて困難になり、日本が取りうる選択肢を狭めることになってしまいます。

つまり、戦争や国交断絶という事態を招かないように、向こうの動きを冷静に見極めながら、正々堂々とこちらの意見を主張してゆくべきなのだと言えます。

対立を悪いものだと決めつけるのではなく、「日本にケンカを売っても何の得にもならない」ということを相手にわからせることも大事であり、「どの程度までケンカしていいのか」わかった上で、ケンカは賢くやらなければならないのです。

幸福実現党は一部の方から「右翼か」という誤解を受けることもありますが、その基本的な考え方は「守るべきものを守るために、言うべきことを言い、やるべきことをやる」ということなのです。

平和と国民の幸福を守るために、常に最善の選択をしようとしているという志を、どうかご理解いただければ幸いです。(文責・呉 亮錫)


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