◆厳格化された「新規制基準」
原子力規制委員会は10日、より厳格化された原発再稼働に向けた新規制基準の条文案を取りまとめました。
厳格化された新規制基準に適応するには、地震や津波対策、過酷事故対策を実施する必要があり、国内全50基の原発の内、全基準に即時に適応する原発は少ないと見られています。(4/11 日刊工業新聞)
また、仮に適応したとしても、規制委が同時に審査できるのは3か所の原発のみで、原子炉の安全審査には半年~一年程度かかるると言われており、年内の原発再稼働は困難な見通しです。
更に、新規制基準では、原発から半径160キロ圏内で過去1万年以内に活動暦がある火山の運転期間中の再噴火の可能性の調査するなど、新基準での全原発の審査には、原子力規制委は早くても5年はかかるとの試算を示しています。(4/9産経)
◆非科学的な要素を伴う「活断層調査」
「新規制基準」では、活断層調査について、対象期間をこれまでの約13万年前までから、必要な場合は約40万年前まで遡ると厳格化。(4/10 ANN)
原発の運転期間を原則40年と定めつつ、40万年前まで活断層が無いことを求めることはあまりにも非科学的で、むしろ、活断層が動いても大丈夫なよう安全設備の強度を増す工学的な対応を優先すべきだとの批判が出ています。(4/11 読売社説「原発新規制基準 ゼロリスクにとらわれるな」)
活断層調査には主観が入りやすく、原子力規制委の原発敷地内断層調査の有識者の一人でもある東京大地震研究所の佐藤比呂志教授は3月28日、立川断層の掘削調査で、地下に埋め込まれたコンクリート製とみられる柱状の人工構造物を「断層活動で動いた石」と思い込み、「活断層を確認した」と誤って発表したことを謝罪しています。(3/28 産経)
実際、断層かどうかの判断は専門家でも見解が異なり、首都大学東京の山崎晴雄教授(地震地質学)は、「活断層調査では、はっきりした証拠をもとに断言できるようなことは少ない。研究者それぞれに解釈が違う」と述べています。(3/29読売「活断層調査、信頼性揺らぐ」)
40万年まで遡り断層が発見されなくても、地下構造を詳しく調べて活断層の有無を調査し、「活断層である可能性が高い」と規制委が判断を加えれば、原発再稼動は困難になります。
◆日本の原子力発電技術は世界レベル
このような原子力規制委員会の基準について、米エネルギー省ウィリアム・マーチン元副長官は「日本の基準は、米原子力委員会(NRC)よりも厳しい。費用対効果も考え、国際的な視点も踏まえて検討すべき」と述べ、国際的に突出した水準にすべきではないと述べています。(4/7 読売)
また、日本の最新型原発を3月に視察した英国のジョーンズ・ウェールズ地方担当相も「日本の原発には大変感銘を受けた、福島原発の事故後、その教訓に学んで安全性を高めた日本の新型原発が英国に建設されることに期待する」との声を寄せています。(4/9産経「日本の原発に不安ない」)
世界レベルの技術を持つ日本の原発関連企業は、国内で市場を見出すことは難しく、海外輸出に活路を見出そうとしています。
実際、既にベトナム、リトアニア、フィンランド、トルコなどが中国、韓国、カナダと競合する中で受注、もしくは受注に向けて動いています。
◆日本の原子力技術に触手を伸ばす中国
そうした中、中国が日本の原発関連の技術者に目をつけています。かつてソ連の崩壊直後、中国はソ連の核兵器開発の技術者を自国に引き抜くべく、車や運転手付で破格の謝礼を払いました。
その時と同様、現在、海外勤務を希望する日本の原発技術者が急増しており、中国から日本の原発技術者の引き合いが相次いでいます。(4/8 産経「中韓が狙う日本の原発技術 国内低迷、ノウハウ流出懸念」)
中国の原発事故は日本にも影響が及ぶため、ある程度の技術指導は必要でしょうが、使用済み燃料の再処理技術は、そのまま核兵器にも転用可能なプルトニウムを取り出すことができるため十分な警戒が必要です。
原子力技術の移転は、日本の国防とも深く絡む重要事項です。日本の核技術流出を防ぐためにも、政府は早期に原発稼動の決断をなすべきです。(政務調査会・佐々木勝浩)
遠のく原発再稼働――日本の原発技術の流出を防止せよ![HRPニュースファイル606]
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今こそ自主防衛に舵を切れ!―北朝鮮の狙いと米国の軟化方針[HRPニュースファイル605]
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◆北朝鮮の狙いとは?
現在、北朝鮮がミサイルを撃つか撃たないかのギリギリの線で国際的な駆け引きがなされています。
日本のマスコミは「北朝鮮のミサイルが本当に発射されるのか」「いつ発射されるのか」等について、様々な憶測を流しています。
しかし、問題の本質は「ミサイル発射」という事態そのものよりも、北朝鮮がミサイルを撃つ目的と、第二次朝鮮戦争も含め、ミサイル発射がどのような事態を引き起こすのかということにあります。
北朝鮮の狙いは、米国との直接交渉によって金正恩体制維持の保障を得ることにあります。
そのために、ミサイル発射で日米韓に揺さぶりをかけ、アメリカの譲歩を引き出そうとしているのです。
◆米国の軟化方針
実際、こうした揺さぶりを受けて、米国は軟化方針を見せ始めています。
米国の対北対処方針は当初、北朝鮮に対して圧力を強める戦略に基づき、ステルス爆撃機や戦闘機、特殊部隊潜入用の潜水艦などの最新兵器を次々に投入して来ました。
しかし、米軍がこうした強硬策を取った結果、北朝鮮はより強硬姿勢を強め、南北が対峙する最前線での偶発的な軍事衝突の懸念が増大しました。
このためオバマ米政権は一時的な圧力緩和を示唆。状況を安定的にする方向に軌道修正しています。(4/12 産経「北を『甘やかさず、刺激せず』着地点探る米韓」)
◆アメリカのジレンマ
こうした軟化方針の背景には、アメリカが中東問題と北朝鮮問題を天秤にかけ、まずは中東問題の解決を優先するという方針があるものと思われます。
なぜなら、中東問題にはイスラエルが関わっているため、事態を上手くコントロールしなければイスラエルが戦争を仕掛ける確率が高いからです。
これはイスラエルが過去に戦った戦争や軍事作戦からも容易に伺えます。
ペルシャ湾に原子力空母を2隻配置していたのは、イランの暴発を抑えこみ、湾岸諸国を安心させる目的もありますが、もう一つはイスラエルに早まった行為をさせないという目的もあります。
その証拠に、現在、ケリー国務長官が中東歴訪中ですが、外交で時間稼ぎをしている内にペルシャ湾の原子力空母を引き抜き、アジアへと派遣しています。
◆アメリカは北朝鮮の問題に専念できない
また、シリアの内戦に対する支援をいかにするかもアメリカの大きな懸案事項の一つです。
仮に軍事介入を選択した場合、リビアにおけるNATO主導の作戦と似たような作戦を展開する可能性があります。
そのためには、イギリス、フランス、イタリア、スペインの空母が必要になりますが、イギリスとフランスはマリに軍事介入を行っているために余力がなく、イタリアとスペインは財政が悪化しているために空母を派遣できるかどうか疑問です。
このように、米国が北朝鮮問題にかかりきりになれない状況が生じています。
◆第二次朝鮮戦争勃発の恐れ
そうなると慌てるのが韓国です。
韓国はこのような緊張状態の継続をよしとはせず、事態解決の糸口を探っていますが、北朝鮮の狙いは韓国ではなく、アメリカの譲歩にあるため、事態はそう簡単に改善しないはずです。
最悪のケースでは、朝鮮半島において緊張状態が昂じ、偶発的に戦争が始まる危険性があります。
その場合、日本は現在、戦争に巻き込まれることを想定していないため、様々な形での影響が想定されます。
北朝鮮は12日、「日本が一瞬でも動きを見せれば、戦争の火花はまず日本で散ることになる」と威嚇しています。(4/12 NHK「北朝鮮 動きあれば戦争の火花は日本で」)
同時に、日本の治安はかなり深刻化します。日本にある米軍基地に対する工作のために、北朝鮮の特殊部隊が侵入するからです。
◆日本は今こそ自主防衛に舵を切るべき
このような不確実な情勢に対応するためには、日本自身の軍事力をどのようなものにデザインするのかを考える必要があります。
現在、日本政府には「自分の国は自分で守る」という発想はありません。あくまでもアメリカに「おんぶにだっこ」の安全保障になっています。
しかし、米国が東アジア問題に専念できない状況が生じており、朝鮮半島有事が日本にまで飛び火する危険も高まっています。
幸福実現党は「自分の国は自分で守る」ことを安全保障政策の中心に据え、憲法9条改正をはじめ、国防強化による領土領海の保全などの自主防衛政策を提言し続けています。
幸福実現党は「自主防衛」を掲げる唯一の政党であり、日本を守ることができる政党は幸福実現党以外にはありません。(文責・黒川白雲)
北朝鮮のミサイルと中国の海洋戦略の関係 [HRPニュースファイル604]
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◆エスカレートする北朝鮮の挑発
2月12日に三度目の核実験を成功させて以降、軍事的緊張をエスカレートさせる北朝鮮の動きが、日本に大きな脅威を与えています。
特に今月に入って以降、停止していた核開発施設の再稼働を2日に宣言。9日にはロックリア米太平洋軍司令官が、北が保有する「ノドン」や「スカッド」、そして最新型中距離弾道弾「ムスダン」等の各種弾道ミサイルが日本海側に移動されたことを明らかにしました。
11日には防衛省の情報として、北朝鮮東部で移動式の弾道ミサイルの発射台が、上空へ向けられたと報道されています。(4/11 FNN「北朝鮮東部で移動式弾道ミサイル発射台が上空向く」)
さらには10日付の「労働新聞」で「日本全土が標的だ」「日本には米軍基地や原子力施設がある」と我が国への核攻撃を示唆したため、日本国内には「いつミサイルが飛んでくるともわからない」という不安感が広がりました。
特に、参院補選の告示日を迎えた山口県では、位置的にも朝鮮半島に近いという特性から、地元紙の山口新聞が1面、2面、5面、19面で大きく特集を組むほどに警戒が強まっています。
4月11日に告示となった参院山口補選では、オスプレイ配備推進運動等を展開されて来た幸福実現党公認候補のかわい美和子氏が選挙戦第一声で、北朝鮮のミサイルへの対応、自主防衛強化を強く呼びかけるなど、山口補選での大きな争点の一つとなっています。
◆中国海軍が軍事演習を活発化
まさに今、日本は北朝鮮の核・ミサイル危機の下にありますが、ここではあえて視点を変え、「ムスダン」ミサイルの配備を証言したロックリア米太平洋軍司令官が、中国海軍の活動に関して「もう一つの証言」を行っていた事実を指摘したいと思います。
4月11日付の山口新聞は、ロックリア司令官が公聴会において、中国海軍が太平洋やインド洋にまで活動を拡大していることに「強い警戒感」を表明したことを報道しています。
中国海軍の活動に関しては、習近平氏が国家主席に就任した全人代(3月)以降、中国海軍の活動は活性化する一方です。
一例をあげるならば、中国は今年に入ってから北海艦隊と南海艦隊にそれぞれ「遠海訓練」を実施させ、東シナ海、南シナ海、西太平洋における軍事演習を活発化させています。
特に全人代直後の3月19日から16日間に渡って実施された南海艦隊の遠海訓練では、海岸から陸地に直接侵攻が可能な大型ホバークラフトを使った演習が活発に実施された他、南シナ海のある環礁では漁政45001船と艦載ヘリを用いた共同巡視活動が行われた事が写真付きで紹介されています。(3/22 解放軍報「海上駿馬在大風浪中馳駆」、3/28 同「南海艦隊連合機動編隊巡邏未済礁」)
◆「金正恩の暴走」の陰で着々と海洋権益の強化を行う習近平
また、国務院改革の一環として、複数の部署に分かれた海洋管理機構を「国家海洋局」に統合し、中国の海洋発展に必要な「法執行能力」と「海上の主権を維持する能力」の強化が図られました。
しかし、実はこの「国家海洋局」自体が、「海上民兵、地方法執行機関、軍隊」の三者による「三線力量体系」の一部にしか過ぎません。
今後、習近平体制の五年間において、「海軍力の強化」「法執行能力(国家海洋局)の強化」「海上民兵の創設」といった形で、着々と海洋権益の強化を進めてくるものと推測されます。
次の全人代が行われる2018年には、西太平洋からインド洋までを闊歩する中国海軍と、第一列島線の内側を管理する巨大な国家海洋局、そして「現代の人民戦争」としての海上民兵が完成し、日本や台湾など第一列島線上に位置する国々の「独立の危機」が現実のものとなることが予想されます。(3/15 解放軍報「国務院機構改革和職能転換方案」、3/10 同「解放軍代表団第二次全体会議発言摘要」)
「北朝鮮の暴走」は、こうした習近平の野望にとって、誠に都合の良い「隠れ蓑」となっているのです。
北朝鮮、中国の脅威が迫る今、参院山口補選、そして参院本選において、政党名にとらわれることなく、候補者本人の「国を守る気概」や「真摯なる愛国心」をよく見極め、国の未来を託して頂きたいと存じます。(文責・彦川太志)
サッチャー革命を推し進めた思想とシンクタンクの存在 [HRPニュースファイル603]
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4月8日、英国元首相のサッチャー女史が亡くなられました。
主要な業績はHRPニュースファイル602でも触れられていますが、今回の論考で論点を補足します。
彼女はIron Lady「鉄の女」と呼ばれたほど信念のある政治家でした。J・キャンベルのThe Iron Ladyはベストセラーとなり、フィリダ・ロイド監督制作の映画は「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」という題で2012年の3月に日本でも上映されました。
福祉政策や企業の国有化によって経済が停滞した「英国病」を救い、フォークランド紛争に勝利して一時は世界的に有名になったマーガレット・サッチャーは、なぜあれほどまでに自由主義の信念を貫き通すことができたのでしょうか。天性のものなのか。それとも振付師がいたのか。あるいはその両方なのか。もちろん、一概に語ることができません。
ただ、日本語以外の情報を見ることによって、ある二人の人物とシンクタンクの存在が見えてきます。
一人目は、世界的にも有名で1974年にノーベル経済学賞を受賞したF・ハイエク。
サッチャー氏が首相就任演説で「これが我々の信じるものである」と取り出したのが、ハイエクの「自由の条件」でした。ハイエクは、ケインズとの経済論争ばかりが目立ちますが、実は法学や哲学など幅広い分野に関心が及んでいた天才学者です。
そして、サッチャー氏が紹介した「自由の条件」は世界中のリバタリアンと呼ばれる自由主義者が今でも愛読する自由主義哲学の名著です。そして、強い英国を取り戻すためには、増税や規制、福祉国家に傾く社会主義的な政策から以下の4つの自由主義政策への転換(注:ハイエクは、個別ではなく同時に徹底的に進めることが大事だと主張していた)が必要だと訴えます。
①減税 ②規制緩和 ③適度な金融政策 ④政府支出の削減
実は、上記の政策をサッチャーよりも早くアドバイスを受けていた人物がいます。世界でも指折りの自由主義的なシンクタンクInstitute for Economic Affairs (経済問題研究所 以後IEAと表記)の創設者であるA・フィッシャー氏です。
フィッシャー氏は、今では誰もが鶏肉を食べることができるように事業化して大成功した実業家としても有名です。政治家になることを志していたフィッシャー氏は、ハイエクに相談に行きます。ところが、ハイエクの答えは意外なものでした。というのは、政治家になることよりも「社会のムードを変える」ことに使命があることをフィッシャーに伝えたからです。このハイエクとの出会いと言葉が、後のフィッシャー氏のIEAの創設に至ったとされています。
フィッシャーの考え方やIEAでの政策提言は、まさにハイエクから出ていたのです。なぜなら、IEAの初代所長はハイエクだったからです。こちらも参照→http://bit.ly/16M0EDL(JTRのHP)
日本では、銀行か証券会社系のシンクタンクが多くあります。彼らの仕事は景気の予測が主な仕事だといっても過言ではないでしょう。メディアでよく登場するエコノミストとは、こうしたシンクタンクの研究員です(もちろん、単なる予測屋とは違い、立派な経済分析を行っている方もいる)。
シンクタンクのエコノミスト達は、独自のマクロ計量モデルでアベノミクスなどの効果を推計しているのですが、現実問題としてどこまで政府の経済政策に影響を与えているかは微妙です。
また、気になるのは、財務省や金融庁とのつながりが強い証券会社系のシンクタンクからは増税を肯定する論者が割合に多くいることです。おそらく、経済成長で名目金利が上昇して国債の価格が下がることを恐れているのが原因でしょう。この背景には、社債や国債を大量に保有していることと大いに関連があります。
しかしながら、本来のシンクタンクとは、政府からの資金提供を一切受けずに独立採算を原則としています。筆者は2月のインド出張で世界中の自由主義者が集まるアジア・リバティーフォーラムへの出席と併せてシンクタンクの研修を受けてきました。その観点からすると、日本にはシンクタンクと呼べるものは殆ど存在しないということです。むしろ、政府の御用組織になっているものが多いと感じるくらいです。
とまれ、サッチャー元首相が労働党や国民の反発も覚悟で自由主義路線を貫徹できた背景には、彼女自身の政治哲学への継続的な研究があったこと。そして、彼女に強い影響を与えたIEAなどのシンクタンクの存在があったことが挙げられます(J・Campbell著 The Iron Lady 参照)。
サッチャー氏の死が報道されたことによって、世界中の自由主義系シンクタンクが敬意を込めてRest in Peace(安らかにお眠りください)という表現を使っている記事が多数配信されました。また、彼女の人生と業績をドキュメンタリー動画もありました。
左派からみれば、サッチャー政権は市場原理主義や弱者切り捨てだとして批判されることも多いでしょう。
ただし、英国病を克服して経済成長をもたらしたこと。フォークランド紛争に勝利し、英国民を勇気づけたこと。最後まで自由主義者としての政策を実現しようと鉄の意志を貫いた政治家であったことは否定しようがありません。
「決められない政治」といった情けない言葉がはやる昨今ですが、サッチャー氏のような強いリーダーシップと信念(あるいは信仰心)を持った政治家の登場が待たれるのは言うまでもありません。
幸福実現党は、サッチャー氏の意志を引き継ぎ、20年間ゼロ成長という「日本病」から「自由からの繁栄」が実現できるよう、戦い続けて参ります。(文責:中野雄太)
宗教立国を目指したサッチャー元首相への追悼[HRPニュースファイル602]
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◆「福祉国家」から「自由主義経済国家」へ
妥協を許さない政治姿勢から「鉄の女」と呼ばれ、第2次大戦後の「英国病」と名付けられた経済不振を克服したサッチャー元英首相が8日、脳卒中のため死去しました。
ここに改めて、衷心より哀悼の意を捧げます。
1979~90年、3期連続で首相を務め、20世紀では英首相として最長の在任期間を誇る英国初の女性首相でした。
サッチャー首相登場以前のイギリスでは、国民は「働くよりも国家からの福祉的給付を受けよう」と期待し、健全な勤労意欲の喪失が広がった「英国病」に陥っていました。
「ゆりかごから墓場まで」と手厚い社会福祉の財源確保のため、1970年代には所得税の最高税率が83パーセント、不労所得の最高税率が15%の付加税を加算して98%、という異常に高率な累進課税になっていました。
サッチャー元首相は最高所得税を83%から40%に減税し、国有企業を民営化し企業活動を活発化させました。
国有化はBP(英国石油)、航空宇宙、道路輸送、自動車生産、通信、航空、空港、鉄道、鉄鋼、水道、電力、石炭等、ほとんどの国有企業に及びました。
さらには、税制改革、規制緩和、労働組合の弱体化などの政策を次々と推し進め、イギリス経済の復活をもたらしました。
サッチャー改革はレーガン元大統領や中曽根元首相、小泉元首相らにも大きな影響を与え、以降、市場原理重視型の保守主義が世界の潮流となりました。
◆サッチャー氏の社会主義との戦い
ハイエクが社会主義という人類の負の遺産を理論的に解体した経済学者であるとすれば、サッチャー氏は現実の社会主義を崩壊させた政治家だったと言えます。
サッチャー元首相は真正面から労働党の政策、つまり社会主義政策そのものを攻撃し、いくつもの有名な言葉を残しています。
「金持ちを貧乏にしても貧乏人は金持ちにはならない」――これは多くのイギリス人の胸に響いたといわれています。
労働党との公開討論会では、労働党を指して「あなた方の旗は赤旗で、私たちの旗はユニオン・ジャック(英国国旗)だ」と言って沈黙せしめたこともあったといいます。
福祉政策を次々と切り捨てるサッチャー氏に対する「あなたはこの国の乳幼児からミルクを取り上げるのですか」という批判に対し、サッチャー氏は「乳幼児にミルクを与えるのは母親の仕事であって、国家の仕事ではありません」と反論しました。
これなども「子ども手当」を導入し、「国家が子どもを育てる社会」を作ろうとした国家社会主義者たちに聞かせたい言葉です。
◆「宗教立国」を目指したサッチャー元首相
こうしたサッチャー元首相の信念の根底にあったものは、純粋な信仰心でした。
敬虔なキリスト教徒であるサッチャー元首相は「イギリスの『美徳』とは、わが国誕生のよりどころとなった聖書の規律から生まれるものだと私は信じています」と語っています。
宗教的美徳の上に国家を築いていこうとするサッチャー氏の宗教的信念こそが、サッチャー氏をして「鉄の女」たらしめたのではないでしょうか。
「働くよりも国家からの福祉的給付を受けよう」と考えていた多くのイギリス国民に対して、サッチャー氏が「汗をかいて働くことの素晴らしさ」を訴え続けたのも、キリスト教的な「セルフヘルプの精神」に由来しています。
また、サッチャー氏は、市場経済原理が「弱肉強食」に陥らないために、信仰心が大切であることを訴えました。
サッチャー氏による「英国病の克服」「イギリスの復活」の偉業の根本には「宗教立国の精神」があったのです。
今、日本に必要なのは、国家の背骨となる正しい「精神の柱」を立てることです。
日本も「サッチャー改革」に学び、宗教立国の精神に基づいて、国家を建て直すべき時が来ています。(文責・幸福実現党岐阜県参議院選挙区代表 加納有輝彦)
宗教的土台なき愛国心は虚像――安倍政権下の愛国心教育にあえて異論[HRPニュースファイル601]
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◆偉人教育、郷土愛教育が復活へ
4月1日の衆院予算委員会で下村文科相は、道徳教材として使われている小中学生向け「心のノート」全面改訂に関して、偉人伝を盛り込む意向を表明しています。(4/1 産経「道徳教材『心のノート』に偉人伝も 下村文科相」)
また、各地方教育委員会では独自に郷土の偉人教育を道徳などの時間で強化する動きも出ています。(2009/3/31 学校ニュース 「『授業で吉田松陰』山口県教委が奨励 愛国心条項に対応」/4/5 河北ニュース「宮城県教委による郷土偉人を掲載した道徳副教材の作成」)
確かに「偉人教育」は規範意識を高め、理想や志の大切さを教え、自助努力の養成になると共に、郷土の偉人を学ぶことで一層の愛国心や郷土愛にもつながるでしょう。
そもそもは第一次安倍内閣で教育基本法が改訂され、第2条第5項にいわゆる「愛国心条項」が明記されたことが前提になっており、これをもとに今年3月、安倍政権は愛国心・郷土愛教育の強化をするための識者会議設置を表明しました。(3/23 朝日「『郷土愛・愛国心育むため』 安倍内閣が識者会議設置へ」)
◆愛国心の基にある宗教的精神
こうした動きに対し、主に日教組などの左翼的立場からは「戦前に戻る改悪だ」などと、例によって単純な批判が示されていますが、ここで、あえて保守的立場、国際的立場からの異論を提起したいと思います。
それは本来、普遍的宗教精神の土台がなければ、愛国心は虚像であり、国際社会の中では通用しないと考えるからです。
4月8日、マーガレット・サッチャー元英首相が亡くなられ、心より追悼の意を表します。 安倍首相が目指す「教育再生」はサッチャー氏の「教育改革」がモデルであると言われています。
サッチャー氏は「現在の問題の解決が要求する実際的な方法で、社会を再道徳化するのに必要な徳目を、キリスト教以外に何かあるとは想像しがたい」と語り、生涯の課題として取り組んで来た「教育再生」の根本にキリスト教的な宗教精神を置いていました。
サッチャー改革は今なお受け継がれ、2004年には「宗教教育フレームワーク」が導入され、英国における宗教教育は拡充され続けています。
その一方で、日本において、教育に普遍的な宗教精神を導入しないまま、「愛国心」のみを強化した場合、国際社会の中では単なる「国家エゴ」と区別するのは難しいと言えます。
「保守主義の父」として、多くの保守が尊敬してやまないエドマンド・バークは『フランス革命の省察』で以下の通り、述べています。
「民主主義が機能するためには、民衆はエゴイズムを捨てねばならない。宗教の力なくして、これはまったく不可能と言える。
国家は聖なるものであり、権力は神の御心に沿うべく行使されるとき、はじめて正当なものとなる」(新訳『フランス革命の省察』,佐藤健志編訳,PHP,2011)
世界中の圧倒的多数の人々は何らかの信仰を持っており、諸外国は宗教的信仰の上に愛国教育や政治的信条が築かれています。
日本が本当の意味で世界のリーダーになるためには、普遍的宗教精神を土台にした愛国心教育や政治的改革が不可欠です。
◆日本にも「真の愛国心教育」の復活を!
では、現代における「普遍的宗教精神」とは何でしょうか。
例えば、それは震災で被災地・沿岸部の方々が日々実感している霊の存在やあの世の存在、そしてそれをもとにした善悪の価値観、「絆」に代表される宗教的情操(優しさ)ではないかと私は考えます。
日常的出来事として、東日本大震災で被害が大きかった沿岸部では、あの世や霊の存在を認めざるを得ない状況が起こっています。
毎夜、霊があらわれて新たな交通事故の元になるので通行止めにされる橋。同じく霊が出るために工事に支障が出てなかなか復旧作業ができなかったスーパーなど。
こうした議論を待つこと無く、普遍的宗教ではいずれも霊界の存在を前提として認めており、ここから善悪が生まれ、祖先や親・兄弟を大切にする心、故郷・祖国への愛が導かれています。
偉人教育にしても、なぜ偉人が偉人になり得たのか理解するには、彼らの行動原理・思想的背景を学ぶことが何より大切ではないかと思います。
明確に普遍的宗教精神をベースに置かない愛国心や郷土愛は、虚像であり、場合によっては危険な側面があります。
私たち幸福実現党は、普遍的な宗教精神を土台とした教育改革を提唱しています。
日本が本当の意味で国際社会の中で協調し、リーダーとして役割を果たすためには宗教的精神に基づいた「真の愛国心教育」が必要です。
それこそ「世界が望む日本」の役割を果たすために必要な要素であると考えます。(文責・宮城県本部第四選挙区支部長 村上 善昭)
道州制は国を滅ぼす――「道州制基本法案」、今国会へ4月中にも提出へ[HRPニュースファイル600]
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自公政権は「道州制基本法案」を国会へ4月中にも提出するとの意向を明らかにしました。(3/31時事通信「自公、基本法案4月提出も」)
国家の統治機構を根本から変える「道州制」は民主党、維新の会、みんなの党にとって党是ともいえる重要政策で、自公政権は分権政策の新たな旗印に掲げ、野党との連携の軸にする考えです。(3/9 日経「安倍政権、分権議論に着手 道州制で野党と連携探る」)
◆「道州制」とは何か
「道州制」とは、現在の都道府県を廃止して、いくつかの州を設置。国家の権限の多くを道州に移譲する構想です。
アメリカは「州制」ですが、日本は北海道をそのまま「道」として存続させ「道州制」と呼んでいます。
自民党案によれば、全国に10程度の道州を設置し、都道府県を廃止。基礎自治体(市町村)は、現状を維持します。(2012/6/19 自民党「道州制のイメージ」)
自由民主党の道州制推進本部が2008年に提示した区割り案では、9道州案(北海道、東北、北関東、南関東、中部、関西、中国・四国、九州、沖縄)や11道州案(上記の中部→北陸・東海、中国・四国→中国、四国)が提示されました。
他にも多様な区割り案が示されていますが、自民案も含め、九州と琉球は歴史と風土が全く異なる点から、沖縄県で単独の州として、「沖縄州」あるいは「琉球州」への移行を目指しているのが特徴です。
◆道州制で地域は自立できるか?
道州制は、中央集権体制とそれに伴う利権を壊し、地域・地方の完全自立を目指すことが目的とされています。
しかし、果たして、道州制を取り入れただけで、本当に地域・地方が「自立」することができるのでしょうか?
4月6日、幸福実現党公開講演会にて講演した前・消費者庁長官の福嶋浩彦 中央学院大学教授は、閣僚時代の経験から「地方分権を阻んでいるのは地方自治体自身」であることを指摘しています。
これまで、地方自治体は「いかに国から地方交付金などの補助金を引き出すか」ということを常に考えて来ました。
一方で国は、その地方交付金などの補助金の財源に四苦八苦している現状で、それをカットするために道州制を導入し、「地方は自分で自立すべき」という狙いがあります。
しかし、経営力なき赤字体質の企業が集まっても決して上手くいかないように、赤字体質の自治体がたくさん集まっても財政は改善されません。
問題の本質は、道州制の導入ではなく、自治体の財政的自立にあります。自治体の財政的自立を促す方策は二つです。
一つは自治体が借金を減らす努力をすべきです。そのためには、民営化や官民連携を進め、企業やNPOなど、民間で行えることは民間で行い、最大限、スリムで小さい自治体を目指すべきです。
第二に、地域の経済活動を活性化させ、税収を増やすことです。地元の経済活性化策を真剣に考え、実行することです。
現在、多くの日本の製造工場が海外に移転していますが、これは自治体が地域経済に全く無関心で、地域企業への支援を怠って来た証でもあります。
地方自治体がこうしたイノベーションに取り組まない限り、道州制を導入しても問題は全く解決しません。
そればかりか、道州制を導入すれば、国税による地域への税の再配分機能が無くなるため、豊かな州はより豊かに、貧しい道州はより貧しくなり、地域の公共サービス格差はますます広がります。
◆道州制で国家が解体する!
道州制の論点として非常に大切な観点は、地方に降ろす「権限」が何かということです。
特に、問題なのは「立法権」です。道州に「立法権」が降ろされた場合、道州ごとに法律が大きく異なり、日本国家の統一が失われます。
例えば、ある州では死刑が廃止され、別の州では死刑が執行されているような国家になります。
また、道州制推進派の一部勢力は「外国人の地方参政権」を推奨しています。
たとえ外国人参政権が地方に限られたとしても、道州に「立法権」が移譲された場合、外国人が「立法権」に大きな影響を与えることができ、日本を合法的に間接侵略することも可能になります。
外交面でも、沖縄州が中国と同盟を結び、北海道がロシアと同盟を結び、各道州が対立に向かう「国家分断」の事態も懸念されています。
また、例えば沖縄州で米軍基地や自衛隊基地を撤去する法律が成立すれば、日本の国防は成り立たなくなります。
「道州の長」が強大な権限を持ち、国家機能が縮小される結果、国家は解体し、バラバラになります。
既にその兆候は、米軍基地と補助金とを天秤にかけ、日本政府を困らせている仲井真沖縄県知事の姿に象徴されています。
道州制は危険な国家解体法案であり、幸福実現党は道州制に反対する唯一の政党として、「道州制中止」を求め、愛する日本を守り抜きます。(文責・政務調査会 佐々木勝浩)
日本よ、主権国家たれ![HRPニュースファイル599]
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◆「主権回復の日」の意義
政府は、1952年4月28日サンフランシスコ講和条約が発効した「主権回復の日」に当たるとして、4月28日に政府主催の式典を開くことを閣議決定しました。(3/12 産経「主権回復の日式典、4月28日開催を閣議決定」)
1945年8月14日、日本は「ポツダム宣言」の受諾を連合国に通告、8月15日「終戦の詔書」が玉音放送により国民に伝えられ、終戦を迎えました。
正式には9月2日、戦艦ミズーリ号の船上で連合国との間で降伏文書に調印し、連合国の占領下に入ることとなりました。
その後、7年に及ぶ占領を経て、サンフランシスコ講和条約(正式名:「日本国との平和条約」1951年9月8日)に調印し、1952年4月28日に発効され、日本国は正式に国家としての全権を回復しました。
アメリカ合衆国では、1776年7月4日に独立宣言が公布されたことを記念して、毎年7月4日を祝日として祝い、建国の志を新たに愛国心の発揚がなされています。
「主権回復の日」は、日本再建の原点にあった「国家の主権を取り戻す」という歴史的意義を振り返ると共に、日本国の主権を守り続けていく不断の努力を決意する大切な節目です。
しかし、「主権回復の日」式典に対して、沖縄県内では大きな反発が巻き起こっています。(3/29 琉球新報「主権回復の日、32首長『式典反対』本紙調査、開催賛成はゼロ」)
1952年4月28日サンフランシスコ講和条約が発効し、本土は主権回復して以降も、沖縄では20年間もアメリカの占領が続いたことから、沖縄にとっては「主権回復の日」ではなく、「屈辱の日」とされています。
このように様々な意見がありますが、「主権回復の日」は、主権の回復とは何なのか、日本は本当に独立国としての主権を回復しているのかを考える大切な機会であると思います。
◆日本は主権を守り抜くことができるのか?
2012年11月14日、中国・韓国・ロシアによる「東アジアにおける安全保障と協力」会議が開かれ、席上、中国外務省付属国際問題研究所のゴ・シャンガン副所長は「日本の領土は北海道、本州、四国、九州4島に限られており、北方領土、竹島、尖閣諸島にくわえて沖縄も放棄すべきだ」と公式に演説しました。
そのためには、中国、ロシア、韓国が「反日統一共同戦線」を組んで、サンフランシスコ講和条約に代わって日本の領土を縮小する新たな講和条約を制定しなければいけないと提案しています。(2012/11/15 ロシアの声「反日統一共同戦線を呼びかける中国」)
日本政府は即座に自国の領土を明確に実効支配して施政下に置かなければ、このまま領土を失うことになります。
◆日本よ、主権国家たれ!
「主権」とは、他国の意思に左右されず、自らの意思で国民および領土を統治する権利です。
日本のために命を捧げられた先人への感謝と敬意を表すべく、国家のトップである首相が靖国参拝することなくして、国民の間に、日本の主権を守る愛国心は育ちません。
また、教科書の近隣諸国条項により、中国・韓国の横槍により、日本人の教科書が書き換えられる状態にあることも異常です。
さらに、拉致問題を解決する軍事力を持たず外交は成り立ちません。自国民が拉致され、救出もせずに見殺し続けて、本当に「主権国家」と言えるのでしょうか。
このような日本の現状を見る限り、「独立国家」としての主権を回復しているとは言い難く、いまだ植民地支配が続く「半主権国家」「隷属国家」の様相を呈しています。
「主権国家」を存立させる観点から見れば、憲法9条の思想そのものが、占領軍の植民地思想を背景としています。
安倍首相は本当に主権回復を記念するのであれば、自主憲法の制定、自衛軍の創設、教科書近隣諸国条項の撤廃を断行し、真の意味で「日本独立宣言」を行うべきです。
そして、参院選において、各党は「憲法改正」を争点として、主権国家のあるべき姿を論じるべきです。(文責・三重県参議院選挙区代表 小川俊介)
相続税、15年から課税対象者倍増――相続税を即刻、廃止せよ![HRPニュースファイル598]
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◆富裕層の課税強化へ
参院本会議は3月29日、平成25年度税制改正の関連法案を可決。同法は成立しました。
設備投資額を前年度より10%超増やした企業は、生産設備などへの投資額の3%を法人税額から控除できるようにするなど、成長強化に向けた投資減税が行われます。(3/29 日経「成長強化へ投資減税 13年度税制改正法が成立」)
幸福実現党は法人税減税を主張していますが、アベノミクスによる金融緩和を「投資の拡大」という景気回復効果に繋げるためには、(まだまだ不十分ですが)こうした法人税減税は不可欠です。
それと同時に、今回の税制改正では、消費増税をにらんで、「低所得者ほど負担が重くなる」という消費税の逆進性に対する批判をかわすために、公平性の観点から富裕層への課税が強化されることが決定しました。
所得税は2015年1月から課税所得4000万円超の部分を対象に税率を40%から45%に引き上げられます。2007年度に最高税率が引き上げられて以来の所得増税です。
◆相続税の課税対象が倍増!
そして、富裕層への課税強化の最大の目玉は、相続税の増税です。
税制改正により、相続税は税額から差し引くことができる基礎控除が4割縮小されます。具体的には、2015年1月1日以後の相続から以下のように基礎控除が変更されます。
【現行】5000万円+1000万円×法定相続人の数
【改正後(2015年~)】3000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、相続人が2人の場合、現行の税制であれば7000万円以上ないと相続税は発生しませんが、改正後は4200万円以上あれば相続税が課税されます(基礎控除4割減)。
これにより、都市部を中心に、相続税の課税対象者が倍増すると言われています。(4/3 財経新聞「平成25年度の税制改正法案が参院本会議で可決・成立」)
不動産コンサルタントの長嶋修氏は「都心での地価の底入れを考慮すると、改正後は課税割合が20~30%(注:東京国税局管内の2011年の課税割合は約7%)に膨らむことも考えられる。富裕層だけが相続税の対策をすればいいという時代は終わった」と指摘しています。(2/20 日経「相続増税、まずは財産把握」)
また、合わせて相続税の税率が引上げられました。課税対象となる遺産が2億円超~3億円以下の場合は現行の40%から45%に、6億円超の場合、現行の50%から55%に増税されます。
◆相続税を即刻、廃止せよ!
幸福実現党は立党以来、「相続税廃止」を訴えています。そもそも、税制の基本原則に「二重課税の禁止」がありますが、相続税は「二重課税」の疑いがあります。
個人の所得に対して所得税や住民税がかかり、その残りが私有財産になるわけですが、そこに再度、死亡時に課税することは極めて理不尽です。
そもそも相続税はマルクスの『共産党宣言』に掲げられた「相続権の廃止」に思想的淵源があり、相続税増税は、「私有財産の侵害」「国家社会主義」に繋がります。
渡部昇一氏は『対論「所得税一律革命」』(光文社,1999年)で「相続財産を含めた私有財産こそが自由の砦であり、私有財産が国家のものになったら、本当に自由も何もなくなるということなのです。
自由をとるか、それとも相続税をとるか――比べて悩む人は社会主義思想に汚染されている危ない人です。自由をとる人ならば、相続税ゼロ、相続税廃止に反対する人は絶対にいないはずです」と述べています。
そもそも「相続」とは、親から子・孫へと努力の成果を受け継ぐ「絆」です。
相続税が増税されれば、親から子孫に渡す財産が減り、子孫にとっては親や先祖への感謝や「絆」を感じる基(もとい)が減ることになります。
そればかりか、地価が高い地域では、子孫が保有している財産だけでは相続税を払えず、相続した家や土地、財産等を手放さざるを得ないケースが増えており、親から子への文化・伝統の継承が途切れてしまいます。
幸福実現党は社会保障を政府に頼るのではなく、社会保障はセルフヘルプ(自助努力・「生涯現役」社会の実現)と、家族・地域の助け合いを基本とすべきと考えており、そのためにも相続税は廃止すべきと訴えています。
実際、スイス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、スウェーデン、イタリアでは既に相続税が廃止されています。
「相続税廃止」は先祖代々の文化・伝統の継承の尊重に繋がり、愛国心の涵養に資することを信じてやみません。(文責・黒川白雲)
金融緩和と経済成長戦略でフロンティアの開拓を![HRPニュースファイル597]
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◆市場の予想を上回る黒田新総裁の金融緩和
黒田総裁が就任されてから初の日銀政策決定会合が開かれました。
市場関係者の予想を上回る「量的・質的金融緩和」が発表され、日経平均は前日より272円34銭高の1万2634円54銭、長期金利の指標となっている10年物国債の金利は0.425%となり過去最低を更新しました。(4/4 ロイター「市場も驚いた異次元緩和、黒田日銀の『バズーカ砲』炸裂」)
今回決定した金融政策は主に5つです。
1.日銀が保有する長期国債の残高を銀行券の発行残高までとする「銀行券ルール」の適用を一時停止。
2.金融市場調節の方針を「金利」(無担保コール翌日物金利)から「資金供給量」(マネタリーベース)に変更。
3.マネタリーベースを2012年末の138兆円から、2013年末に200兆円、14年末に270兆円にまで増やす。
4.長期国債、株価指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)など資産の買い入れ額を増やす。(長期国債は2年間で89兆円から190兆円、ETFは年1兆円、REITは年300億円)
5.購入する長期国債の対象を拡大。(40年物国債を含む全ゾーンを対象、残存期間を3年弱から7年程度に延長)
白川前総裁が導入した「資産買い入れ基金」は廃止され、通常の国債購入枠と一本化されました。
白川総裁時代には、「資産買い入れ基金」の資金を増やすことで、実際にはそれほど資産が増えていない、ということが多くありました。
それに対して、黒田新総裁は「どんな資産を」「いつまでに」「どれだけ」購入するかを明確にしており、金融緩和に対する真剣味が全く違います。
◆問題は企業や家計が借入を増やし、お金が流れ始めるか
その中で興味深いのは、金融市場調節の方針を「金利」から「資金供給量」(マネタリーベース)に変えた点です。
「金利」はお金を借り入れる負担なので、金利を低くすることは、お金を借りる負担を減らすことですが、既に金利レベルは限界まで下がっています。
それに対して、「資金供給を増やす」ということは、借りられるお金の量を増やすことになります。
民間の金融機関が保有している法定準備金(日銀当座預金)を増やすことで、民間の金融機関が企業や家計にお金を貸し出せるようになります。
企業が新しく工場を建てるためにお金を借りたり、個人が住宅を購入するためにローンを組むと、工場を建てる企業にお金が入り、住宅を販売する企業にお金が入り、お金がどんどん流れるようになり、景気が回復します。
問題は、投資をしたり資産を購入する企業や家計がどれだけ増えるかです。
特に、「投資が投資を呼ぶ」というような好循環をつくっていくためには、企業が投資に乗り出したくなるような経済環境の改善が必要です。
◆規制緩和、海洋・宇宙開発によってフロンティアの開拓を!
すなわち、景気を回復させるには「借金環境」の改善のみならず、企業が積極的に投資に踏み切る意欲を高めていく「規制環境」の積極的改善が必要です。
幸福実現党は大胆な規制緩和・撤廃や特区制度の拡大、海洋・宇宙開発によって新しい市場を開拓し、企業が投資できるようなビジネスチャンスを増やして参ります。
また、都市部でさらに高いビルが建設できるように建築・土地関係規制の緩和を行ったり、メタンハイドレードやレアアースなど日本近海に眠る資源を開発し、宇宙開発を進めることにより、情報産業、航空産業、素材産業等における新技術の開発に梃子入れを行って参ります。
企業が積極的に投資に踏み切れる環境を創ってこそ、果敢な金融緩和が実を結ぶのです。
幸福実現党の金融緩和政策と経済成長戦略の融合政策こそが、日本、そして世界のフロンティアを開拓していくのです。(幸福実現党 東京都第1区支部長 伊藤のぞみ)