◆「自分の国は自分で守る」ことを禁ずる植民地憲法
参院選の最大の争点として「憲法改正」論議が盛り上がる中、憲法記念日である5月3日、幸福実現党は「全国一斉街宣活動」を行い、矢内筆勝党首や参院選候補予定者を先頭に、全国津々浦々で「憲法改正」を渾身の力で訴えました!
また、同日、矢内筆勝党首より声明「憲法記念日にあたって」が発表されました。⇒http://www.hr-party.jp/new/2013/37346.html
同声明で謳われている通り、国家の最大の使命とは、「国民の生命・安全・財産」を守ることに他なりません。
「諸国民の公正と信義」に身を委ね、国家が国民を守ることを放棄した日本国憲法の実態は、国家としての主権と責任を放棄した「植民地憲法」だと言えます。
◆憲法9条は「刀狩り」条項
日本国憲法は「日本国民の総意」に基づいてつくられたという建前になっていますが、同憲法は占領軍GHQの強烈な圧力によって押しつけられた「傀儡(かいらい)憲法」であることは明らかです。
日本国憲法は占領軍による「押しつけ憲法」であり、憲法9条とは、日本が二度と米国に刃向かうことのないようにする「刀狩り」条項であります。
5月3日、護憲派が集会や新聞広告等で「平和憲法を守ろう!」「憲法9条は人類の理想」と訴えていますが、憲法9条とはそのような崇高なる規範でも何でもなく、極めて狡猾な「日本弱体化のための占領政策」に他なりません。
現在に至るも、こうした陵辱に満ちた「日本国憲法」が存続しているということは、日本が未だ「植民地」から脱却していない「半主権国家」であることを意味しており、憲法9条の存在自体が私たち日本人にとって「屈辱」の証であるのです。
◆「国難」の元凶は日本人自身にあり
「奴隷の自由」という言葉があります。奴隷状態にある人は、ある意味で無責任でいられるため、自らを「自由」だと錯覚することがあります。
戦後、米国から守られ、自分の国を自分で守ろうとしなかった日本は、まさしく「奴隷の自由」を謳歌して来たと言えます。
しかし今、米国の退潮と時を同じくして、中国や北朝鮮による軍事的脅威が増しており、日本はまさしく「開戦前夜」とも言うべき、危急存亡の秋を迎えています。
この原因は、憲法改正を怠り、自主防衛を放棄して来た私たち日本人自身にあります。
本来であれば、1952年4月28日に日本が主権回復した瞬間に、日本国政府は自主憲法を制定すべきでした。
それをずるずると今日まで「占領軍憲法」を引きずって来たのは、歴代政権、政治家の不作為であり、それを許して来たのは私たち自身です。
日本に迫り来る「国難」の元凶は、戦後の日本人の怠慢と平和ボケにこそあるのです。
◆今こそ、自主憲法の制定を!
そもそも、憲法の英訳である「constitution」には、「国体」「政体」という意味もあります。
「憲法」とは「国体」であり、「国家のあり方」そのものであります。だからこそ、私たち日本人の手で日本の憲法がつくられるべきなのです。
言葉を換えれば、他国民の手で制定された憲法を奉じているということは、未だ「他国に占領されている」に等しいのです。
「自主憲法」制定は、戦後68年間も続いてきた「植民地」状態に終わりを告げ、「一人前の独立国家」になることを意味します。
今こそ、早急に憲法を改正し、国家が自国民を守ることができるようにならなければ、中国・北朝鮮の脅威から国民を守ることなど到底、不可能です。
幸福実現党は立党以来、「自主憲法制定」を力強く訴えておりますが、「戦後レジームからの脱却」「主権国家」への道は、「自主憲法の制定」という一点にかかっているのです。(文責・幸福実現党政調会長 黒川白雲)
憲法9条は占領軍による「刀狩り」――自主憲法制定で「誇りある国家」へ[HRPニュースファイル626]
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憲法記念日に考える「日本の国家ビジョン」[HRPニュースファイル625]
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昭和22年(1947年)5月3日に日本国憲法が施行され、本年で66回目の憲法記念日を迎えます。
憲法記念日は、今後の「日本の国家ビジョン」を考える大切な一日です。参院選を控え、今年は例年にも増して、憲法改正の論議が高まっています。
その議論の焦点は「憲法96条の改正」です。憲法96条は、日本国憲法の第9章「改正」にある唯一の条文で、憲法の改正手続を以下の通り、規定しています。
「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。」
現在、安倍首相は、衆参各院の「3分の2以上」の賛成を必要とする96条の発議を「過半数」の賛成で発議できるように改正の必要性を訴えています。
◆憲法改正に向けた各政党のスタンス
読売新聞が、国会議員に対して実施した「憲法に関するアンケート調査」によると、憲法96条を改正すべきだと答えたのは、自民党96%、日本維新の会98%、みんなの党96%でした。(5/2 読売)
一方、民主党25%、公明党11%は留まり、憲法改正への姿勢の違いが、政党間で鮮明になりました。
政権与党でもある公明党の「護憲」姿勢は際立っており、「政権内のねじれ」が生じています。
改憲に慎重な政党からは「憲法改正の中身を考えずに、96条のみを先行して改正するのはおかしい」という意見も出ています。
しかし、憲法改正の中身が先と言いながら、憲法9条に対する見識を何ら示してこなかったのは、何故なのでしょうか。これでは「反対のための反対」と言わざるをえません。
◆憲法96条改正の先にあるべき国家ビジョン
こうした批判に応えるためにも、安倍首相には、憲法96条の改正を通じて、日本が向かうべき国家ビジョンを力強く示して頂きたいと思います。
憲法学の権威でもある芦部信喜・東京大学名誉教授は、近代憲法について次のように述べています。
「近代憲法は、何よりもまず、自由の基礎法である。それは、自由の法秩序であり、自由主義の所産である。・・・このような自由の観念は、自然権の思想に基づく。この自然権を実定化した人権規定は、憲法の中核を構成する「根本規範」であり、この根本規範を支える核心的価値が人間の人格不可侵の原則(個人の尊厳の原理)である。」(『憲法』新版 芦部信喜 岩波書店)
憲法は「個人の尊厳」に寄与するもの、国民の幸福に奉仕するべきものです。
だからこそ、憲法改正を通じて、国民の幸福をどのように増進していくのか、総理大臣はそのビジョンを示すべきではないでしょうか。
◆道州制の危険性
また、日本維新の会は、地方自治について規定している憲法第8章を改正し、「道州制」を憲法に明記するとしています。(4/26 読売「維新の会、憲法改正素案に道州制を明記」)
しかし、「道州制」は日本を危うくします。国家の外交・安全保障の根幹に関わる沖縄県の米軍基地の辺野古移設を反対している仲井真知事はその最たる例です。
また、与那国島に陸上自衛隊「沿岸監視部隊」を配備する計画に対して、外間町長が市町村協力費として10億円を求めて、用地取得が暗礁に乗り上げ、自衛隊の配備計画が白紙に戻ろうとしている現状もあります。
獲得票数619票で選出された町長が、日本の安全保障の根幹に大きな影響を与えているのが現状です。
知事のみならず、町長までも日本の安全保障政策が影響を受けてしまう現状において、主権を道州に移譲する「道州制」「地域主権」を導入して果たして日本は大丈夫なのでしょうか?
この「国難」の時期に、道州制を推進するのは、無責任で不見識と言わざるを得ません。
◆憲法守って国滅ぶ
「最大多数の最大幸福」を実現するためにも、政府は「国民の生命・安全・財産」は守らなくてはなりません。
北朝鮮は、長距離ミサイルと核兵器をチラつかせて、虎視眈々とアメリカと韓国の腰砕けを狙っています。
中国は4月23日、尖閣諸島周辺の中国の海洋監視船「海監」8隻の侵入と共に、中国軍の戦闘機など40機以上を尖閣周辺に飛来させました。
さらに、4月26日の中国外務省の定例会見では「尖閣諸島を核心的利益」と発言しています。
日本国憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とありますが、今の日本を取り巻くアジア情勢を考えれば、憲法の前提が当てはまらないことは明白です。
このまま、GHQの日本占領政策として作成された「自分の国を自分で守る」ことを禁じる憲法9条を把持し続けるならば、日本という国家は間違いなく消えて無くなるでしょう。
今こそ、日本は「自分の国を自分で守る」普通の国へと脱却すべきです。
◆明確な国家ビジョンと打つ手を示してきた幸福実現党
幸福実現党は2009年の立党以来、憲法9条の改正を柱として「自分の国を自分で守る」防衛を訴えてきました。また同年、「日本のグランド・デザイン」として、「新・日本国憲法試案」を発表しました。
さらに、2010年からは、憲法改正では間に合わないからこそ、即応力ある日本の国防を実現するために、日本に対して危害を与える国に対しては、憲法9条の適用除外宣言をするべきであると訴えて来ました。
憲法改正をはじめ、日本の国難を突破するための政策をブレずに提言し続けて来ました。
今、日本の政治に必要なのは「見識」です。幸福実現党は「確かな見識」で、日本に必要な正論を断固貫いて参ります。(HS政経塾部長兼、政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ)
強まる米中接近――日本は自主防衛体制構築を急げ![HRPニュースファイル624]
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◆尖閣の危機と日米同盟
4月26日、中国外務省の華春瑩報道官が、尖閣諸島について「中国の核心的利益だ」と明言しました。
中国はこれまでも、尖閣諸島を「核心的利益に準ずる地域」としてきましたが、公の場で「核心的利益」と明言したのは初めてのことです。
これに先立つ23日には、「中国の主権を侵害する日本船の監視」を名目に、尖閣諸島周辺の日本領海内に中国の海洋監視船8隻が侵入しています。
現在では、国際的批判を恐れ「核心的利益」との表現から若干のトーン調整を図っているようですが、中国が尖閣諸島の領有権を主張していることに変わりはありません。(4/28 産経「『尖閣は核心的利益』発言をあいまいに修正」)
このような中国の野心丸出しの行為に対して、現在のところ、日本は日米同盟に頼るしかない状況です。
小野寺防衛大臣は、4月29日、アメリカのヘーゲル国防長官と会談し、尖閣諸島が日米同盟の適用対象であることを改めて確認。ヘーゲル国防長官は「アメリカは、一方的、抑圧的な行動や、日本の行政コントロールを軽視する目的の行動には反対する」と述べて中国をけん制しました。
◆沖縄の反米運動と日米同盟の危機
日本にとっては歓迎すべきことではありますが、日米同盟自体が、現在、危うい状況に置かれているため、決して安心することはできません。
その理由の一つは、日本国内に日米同盟を脅かす勢力があるということです。
極東地域の防衛に欠かせないオスプレイ導入に反対する勢力があることはその一例で、反対派の意見を無視できない地方自治体の長も難しい対応を迫られています。
昨年7月、オスプレイが山口県の岩国基地に陸揚げされた後、普天間基地に配備されましたが、今年も追加配備が予定されています。
岩国基地容認派である岩国市の福田市長も、最終的には岩国基地への搬入を認めたものの、4月26日時点では反対派に配慮してか「(オスプレイは)岩国を経由せず、沖縄の那覇港湾施設に陸揚げすることが筋だ」と難色を示しました。(4/27 中国新聞「オスプレイ『那覇に直接搬入を』 岩国市長 追加配備控え言及」)
「正論」(2013年6月号)によれば、沖縄県普天間基地周辺では基地に反対する「活動家」たちが、アメリカ兵に対して罵声を浴びせ、自動車を蹴飛ばすといった暴力行為を起こしていますが、警察は適切な取締りをしておらず、エスカレートしています。
ある米海兵隊員は胸を殴られ、診断書を持って被害届を出したのに、宜野湾署に受理されなかったといいます。
◆米中接近を警戒せよ!
二つ目の理由は、米中接近の動きが加速しているということです。アメリカは、財政面でも世界の警察官としての機能を失いつつありますが、現政権の思想傾向からも、親中の動きが出始めています。
オバマ大統領が国務長官(日本の外務大臣にあたる)に指名したジョン・ケリー氏は、ベトナム戦争に従軍後、ベトナム戦争で得た勲章を投げつけるといった反戦運動を行っているリベラル色の強い人物です。
さらにケリー長官は、中国はアメリカの最大の債権国であり、最もありがたい「銀行」であるとして、米中経済一体論を提唱するなど「親中」の思想を持っています。
ケリー長官は北朝鮮のミサイル発射問題に際し、アジア諸国を歴訪した際も、中国に対し、「中国がより強く北朝鮮を説得しようと努力するなら、ミサイル防衛システムや北朝鮮沖合に派遣されているイージス艦などの米軍事力を撤回する」との趣旨の発言をしています。(4/15 ウォールストリートジャーナル「北朝鮮が核廃棄開始なら、対話の用意=米国務長官」)
このことからも、ケリー長官は、北朝鮮や中国が理性的な交渉に応じ、軍事力を放棄するような国であるという誤った認識を持っていると考えられます。
一方、同盟国である韓国に対して「北朝鮮の挑発的行為を阻止するために連携する」と言いながら、北朝鮮が反発を強めていた米韓軍事演習で多くの訓練を中止したことを明らかにしました。
これは、同盟国を守るより、好戦的な態度の北朝鮮に屈したことを意味します。「中国包囲網」を形成して来たヒラリー・クリントン前国務長官時代から一転、米国が親中姿勢を強めていることは要注意です。
このような思想傾向を持っている人物が国務長官にいる以上、今後、中国が日本に脅しをかけてきた際、米国は日本より中国を選択する可能性もあり得ます。
◆早急に自主防衛体制を築け!
北朝鮮のミサイルはもちろん脅威ですが、北朝鮮問題をきっかけに米中が接近し、中国に圧力をかけてきたアメリカの軍事力が失われることを、日本は何よりも恐れるべきでしょう。
実際、日米同盟は、1年前に相手国に予告することによって、一方的に廃棄できることになっています。すなわち、いつアメリカから「破棄する」と言われてもおかしくないのです。
たとえ、今まで通り日米同盟が存続されるとしても、日本が早急に集団的自衛権の行使を認め、同盟国としての義務を果たすとともに、「自分の国は自分で守る」という自助努力の姿勢を見せなくては機能しません。
日本は一刻も早く、「自分の国は自分で守る」という自主防衛体制を築き、自由主義・民主主義の価値観を共有する諸外国とも力を合わせ、自由を抑圧する国の脅威を打ち破らねばなりません。(文責・政務調査会部長代理 小川 佳世子)
TPPに向け、日本農業の大胆な構造改革を![HRPニュースファイル623]
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◆「聖域」議論に終始するTPP議論
政府は「『聖域なき関税撤廃』という環太平洋連携協定(TPP)の理念が、交渉次第では『聖域ありき(例外ありき)』である」ということをTPP交渉参加の大義名分としています。
昨年末の総選挙で当選した295人の自民党議員の内、約70%の205人が選挙公約で「TPP参加反対」を表明していた以上、「聖域を守ること」は彼らの政治生命を確保するためにも至上命題であるのでしょう。
実際、政府のTPP参加表明後、日本のマスコミの関心の的はもっぱら、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の原料作物5項目の聖域を守れるかどうかの一点に絞られています。
しかし、これら5項目だけで500品目を超えており、TPPが従来の貿易協定を超えた高度な自由化を目指している以上、5項目全ての聖域化が困難であることは言わずもがなです。
米通商代表部高官は26日、共同通信のインタビューに応じ、TPP交渉合流をめぐり「日本には高水準の貿易自由化を耐え抜く決意があると確信している」と述べ、コメなど農産物の重要5品目を関税撤廃の例外とする「聖域化」を貫こうとする日本側をけん制しています。
日本は7月下旬に開催する方向の交渉会合から合流する構えですが、高官の一連の発言で、日本が重要農産品を関税撤廃の例外とする主張を通すのは容易でないことが浮き彫りとなっています。(4/27 河北新報社)
林芳正農水大臣は「聖域が認められないなら交渉から離脱覚悟だ」と発言するなど、交渉国向け、国内向けに二枚舌よろしく閣内バラバラな発言を行っていますが、今後の交渉は、まさしく綱渡りだと言えましょう。
◆構造改革で農業を強化したニュージーランド
世界最大の乳製品輸出国であるニュージーランドは、そもそも、いかにして今日の地位を築いたのでしょうか?
ニュージーランドの酪農・乳業の今日の発展は、1980年代初めの「経済、農業の自由化」と、2001年の大規模酪農・乳業組合「フォンテラ」誕生の「二つの構造改革」によってもたらされたと言われています。
1940年以降、政府は酪農を中心とした農業部門に手厚い補助金をつけ、その額は農産物販売額の30%に及びました。
しかし、72年の英国のEC加盟を機にニュージーランドは農産物輸出の中心市場を失い、その後のオイルショックによる国内のインフレ、財政赤字の拡大等、経済状況の悪化に悩むこととなりました。
1984年に政権についた労働党は「ロジャーノミクス」と呼ばれる自由主義と財政緊縮による大胆な改革を実施しました。
これにより、農業部門は補助金が全廃されるなど、これまでの様々な政府支援が無くなりました。
その後、農家の中には補助金に頼らず、コストの削減や、市場に対応した製品づくり、環境を重視した農業への取組みが生まれ、その取組みは徐々に拡大し、酪農を含め、農業のあらゆる分野に広がっていきました。
こうした取組みは「農家の意識変化と経営努力を促がし、競争力が強化され、農家はさらに強くなっていった」と言われています。(2010/3 「農中総研調査と情報」第17号)
◆日本農業の大胆な構造改革を断行せよ!
日本とニュージーランドでは酪農を取り巻く環境、諸条件の違いがありますが、補助金を全廃し、自由競争を促すことで、農家が自立し、国際競争力が高まったという事実に学ぶべきところが多いのではないでしょうか。
そもそも、TPPにおいては「関税の撤廃・削減」は一過程に過ぎず、TPPの目指すところは、世界共通のルールを作り、グローバルな国際市場において自由競争を活性化していくことにあり、政府は農業の国際競争力向上にこそ注力すべきです。
今年1月、農林水産省が「攻めの農林水産業推進本部」を設置。「担い手への農地集積や耕作放棄地の解消を加速化し、法人経営、大規模家族経営、集落営農、企業等の多様な担い手による農地のフル活用を目指す」など、大胆な農業改革が掲げられました。(4/23 農林水産省 第7回産業競争力会議)
今こそ、政府は「聖域化」の議論に終始することなく、農業に関わる国内の規制を撤廃すると共に、大胆に保護農政を見直し、農業の自由化・大規模化を促し、農業の真なる自立、競争力強化を目指した構造改革を断行すべきです。(文責・岐阜県参議院選挙区代表加納有輝彦)
国家に宗教的精神を取り戻し、真なる「主権回復」を![HRPニュースファイル622]
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◆今こそ、自主憲法制定を!
昭和27年のサンフランシスコ講和条約発効から61年目となる4月28日、政府は、天皇・皇后両陛下ご臨席の下、「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を開催しました。
第二次大戦後、日本は米国による占領下に置かれましたが、昭和26年9月に同条約に署名し、27年の発効を受けて主権を回復しました。
同条約発効後も米国の信任統治下に置かれた沖縄県内では、同日を「屈辱の日」として式典開催を批判する声もあり、同県の仲井真知事も式典を欠席しました。
しかし、同条約発効時に「日本は沖縄に対し潜在的主権を持つ」という合意がなされていたことが、20年後の沖縄の祖国復帰に繋がったことは明らかで、同日が日本国全体にとって記念すべき日であることは確かです。
中国や北朝鮮などの軍事的脅威が迫る中、主権国家としての自主防衛の意識を高め、超党派で協力体制をつくるためにも、意義のある式典であったと言えます。
また同日、「主権回復記念日国民集会」が日比谷公会堂で開かれ、出席した国会議員からは、自主憲法の制定を求める声が相次いだといいます。
自民党は本来、自主憲法の制定を党是としており、安倍首相も、まずは憲法第96条を改正し、憲法改正要件を「衆参両院の3分の2以上の賛成」から過半数に引き下げることを目指し、今夏の参院選でも争点化したいとの考えを示しています。
真なる国家主権の回復のためには、米国占領下で定められた憲法を廃棄し、新たに自主憲法を定めることが不可欠です。
幸福実現党も09年の立党当初より、自主憲法の制定を目指しており、憲法改正の流れを加速させたいと考えています。
◆自民党憲法試案が掲げる「天皇元首制」
自民党の憲法試案の大きな項目の一つが、天皇元首制に関する規定です。
自民党が昨年4月に発表した憲法改正草案では、第一章の第一条で「天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」とされています。
確かに、天皇を元首とすることで、日本の歴史と伝統の象徴である天皇の地位と威信を高め、日本人の誇りを取り戻そうとする気概は評価できます。
しかし、元首には、政治的権力と共に、大きな責任も生じるため、天皇元首制は、むしろ天皇の立場を危うくする可能性が高いと言えます。
先の敗戦後、多くの日本人が「戦犯」として処刑されましたが、天皇が元首であったために、天皇が「戦犯の長」として処刑される危険性もあり得たわけです。
日本の歴史と共にあり、日本の伝統そのものである皇室を守っていくためには、あくまで政治権力から独立した文化的存在として尊重していくことが大事だと言えます。
幸福実現党の大川隆法総裁が09年に発表した新・日本国憲法試案では、第4条で「大統領は国家の元首であり、国家防衛の最高責任者でもある」とし、第14条で「天皇制その他の文化的伝統は尊重する。しかし、その権能、及び内容は、行政、立法、司法の三権の独立をそこなわない範囲で、法律でこれを定める」としています。
文化的存在として皇室が守られつつ、過度な責任が発生することのないよう、慎重に配慮した規定だと言えます。
◆天皇の宗教性を隠蔽している現行憲法
ただ、自民党が「天皇を元首と明記すべき」とした背景には、「現行憲法における天皇の立場が曖昧であることが、日本の国家としての機軸を失わせ、主権を弱めている」との問題意識があり、それ自体は正しいと言えます。
皇室は日本神道の最高神とされる天照大神の直系子孫であり、日本神道の最高神官です。しかし、現行憲法において、こうした宗教的本質が隠蔽されていることが、天皇の立場を曖昧・複雑にしているのです。
実は、この問題は、明治憲法制定時から始まっていたものでもあります。同憲法では「日本神道は宗教ではない」という特殊な前提を置いた上で、天皇を国家の機軸としました。
これは、国家の機軸として何らかの精神的存在を求めていたものの、「特定の宗教を国家に取り入れることは、近代的立憲主義に反し、信教の自由を危うくする」と考えた、当時の憲法起草者の苦肉の策であったと言えます。
しかし、こうした宗教に対する不理解が、後に「国家神道」といわれる特殊な文化形態を生み、結局は「信教の自由」を損なう結果を招いてしまったと言わざるを得ません。
◆国家の機軸としての宗教的精神を
宗教的精神を国家の基軸に据えつつも、宗教を弾圧せず、信教の自由を守ることは可能であるはずです。
日本は伝統的に、神道と仏教を緩やかに融合させた「神仏習合」を国是としており、最高神官でありながら仏教に帰依し、鎮護国家を目指してきた天皇も多く存在します。
しかし、明治憲法で天皇の宗教性が否定され、さらに敗戦後、日本を占領した米GHQが、国民の反発を招かないよう天皇は存続させつつも、厳格な政教分離規定を定めることで、天皇の宗教性を隠蔽し、その威信を低下させると共に、あらゆる宗教的精神を政治の場から排除し、国家の機軸を奪って来ました。
よって、「天皇は日本神道という宗教の最高神官である」という正しい前提に立った上で、皇室の威信を高めると共に、神仏習合の精神を基盤とした宗教的精神を国家の機軸として取り戻すべきです。
大川隆法総裁の新・日本国憲法試案の前文には、「われら日本国国民は、神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展を目指し、神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠と定め、ここに新・日本国憲法を制定する」としています。
こうした宗教的精神に基づく新たな自主憲法の制定が、日本が「真なる主権国家」として新たな歴史を歩むために、今求められていることなのです。(文責:HS政経塾第二期生・徳島県本部参議院選挙区代表 小松ゆか)
中国の尖閣諸島侵攻に向けた海空の新戦略に備えよ![HRPニュースファイル621]
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◆中国軍機40機超が尖閣上空に接近
[HRPニュースファイル619]で取り上げたように、中国外務省の華春瑩副報道局長が26日の定例記者会見で尖閣諸島を「中国の核心的利益だ」と明言しました。
それを裏付けるかのように23日、尖閣諸島周辺の日本領海内に中国の海洋監視船「海監」8隻が侵入しています。同時に8隻の領海侵犯は初めてのことです。
また、それと連動させて中国は戦闘機40機超を尖閣上空に接近させています。
今回、40機の戦闘機を入れ代わり立ち代り飛来させることでスクランブル発進した航空自衛隊戦闘機パイロットの疲労を狙ったものです。(4/27産経「尖閣に中国軍機が40機超飛来 前代未聞の威嚇 空自パイロットの疲弊狙う」)
その際、中国軍は新型「第4世代戦闘機」Su27とSu30を投入しています。「第4世代戦闘機」は中国が560機に対して日本は300機で、政府高官は「今回の威嚇飛行が続けば、空自は対応できなくなる」との懸念を示しています。(同上)
今後、中国は海洋支配と同様、尖閣諸島の領空侵入も長期戦に持ち込み、徐々に実効支配を進めていくものと見られています。
日本は早急にシフト可能な戦闘機を尖閣対応に回し、合わせて戦闘数を増やす対応を取るべきです。
◆海洋監視体制の強化――「中国海警局」の創設
今回の中国船8隻の領海侵入の背景として、中国が海洋で尖閣諸島への実効支配に向けた新たな管理体制を強化したことが挙げられます。
3月の全国人民代表大会では「国家の海洋権益を守っていく」との強い決意が示されました。
その上で、「中国国家海洋委員会」を設け、尖閣諸島支配に向けた指揮や情報の一本化を図るため、「中央海洋権益工作指導小組」を新設。トップに習近平総書記が就任していることを見ても、尖閣侵攻に向けた強い意気込みが伝わってきます。
もう一つ、中国は国家海洋局を改編、海洋管理体制を統一して権限を強化。それまでバラバラで縦割りの組織であった国家海洋局の監視船、農業省所属の漁業監視部隊、公安省の海上警備部隊などの海洋を管理する組織を統合し、「中国海警局」を新設しています。
「中国海警局」の隻数は統合に伴って450隻となりました。既に海上保安庁の巡視船の隻数を大幅に上回っています。
注目すべきは、海警局に「警察権」が与えられている点です。例えば、尖閣近海で操業する日本漁船に対し、「中国領海で不法操業した」として拿捕し、日本人船員を逮捕して中国本土に移送、拘束ができるようになります。
海警局の公船の一部は軍艦を改良したものもあり、武器を装備しているため、漁船や海保巡視船では対処する手立てはありません。
おまけに、中国海警局はあくまで軍隊ではなく「警察機能」であり、軍艦ではないため、対抗措置として海上自衛隊を出動させることは出来ません。
仮に日本が海上自衛隊を出した場合、中国は「日本が先に軍事行動を起こした」「日本が先に手を出した」と国際社会に弁明の上、海軍軍艦を出して来るでしょう。
この場合、日米安保条約第5条(共同対処宣言)も適用されず、米軍も動けません。中国国内でも人民の反日感情を煽ることもできます。
◆早急な「領海警備法」の制定を!
昨年8月の「改正海上保安庁法」で尖閣諸島で「外国人の不法上陸」などが起きた際、犯人逮捕などの警察権を行使できるようになりました。
しかし、武器装備を持った「中国海警局」の公船を封じるためには、海上保安庁の武器装備を持つ特殊警備隊の巡視船を増やすと共に、「自衛権」を与えるなどして、海上自衛隊の艦船とのスムーズな連携が可能な「領海警備法」の制定を急ぐべきであります。(文責・政務調査会・佐々木勝浩)
待機児童解消と「保育の質」向上に向けた保育制度改革を![HRPニュースファイル620]
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◆「待機児童ゼロ」を目指した改革
わが国の現行の保育制度は、需要量に対して供給量が圧倒的に不足しているという構造的問題があり、少子化対策や女性の社会進出の妨げとなっています。
現在、都市部を中心に保育所に入りたくても入れない待機児童の問題が深刻化しており、平成24年10月時点での待機児童は46,127人となっています。(厚生労働省「保育所待機児童数(平成24年10月)」)
政府試算によれば、潜在的には全国で100万人規模の供給不足が存在していると推定されています。(内閣府「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議(2007))
こうした実態を受けて、待機児童増加を「社会問題」と捉え、「新たな保育の仕組み」を導入する作業が進められています。
4月26日、政府は、子育て支援制度の具体策を検討する「子ども・子育て会議」の初会合を開き、待機児童の解消に向けた取り組みをスタートさせました。(4/26 NHK「待機児童解消 施設基準検討へ」)
5年前、自民党政権は「待機児童ゼロ作戦」を打ち上げ、認可保育園で保育を受ける0~2歳児の割合を、当時の約20%から5年後に29%、10年後に38%まで引き上げる目標を設定。10年間で保育園への入園児を約2倍近く増やす目標を打ち出しました。
以来、保育園と学童保育の量的拡大を目指したプランが続々と出されて来ました。
◆待機児童増加の背景
確かに、保育園の定員枠を増やすことは現代社会のニーズではありますが、待機児童の増加については、その背景にある、いくつかの大切な視点が見落とされています。
例えば、待機児童増加の背景には、長引く不況があります。景気回復や経済成長こそが、家庭の経済事情を改善し、子育てしやすい環境をつくるのです。
私、中根裕美は、かつて地元自治体が設置する子育て支援センターで相談補助員をしていたことがあります。その際、忘れられない経験をしました。
一歳児の子どもを育てておられるお母様が、「自分で子育てをしたいけれど、自分も働きに出なければ生活が厳しくてやっていけなくなった」と、涙ながらに話されました。
子どもを保育園に預ける家庭の中には、望んで共働きをしている家庭もあれば、ダブルワークを余儀なくされている家庭もあります。
子どもを保育園に預け、昼間は仕事、夜はパチンコ店の清掃をしている、お母様の声も聞いたことがあります。
最近、私は民間託児施設の立ち上げに参画し、保護者のニーズに応えることができる事業計画を練っていますが、料金設定では頭を抱えてしまいます。
働きに出ている母親の給料が、保育料金だけで飛んでしまうのではないかと。
実際、保育現場で感じることは、保育園に子どもを預けることを「積極的な選択」として選んだわけではない家庭があります。その背景には、必ずと言って良いほど、経済的問題があるのです。
消費増税による景気悪化は不幸な家庭を増やすことになり、絶対に消費増税はストップすべきです。
◆規制緩和で保育制度の改革を!
現在、待機児童解決の方法として、認可保育園を建設・増改築(公的資金を投入)し、定員を増やすことが議論されていますが、現在の自治体の財政悪化を鑑みると厳しい現実があります。
そこで、保育制度の規制緩和を提案したいと思います。
保育業界では、依然として「官業の民業圧迫」が続き、競争原理も働いておらず、著しい非効率が見られます。
今こそ、保育の公的仕組みを抜本から見直し、「利用者が保育園を選択する仕組み」「市場原理」「民間企業の活力」を取り込み、保育分野の規制緩和、準市場化を推し進めるべきです。
財源不足下でも待機児童解消と弱者救済が両立する保育制度改革の一つの案として、保護者と園が直接契約をする「保育バウチャー制」が挙げられます。
「バウチャー」とは、保育目的に利用できるクーポンのことで、例えば、市町村が保育園利用者に「バウチャー券」を年に12枚支給。保護者は好きな園を選択して、保育料の支払いに利用します。自分で努力して育てる人には保育費が還付される仕組みです。
バウチャー制によって、園児獲得のために保育園間の競争が促進され、「保育の質」の向上を図ることができます。
これにより、小さな規模の保育施設であっても質の良い保育を提供している園であれば、利用者が増え、更に事業を拡大することも可能となります。
子どもにとって良い園が増えていくことは、保護者にとっても嬉しいことです。
◆乳幼児期に必要な保育・教育の「あるべき姿」
また、保育園における「保育の質」については、商業ベースでの「学校教育の先取り」のような形のものではなく、「生きていく力」「徳育」など、この時期にこそ体得すべきものを尊重していくべきです。
保育制度改革においては、待機児童問題のみならず、乳幼児期に必要な保育・教育について、「教育のあるべき姿」とは何かという、根本的な課題にも目を向けるべきです。(文責・愛知県参議院選挙区支部長:中根裕美)
中国が「尖閣は核心的利益」と公言――日本の戦略性の欠如[HRPニュースファイル619]
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◆尖閣、沖縄に忍び寄る「赤い触手」
4月26日、中国外務省が尖閣諸島について、公式に「中国の核心的利益だ」と明言しました。中国共産党、政府関係者が公の場で「核心的利益」と認めたのは初めのことです。(4/26 産経「尖閣は『核心的利益』中国、初めて明言」)
中国政府が言う「核心的利益」とは、台湾やチベット、ウイグルなど、「いかなる代償を支払っても守るべき利益」という意味であり、今回の発言は「武力行使をしてでも尖閣諸島の主権を確保する」と公言したに等しいと言えます。
このことを裏付けるように、23日、尖閣諸島周辺の日本の領海内に、中国の海洋監視船「海監」8隻が侵入ました。
今後、年内には中国初の空母「遼寧」の沖縄周辺通過も予想されており、さらに中国海軍は23日、空母「遼寧」に続く新たな空母建造を発表しています。(4/24 産経)
また、先日、中国政府が発表した2012年版「国防白書」には、核兵器を相手より先に使用しないとする「先制不使用」政策が削除されていました。(4/23 産経「核の『先制不使用』外す 中国、国防白書 政策を変更か」)
これまで、中国は「核先制不使用」を宣言していましたが、今後、中国の核の先制使用の可能性が出たことは、日本の国防にとっても大きな脅威となります。
◆「新しい防衛計画の大綱」はいかにあるべきか?
このような国難が深刻化する中、自民党国防部会が新しい防衛計画の大綱に対する提言をまとめました。(4/23 産経「自衛隊の機動力強化、原発警護を明示 新防衛大綱の自民案判明」)
提言は「基本的安全保障政策」において、自主憲法と国家安全保障基本法の制定、日本版国家安全保障会議(NSC)の設立について言及、さらに「新たな防衛力の構築」では、従来の動的防衛力に代わる動的機動防衛力の整備などを提言しています。
具体的には中国と北朝鮮への対応を重視し、特に中国対策として尖閣諸島奪取に備えて領域警備法を整備するなどの対策を提示しています。
さらに本格的な核抑止戦略の調査研究を提言するなど、従来の国防政策を一段と前進した内容になっています。
しかし、このような対策をとったとしても安心できません。いつでも、そうした予測を覆す事態は起こり得るからです。
このような計画を策定する際には、まず日本の国益を定め、国益を維持できるにはどのようにするかを考えるべきです。兵器や能力をどのように整備するかということだけでは不自由分です。
◆日本の戦略性の欠如
安全保障戦略においては、中国や北朝鮮などの直近の脅威について言及することも確かに重要ですが、それよりも日本が世界において、どのような役割を演じるべきかという大局観がなければなりません。
日本は四方を海に囲まれた国であり、このような海洋国家は、海上における交易で成り立つ国です。大英帝国の発展が交易によっていたことを考えれば、日本の発展も海上における交易がキーポイントとなります。
現在、様々な輸送手段が発達していても、いまだ海上輸送が主流であり、「海の安全をいかにして守るのか」は、経済の観点からも、国防の観点からも、エネルギー安全保障の観点からも重要なポイントです。
また、経済が盤石でなければ、国防も盤石ではあり得ません。
現在の安全保障政策の重要なポイントは、ハイテク兵器などではなく、「国益の達成のために国の資源をどのように使うのか」という戦略と、それを有効的に使うための人間の能力にこそあります。
人間の能力を十二分に発揮するためには、経済が発展しているかどうかが極めて重要になるのです。
◆戦略性あふれる安全保障政策を!
これまで、日本人は戦後のまどろみの中で、「戦争については、とにかく考えなければ良い」という至極甘い考えを続けて来ましたが、今までの延長線上では、日本が植民地になることは避けられません。
日本も戦争を仕掛けられる事態を想定すべき時期に至っています。新しい防衛計画の大綱にも、そういう観点からの戦略的思考が必要です。
幸福実現党は「自分の国は自分で守る」という自主防衛を立党当初より打ち出してきました。
また、幸福実現党の経済政策、エネルギー政策、未来産業振興政策、TPP政策等は、いずれも戦略的国防の観点に立脚しています。
幸福実現党の戦略性あふれる安全保障政策によってこそ、真に日本を守る抜くことができるのです。(文責・黒川白雲)
日本の強みを活かしたアフリカ外交を![HRPニュースファイル618]
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◆日本と中国のアフリカ戦略の違い
若年層人口の急増、豊富な天然資源、計り知れぬ潜在力を持つアフリカ大陸は、世界中で大注目を浴びています。
しかし、日本人のアフリカに対する印象は「貧困」「飢餓」「紛争」といったイメージが未だに強く、距離的な遠さもあってか、官民ともに腰が重く、世界の潮流に乗り切れていません。
一方、中国は距離的な問題を超え、長年に渡ってアフリカ諸国に対し、積極的な資源外交を行ってきました。
中国は資源権益の見返りに、インフラ整備から大統領府や学校の建設までアフリカ諸国が求めるものを提供して来ました。
実際、アフリカ在住の日本人約5千人に対し、中国人は既に100万人に達しており、アフリカにある日本大使館は32カ国にあるのに対し、中国大使館は49カ国にあります。
また、中国の対外経済援助累計の半数近くがアフリカ向けで、いかに中国がアフリカ外交を重視しているかは明白です。(4/21 日経)
実際、習近平氏は国家主席に就任して間もなく、アフリカ3か国を歴訪し、今後3年で総額200億ドル(約2兆円)という大規模な借款の実施を表明しました。(4/14 日経)
これは日英仏の対アフリカ政府開発援助(ODA)を大きく上回っており、対テロ関連支援を膨らませてきた米国に次ぐ規模です。
更に、中国企業を約30社も同行させ、複数の大型開発案件の契約締結の支援、港湾などインフラ整備や軍事技術の供与拡大などを目指し、アフリカでの存在感を高めることに必死です。
この一連の動きは、6月初旬、横浜で開催される「第5回アフリカ開発会議(TICAD)」を意識した、日本の対アフリカ外交への牽制的な動きとも言われています。(3/22 日経)
◆TICADと日本の課題
TICADとは、Tokyo International Conferenceon African Developmentの略で、日本政府主導の下、アフリカ開発の貢献を主題として、1993年から5年に1回のペースで開催されており、今回で5回目の開催となります。
当初はアフリカ諸国からのTICADに対する期待感は非常に高かったのですが、日本企業のアフリカ進出を後押しする日本政府の具体的施策が欠如しており、回を経るごとにアフリカ側の期待感は冷めつつあります。
だからこそ、5年に1度しかない今回のTICADは、アフリカ側の失われた期待感を取り戻す絶好のチャンスです。
今回、安倍政権はTICADにおいて日本企業の投資を促す援助の強化を打ち出す方針を固めており、岸田外務大臣も、官民一体となってアフリカを支援する姿勢をアピールしていますが、この背景には財政事情からODAを増やすことが難しくなっていることがあります。
◆日本の常任理事国入りを阻んだ中国によるアフリカ票の取り込み
こうした日中の対アフリカ外交の「差」が、日本の国益を大きく損なった出来事が、2005年の安保理改革で起こりました。
それはドイツ、インド、ブラジルとの4カ国(G4)と共に、悲願の常任理事国入りを目指した安保理改革においてです。
当時の町村外相が50カ国以上の大票田である「アフリカ票」の取り込みに力を注ぎましたが、中国がアフリカ諸国の切り崩しに動き、G4はアフリカ連合(AU)との連携に失敗。G4の安保理拡大決議案は国連総会で廃案となりました。
共同通信が入手したAUの報告書によると、中国は「もし中国と利害が反目するある国(日本)の常任理事国入りを支持すれば、アフリカを支持する中国の立場は変わるだろう」と脅迫めいた要請を続けていたそうです。
一方で、日本からは誰も政治家がアフリカ入りせず、過去のODA実績とアフリカ諸国の親日感情に油断をした日本政府の対応のまずさが指摘されています。
◆中国の世界戦略に対して、日本の強みを活かしたアフリカ外交を!
中国には極東のみならず、中東、アフリカに至るまでの世界視野での国家戦略があります。
暴発しつつある北朝鮮、混迷を極める中東やアフリカの背後には、中国の存在がある事実を受け止め、日本政府も長期的な視点から、中東やアフリカで「敵を減らし、味方を増やす」賢い外交を展開すべきです。
アフリカ外交で、日本政府が採るべき戦略の第一は「積極的なODA」です。
資源だけを調達し、製品を売り込む中国に対してはアフリカ内部からも批判が続出している今だからこそ、日本の産業力、技術力を強みとした大規模なODAによる「太っ腹外交」を展開すべきです。
第二に、日本人の安全を政府が守る姿勢を強固にすべきです。そのためには、自衛隊法を改正し、海外に駐在する日本人が、存分に世界で活躍できるように「安心感」を与えるべきです。
以上を踏まえ、日本政府は6月の第5回TICADでアフリカ諸国を歓喜させるような新機軸を打ち出すべきです。
5年に一度の大きなチャンスを逃さないよう、日本政府が常に世界視野での外交を展開していくことを切に願う次第です。(文責・山形県参議院選挙区代表 しろとり良太)
日本経済復活に必要な成長政策 [HRPニュースファイル617]
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筆者は、HRPニュースファイル576でアベノミクスの成長戦略に関して論じました。この小論でも述べた通り、経済学者からは、「成長戦略は政府主導の色彩が強い」という意見を紹介しました。
よって、民間経済を活性化することを目的とするならば、「成長戦略」ではなく「成長政策」と呼ぶべきです。
前者は政府主導で社会主義的、後者は市場の効率性や競争力を高める自由主義的な発想に基づいています(*この議論は片岡剛士著『アベノミクスのゆくえ』が有益な参考文献)。
代表的な成長政策には、公企業の民営化があります。
旧国鉄がJRになり、日本電信電話がNTTとなったことは有名ですし、近年では小泉政権時代に実施した郵政民営化が記憶に新しいところです。
ただし、サービス向上と財政赤字削減に不可欠な政策ですが、いわゆる「抵抗勢力」からの反抗が激しいのも事実です。イギリスのサッチャー元首相が「英国病」克服のためにとった民営化もストやデモなどといった反発に会いました。民営化問題は政治問題に発展しやすい難題です。それでも、JRやNTT、JTなどが民営化によるサービス向上は事実ですので、大いに評価できると言えるでしょう。
次に規制緩和を挙げることができます。
伝統的な規制緩和による競争促進政策は、主に独占や寡占企業がある産業において行われます。ミクロ経済学の一分野として確立されている競争政策ですが、これまで数多くの研究が蓄積されています(参考文献:『規制と競争の経済学』清野一治著)。
食品の安全や環境問題に関する必要な規制は別として、競争を阻害している法律や法令を廃止していくことが典型的な規制緩和です。
例えば、幸福実現党は主に大都市を中心として建築基準法の容積率緩和を通じて子育てやリタイア後のお年寄りにも優しい住環境作りを主張しています(もちろん、日照権や耐震性等の問題、京都などのように歴史建造物が多い場所などでは配慮が必要なのは言うまでもない)。空中権を明確に認めて超高層ビルを駅前か駅ビルに作り、子育てから社会福祉までカバーできる多目的ビルの建築が可能となるという提案です。
こうした規制緩和の経済効果は計測が難しいですが、安価で良質なサービスが実現しているならば政策効果があると考えるべきです。加えて、低所得者層にも恩恵が及ぶことを考慮すれば、規制緩和は決して弱者切り捨て政策ではありません。
そして何よりも今話題となっている成長政策に必要な柱は、TPP参加と原子力発電所の再稼働です。
TPP(環太平洋経済連携協定)への参加は、貿易と投資の自由化を通じた成長が狙いです。関税や輸入割り当てなどの保護主義政策撤廃は、日本国内の効率性を高め、消費者に安価な製品を提供することができます。農業や社会保障関連からは根強い反対が出ているとは言え、消費者を犠牲にした保護政策をいつまでも正当化できません。もし保護したい分野があれば、参加国全員の承認や10年近い交渉時間が与えられるために、有利な条件を引き出すことは十分可能です。
一方、日本は既に世界各国と18の投資協定と10の二国間経済連携協定を結んでいます。また、世界最大の債権国であるので、投資受入国がルールを守ることを義務付けることで日本企業の財産を守ることができます。
経済産業省によるTPPの経済効果は、10年で3兆円程度と極めて小さいものですが、TPPは製造業の空洞化を防ぎ、地元の雇用を守ることができること。日本人の金融資産や知的財産権が保護されるわけです(参考文献『TPPでさらに強くなる日本』原田泰+東京財団著)。
一方、農業分野の損失は1兆円程度としても、補償措置を施すことによって相殺することも可能です。むしろ、国内の非効率性を改革する競争促進政策にもなるので、「強い農業」を作るチャンスにもなります。従って、安倍首相がTPP参加を表明したことは評価できます。今後の課題は別の機会に譲りたいと思います。
最後に、原子力発電の問題です。
幸福実現党は、ニュースファイルで何度も触れたように、早急な脱原発ではなく安全性の確保された原子力発電の再稼働を主張します。今後は、日本版スマートグリットや発送電分離の議論も行われますが、当面は再稼働による電力の安定供給が優先されなければなりません。また、再生可能エネルギーの技術革新による費用低下=電気料金低下の効果も十分あり得ます。現時点では、原発の再稼働との同時進行で安定した電力を供給することが国民の生活と産業を守ることになるのです。
以上、幸福実現党が考える成長政策について概略を述べました。
基本路線は政府の介入を最小限に抑え、民間主導の成長路線をつくることです。加えて、減税路線を加えることで幸福実現党が掲げる「自由からの繁栄モデル」となり、アベノミクスと差別化できます。部分的に重なる点があっても、根本の経済哲学が違うのだとご理解頂ければ幸いです。(文責:静岡県参議院選挙区代表:中野雄太)