[HRPニュースファイル447]「中国、尖閣海域で日本船を駆逐」報道に反論する

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幸福実現党の加藤文康です。先月10月29~30日に、尖閣諸島海域に個人的に行ってきましたので、今回はその報告を致します。

私はユートピア活動推進館で救国のための祈願を担当していますが、「四方(よも)の海立ち騒ぐとも神の国は守らるべし」という「中華帝国主義粉砕祈願」の経文を読誦する度に眼に浮かぶのが、あの尖閣諸島でありました。

その島影を一度は眼に焼きつけ、祈願のパワーとしたい、また現地で国土防衛のための祈りも捧げたい、そのように強く感じたのが今回の船旅の理由です。

10月30日午前7時、魚釣島間近の海域で、戦時中に亡くなった方の供養と、国土防衛の祈りを無事に捧げることが出来ました。ご支援頂いた海上保安庁の皆さんに、心より感謝申し上げます。

ちなみに、間近で見た尖閣海域は驚くほど豊富な漁場で、60~70cm級の鯛や、時には1m以上のマグロが次々と釣れました。

一方、それほど豊かな海域なのに、日本の漁船の姿が見受けられないのは極めて残念かつ異常な光景でありました。

というのも、同海域には最近、より多数の中国船が、より頻繁に侵入して、より長時間居座るようになっており、もはや日本の民間船が安心して航行できる状態ではなくなっていたのです。

私が魚釣島の沖合い約2kmにいた10月30日午前11時時点も、同島を取り囲むように中国の海洋巡視船「海監」(実態は武器を積んでおり、軍艦と同じ)4隻が居座っており、その内の1隻が正午頃、私たちの船に急接近するという事態がありました。

一瞬、緊迫した空気が流れたのも事実です。

これに関して、中国・国家海洋局は10月30日付のウェブサイトで「中国領海で不法な活動をしていた日本の船を領海から駆逐した」と吹聴しています。(11/3 日経新聞朝刊)

しかし、この海域は日本側が現在もしっかり実効支配しており、私たちは安心して釣りを楽しんだ後、予定通り正午に帰路に就いただけであり、海上保安庁のコメント同様、中国船に駆逐された事実など全くないことを明言しておきたいと思います。

ただ、あらゆる手段を通じて揺さぶりをかけてくる、中国側のやり口を垣間見た感じがして、思わず苦笑してしまいました。

ちなみに、私が現地でお会いした海上保安庁の皆さんは、過酷な環境下、実に頑張っておられました。小さなゴムボートで大海原を巡回する若い隊員の姿を見た時など、思わず涙が流れました。

されど、危機が近づいているのも事実です。圧倒的な力を持つ中国艦船と本格的に衝突したら、海上保安庁の装備ではとても太刀打ちはできないからです。

中国では11月8日から第18回党大会が開催され、いよいよ習近平体制がスタートします。

新総書記が自己の権力基盤確立と権威高揚のために、尖閣諸島を一気に攻略しないとも限りません。

神秘的なまでに美しく資源も豊富で、国防上の生命線でもある尖閣諸島を中国の侵略から守るためには、自衛隊法第76条の「防衛出動」が不可欠であり、有事の際には首相による自衛隊への防衛出動命令を絶対に躊躇してはいけない、と改めて痛感した今回の船旅でした。(幸福実現党研修局長・加藤文康)

[HRPニュースファイル446]「地域主権」が日本を滅ぼす――磐石な「国家主権」を目指せ!

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尖閣諸島の国有化より生じた、中国における反日暴動に続き、尖閣の実効支配を既成事実化するために、中国公船による領海侵犯が連日続いています。

中国の脅威が現実化する中、沖縄県知事の仲井眞氏は、10月21日から米ワシントンを訪問し、「沖縄・米軍基地の撤退」を主張するシンポジウムを初めて開催しました。

本来、沖縄県知事は県民の漁船操業の安全を確保するために必要な「日米同盟の強化」や、沖縄県の安全が脅かされないための「自衛力の増強」を求める状況にあるにも拘わらず、「狂気の沙汰」と言う他ありません。

国家主権の根幹に関わる「国防」に関して、日米印で中国包囲網を構築しようと外交努力が重ねられている最中、一地方自治体の立場から「沖縄・米軍基地の撤退」「オスプレイ配備の反対」を同盟国に対して強訴することは「日米同盟の連携」を断ち切る愚かな行為です。

しかも、仲井眞氏は帰国後、「基地問題を改善するためアメリカ政府の担当者や、もう少し上のレベルの人、それに安全保障の研究者らへの接触を頻繁にした方がよいと感じた」と述べ、今後もアメリカ側の関係者に積極的に働きかけていく考えを示しています。(NHK10/27「沖縄知事今後も米に働きかけ」)

「暴走する地方自治」をこのまま放置してよいのでしょうか?

地方行政の越権を押し止めることが出来ない民主党・野田政権には行政権の長を担う資格はありません。

実際、2010年に行われた沖縄県知事選挙では、政権与党である民主党は「自主投票」としつつも、事実上、「米軍基地の撤廃」を目指す伊波氏を応援し、自民党は「米軍基地の県外移設」を主張する仲井眞氏を支援しています。

唯一、「日米同盟の強化」と「普天間基地の県内・辺野古への移設推進」を明確に主張していたのは、幸福実現党公認・金城タツロー候補だけでした。

このことは政治評論家・三宅久之氏もTVタックルで「幸福実現党の主張がいちばん現実的だった」と評価しています。⇒http://www.hr-party.jp/pdf/news15.pdf

左翼は「沖縄に基地を押し付けている。差別だ!」と主張していますが、米海兵隊は「休戦状態にある北朝鮮の有事対応」や「台湾併合を目論む中国への抑止力」として、日本のみならず、アジアの平和と安定のために存在しているのです。

地政学上、沖縄県に米軍が配備されることが、東アジアの平和と安定にとって戦略的に意味があり、それが日本やシーレーンの安全を守っている戦略的位置づけを、政府やマスコミも明確に発信すべきです。

現在、「維新の会」のような地域政党が次々に誕生し、与党も野党も「地域主権」「地方分権」「道州制」等を競っています。

しかし、行政学者の田村秀氏は『 ' title='暴走する地方自治' target='_blank'>暴走する地方自治』(ちくま新書)において、地方自治の歴史的経緯や諸外国における地方自治のあり方を踏まえ、「国の意向などお構いなく、地域で全部決めて好き勝手にしても構わないと考える首長や関係者が増えてしまったことが、地方自治が『暴走』するようになった最大の原因」として、「地域主権の落とし穴」を指摘しています。

国家としての存立にかかわるものは「外交」「防衛」「エネルギー」「通貨」「司法」などがあり、こうした分野においては、国と地方自治体の役割分担を明確にして相互に協力する必要があります。

連邦制国家の米国では、原子力発電所の建設・運転については、連邦が許認可を判断することになっており、州の許可は必要ありません。

カリフォルニア州法に基づき「原発の是非を問う住民投票」が行われた際には、連邦最高裁は「安全・健康面の権限は連邦にあり、州はこれらを理由に立地を拒否できない」と判断しています。

英国でも、フランスでも同様に、国家の主権が優越することが諸外国の常識です。(『暴走する地方自治』より)

「地域主権」の大前提になる「国家主権」が重要なことは政治の基本です。それは、地域を蔑ろにすることではなく、主権者である国民の幸福を実現するために必要なのです。

現在、日本国憲法第8章(92条~95条)において「地方自治」が制定され、「国民主権」「住民自治」など、民主主義の諸原則が掲げられています。その理想や理念は非常に崇高で重要なものです。

しかし、歴史的には占領下において制定された日本国憲法には、「日本の力を削ぐために国家の手足を縛る意図」があったことを踏まえれば、民主主義の諸原則は美辞麗句に過ぎません。

そして、地方自治についての通説とされる「二重保障説」によると、国家権力が国民主権を侵害しないように「都道府県」と「市町村」との二段階が置かれ、住民をガードしているとされており、「国家への不信」が根底にあります。

このような憲法制定の背景からも「独立国としての主権」を磐石にするためにも、「地方自治」に関する憲法条項の見直しが急務です。

幸福実現党・日本国憲法試案第13条で「地方自治は尊重するが、国家への責務を忘れてはならない」と明確にしており、「地域主権」ではなく、国防や災害対応の際の中央政府の権限を強化してまいります。
※幸福実現党2012年10月度主要政策参照⇒http://www.hr-party.jp/pdf/manifest2012.pdf

国家よりも市民を重視する「自治基本条例」を最高規範として制定する運動も全国的に広がっていますが、「亡国の地域主権」「暴走する地方自治」の危険性を見抜き、磐石な国家主権を確立すべきです。(文責・小川俊介)

11/3 Happiness Letter885〔尖閣に上陸した大和魂ロッカー☆トクマ特設ページ誕生!!〕

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皆さま、おはようございます!
ラジオ番組「ついき秀学の『日本の未来はここにあり』」、明日11/4(日)のゲストは先週に引き続き、いじめから子供を守ろう!ネットワーク代表の井澤一明氏です。

今回の放送では、いじめが続く大きな要因とは何か、そして、いじめをなくすためにどうすればよいのかについて語られていますので、ぜひ、お聴き下さい!

放送時間はラジオ大阪が毎週日曜日の朝7:30~8:00、和歌山放送が毎週日曜日の夜20:00~20:30です。また、今週からKBS京都ラジオでも、毎週日曜日夜23:00~23:30に放送されます。

なお、当日(日曜日)の24:00以降、下記ホームページより、全国どこの地域からでもダウンロードが可能です!ぜひ、お聴き下さい!
http://nihonnomiraiwakokoniari.tumblr.com/
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■The Liberty Web【尖閣に上陸した大和魂ロッカー☆トクマ】特設ページ誕生!!

中国本土で反日デモの嵐が吹き荒れる――そんな時代の大きな節目の9月18日。

ふたりの日本人が尖閣諸島の魚釣島に上陸しました。

その一人がロックミュージシャンのトクマです。

その日、その場所に確かに日本人はそこにいた。

尖閣の領有を既成事実化するために迫り来る大量の中国の漁船、波高くサメが徘徊する海に飛び込んだ憂国の士の軌跡を是非、ご覧ください!!
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5084

トクマ(TOKMA)――1966年11月11日生まれ。東京都出身。青山学院大学経済学部卒業。在学中にバンド活動を開始し、2009年にザック・ワイルド(オジー・オズボーン)が参加したシングル「LOVE」、2012年10月にタワーレコードより「Get Your Freedom!!」を発売。

[HRPニュースファイル445] 衆参共に違憲状態にある選挙制度の抜本改革を進めよ!

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野田首相は10月29日、衆院本会議で所信表明演説を行い、衆参両院の「1票の格差」是正に関し、「今国会で必ず結論を出す」と明言しました。

しかし、与野党対決のあおりで「1票の格差」是正は足踏みを続けており、「決められない政治」が続いています。

「1票の格差」については、先日10月17日、最高裁大法廷が最大5倍の格差が生じた2010年7月の参院選について、下記の通り、「違憲状態」の判断を示しています。

「本件選挙当時、前記の較差が示す選挙区間における投票価値の不均衡は、投票価値の平等の重要性に照らしてもはや看過し得ない程度に達しており、これを正当化すべき特別の理由も見いだせない以上、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたというほかはない」(平成23年(行ツ)第64号 選挙無効請求事件判例)

すなわち、最大5倍の「1票の格差」について、最高裁は憲法14条第1項(法の下の平等・投票価値の平等)等に照らして「違憲状態」との判断がなされたのです。

「違憲状態」とは、合理的な期間内に是正されなければ「違憲」とみなされる状態で、最高裁が国会が是正を行うための執行猶予期間を与えている状態、最高裁が国会にイエローカードを突きつけている状態です。

また、昨年3月には最高裁大法廷は2009年8月の衆院選(最大格差2.30倍)についても、下記の通り、「違憲状態」と判断しています。

「本件選挙時において、本件区割基準規定の定める本件区割基準のうち1人別枠方式に係る部分は、憲法の投票価値の平等の要求に反するに至っており、同基準に従って改定された本件区割規定の定める本件選挙区割りも、憲法の投票価値の平等の要求に反するに至っていた」(平成22(行ツ)207 選挙無効請求事件判例)

例えば、現在、衆議院の東京の小選挙区は25選挙区ありますが、本来であれば、東京小選挙区の最適な区割は29選挙区であるという分析が出ています。(「衆議院議員小選挙区制最適区割2011」,堀田敬介著,情報研究47(2012))

その結果、「1票の格差」について、衆参両院が「違憲状態」と判断される初の事態に至りました。

今回の判決で、田原睦夫裁判官は「国会の怠慢は、座視するに耐え難い程著しいものであるといわざるを得ず、事情判決を超えて選挙無効との結論を出すことも十分に考えられる」と述べています。

同じく、須藤正彦裁判官も「平成25年選挙に至ってもなお現状のままで選挙制度の枠組みの改変について見るべき取組も見いだされない状態であるならば、同選挙における選挙無効訴訟の提起された選挙区の選出議員の選挙に限っては無効とせざるを得ない」と警告しています。

すなわち、両裁判官とも、このまま国会が「1票の格差」について抜本的な是正をしなければ、次の選挙は「選挙無効」判決を出すと警告しているのです。「選挙無効」判決が出されれば、当該選挙で当選した議員の失職、その間に成立した法律や予算の効力の失効など、社会に大混乱が生じる可能性があります。

国会は最高裁の警告を真摯に受け止め、早急に抜本改革を進めるべきです。

これまで、民主党は「是正」を口実に選挙の先延ばしを図って来たため、一年半以上も前に最高裁が「違憲状態」と認めた衆院の「1票の格差」の是正は放置されて来ました。

現在、臨時国会において取り沙汰されている参院の「4増4減」、衆院の「0増5減」の定数是正法案を早急に成立させることは勿論の事です。

しかし、「4増4減」「0増5減」案は「参議院で5倍未満、衆議院で2倍未満ならば違憲にならないだろう」という甘い認識に基づく緊急避難措置に過ぎず、最高裁が求める「抜本改革」からはほど遠い状態です。

最高裁判決を受けて、平田健二参院議長は「抜本的な見直しへの取り組みを強化したい」との談話を発表しましたが、今回の定数是正案は、お茶濁しの小細工に過ぎません。

選挙制度の抜本的見直しは、各党の党勢や議員自身の当落に直結するだけに、党利党略で意見がまとまらないのが現状ですが、これは明らかに国民の人権を無視した「国会の怠慢」です。

抜本改革のためには、定数是正のみならず、衆議院の「一人別枠方式」「都道府県単位の区割り」の見直し、格差を倍増する参議院の「定数偶数配分」などの区割り方式の見直しが必須です。

また、根本的には死票が増える「小選挙区制度」や、ねじれ国会で国政の停滞をもたらし続けている「参議院の廃止」等も視野に入れた抜本改革に取り組むべきです。(文責・黒川白雲)

11/2 Happiness Letter884 〔本日の夕刊フジに全面特集記事「全米共和党顧問・あえば直道氏に聞く」掲載!!〕

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本日2日(金)午後発売の夕刊フジに、全面特集記事「全米共和党顧問・あえば直道氏に聞く」が掲載されます!
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11月6日の投開票が迫るアメリカ大統領選に合わせ、本日2日(金)発売の夕刊フジに「全米共和党顧問・あえば直道氏に聞く」と題した米大統領選の舞台裏についてのインタビュー特集が全面記事として掲載されます!!

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これを読めば、日本にも多大な影響を与える米大統領選の全てが分かります!必見です!!

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[HRPニュースファイル444]国防発想が必要な日本の食糧政策――慢性的食糧危機の時代が到来している

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幸福実現党は迫りくる国防の危機を乗り越えるために、原発再稼働によるエネルギー自給の重要性を訴えておりますが、国家安全保障の観点から、日本が同時に考えていかねばならないものとして「食糧」の確保があります。

「食料」が食べ物全般を指す一方、「食糧」とは、米や麦、トウモロコシ、大豆などの穀物類を指します。

「食糧」はそれ自体が主食となるほか、畜産飼料として、牛肉や豚肉、鶏肉、近年では乳製品や養殖魚にも転化しており、我々の生活に必要不可欠な要素であると言えます。

この「食糧」が現在、世界最大級の危機を迎えているといっても過言ではありません。

主な原因は6月に米国を襲った大干ばつであり、不作懸念からトウモロコシと大豆の国際価格は一時、過去最高を更新し06年秋の約3倍に達しています。

また、世界的な異常気象が響き、穀物の一大生産地帯であるロシアやウクライナでは小麦の生産が減っています。

世界第10位の小麦輸出国であるウクライナが11月半ばにも小麦の輸出禁止に踏み切る見通しにあります。(10/26 日本農業新聞)

これに対して、「国連食糧農業機関(FAO)」は4年ぶりとなる緊急の閣僚級会合を開き、増産や在庫情報の共有などによって連携することで一致しましたが、190を超す加盟国の内、閣僚の参加は日本や欧州、南米などわずか22カ国に留まりました。

穀物輸出の主要国である米国や、輸入を増やす中国など、自国に不利な展開となることを嫌った国はことごとく出席しませんでした。(10/22 神戸新聞)

継続的な供給が必要不可欠な「食糧」を巡っては、どの国もエゴイスティックとなり、その結果、不足量以上の価格急騰を引き起こし、最終的には貧困国における大規模な飢餓、食糧不足に対する暴動などを誘発します。

「アラブの春」の発端になったのも、パンの原材料である小麦禁輸を原因とした高騰であったと言われております。

この「食糧」の分野において、日本はどのような状況にあるかといえば、食糧(穀物)自給率は重量ベースで28%(2011年度)しかありません。

反面、アメリカをはじめ、ほとんどの先進国で穀物自給率は100%を超えており、日本は先進国の中でも最低レベルにあり、常に凶作による食糧高騰、輸出国の禁輸措置による食糧不足の危険をはらんでいる状況にあります。

こうした自給体制が乏しい中、アジア、アフリカやオセアニアへと中国の海軍力が拡張することで、石油と同じく、食糧の補給線を断たれる「兵站の危機」が中長期的には現実化してくるといえます。

このように、天候や国際情勢などの外部要因に左右されず、「万が一の事態に如何に国民を食べさせるか」という「食糧安全保障」体制を整えるべき時期が来ていると言えます

(1)自給率に関する議論の整理

そのために、第一に「自給率」に関する議論の整理が必要であるといえます。

現在、「食料・農業・農村基本法」によって「カロリーベース食料自給率」と「生産額ベース食料自給率」という2つの指標が定められていますが、安全保障上の観点から考えると、この2つには共に穴があると考えます。

第一に「カロリーベース食料自給率」ですが、カロリーベースで自給率を計算している国が日本以外にないという点、またカロリーの設定値自体が疑わしく、算出方法に疑問が指摘されており、明確な基準値にはなり得ないと考えられます。

また第二に、「生産額ベース食料自給率」ですが、既に66%(2008年度)を誇っており、この数字は日本農業の強さを示しています。

具体的には野菜や果物の中には世界でも強みを発揮している品目もあるため、日本農業全てが「弱小」だと一面的に考えるべきではないという示唆に富んだものです。

しかしながら、生産額ベースが示す指標では、エネルギー源である穀物類などの自給率が低くても、高価な果物や野菜類などを中心に価格設定次第でいくらでも自給率が高くなるため、安全保障という観点から見ると信ぴょう性のある基準には、なりえないという点が挙げられます。

更に生産額ベース食料自給率を推す識者たちの多くは「日本の輸入元は先進国ばかりなので、輸入が途絶えることはない」や「食糧危機など今の日本には関係ない」と考えており、自由貿易体制が永続的に継続することを前提に、量的自給率を軽視している論調が目立ちます。

国防の危機意識の欠如、中国によるシーレーン封鎖といった将来の危機を見据えていない点は明らかです。

だからこそ第三の指標である、穀物に限定した重量ベースの食糧自給率を日本の食糧安全保障として国家が掲げる目標にするべきであると提言したいと思います。

(2)抜本的な農業改革の断行

と同時に、求められるのは日本農業の改革、特に米の生産調整に代表される社会主義的農政をイノベーションすることです。

農地法の抜本改正による農地の売買を自由化、集約化を進めて大規模農業の実現を推進し、流通においては農協法などによる締め付けを無くすことでコストを大幅に削減し、自給体制を整え、輸出産業化を推進していくことが肝要だと言えます。

また、北海道や東北など穀物生産に適した気候を持つ地域に食糧特区を作り、コメや小麦などの穀物生産者たちに対して、補助金ではなく税制優遇措置によってインセンティブを与え、国家のコントロールではなく、あくまでも市場原理に根差した食糧自給率の向上を目指していくことであります。

人口の急増を続ける世界は、慢性的な食糧危機の時代を迎えていくことになります。

その救世主となるべく資格を持っているのは日本農業の技術力であり、ひいては日本の農業従事者であるはずです。

その資格を本物にするためにも、まずは発展の遅れるコメを中心とした穀物農業を産業化させ、中国の軍事的脅威による兵站封鎖と世界的な食糧危機から日本国民を守ることです。

その先に必ず世界の貧困と飢餓を救う真の農業大国ニッポンのビジョンが見えてきます。(HS政経塾第1期生 城取良太)

[HRPニュースファイル443]国際貿易が政治問題化する理由~自由貿易と保護貿易の狭間で~

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◇政治問題化しやすい国際貿易

今回は、政策の中でも最も扱いが難しい国際貿易を扱います。

政治家は、国内有権者の特定産業を保護する必要性から、関税や輸入割り当てなどの保護貿易に訴える誘因を持ちます。

例えば、日米間で繊維交渉から自動車、半導体に関する一連の通商交渉では、日本側の輸出攻勢からアメリカ国内産業を守るための様々な保護貿易が行われてきました。

保護貿易論は、19世紀のJ・ミルが提唱して以来、政府の関税や補助金などの貿易政策を正当化するために使われてきました。

下記に見るように、保護貿易は発展途上国の専売特許ではなく、先進国でも農業分野を中心に根付いています。

近年では、日本やドイツなどの貿易黒字国の輸出を意図的に減らすために為替の切り上げ(例:円高ドル安)を強要して貿易赤字国の輸入を促進する政策もとられました。

一方、戦略的貿易政策が悪用されるなど、保護主義には官僚や利害関係を持つ政治家たちを虜にする魔力を持っています。それ故に、政治問題化しやすいと言えましょう。

◇通商交渉はゲームのルール設定の場

そして、現在の日本ではTPP(環太平洋経済連携協定)が国論を二分するほどの議論が起こっています。

日本では、JAを筆頭とした農業保護が長年行われています。

JA以外には日本医師会が強固な反対論を唱えていますし、保守派の中にもさらなる「開国」は必要ないという意見もありますが、裏にはアメリカによる一極支配に対する恐怖と過度な誤解があるように思えます(実際、アメリカによる不条理な要求があるのは事実だが)。

実際は、必ずしもアメリカの一人勝ちとなっているわけではありません。

例えば、アメリカ政府が日本政府に要求した自動車の輸出自主規制を見てみましょう。

1981年、日米間では貿易摩擦の真っ最中。交渉は難航し、最後は日本政府がアメリカ政府の過度な保護主義を恐れて自動車販売の輸出自主規制をのみました。

輸出台数は当初168万台でしたが、1984年から1985年には法改正されて制限台数は185万台に増加。85年には合意は失効するはずでしたが、日本政府は輸出規制を継続する意思を示し、日本側は高品質の大型高級車の販売を伸ばしました。

その結果、アメリカにおける日本車の価格が上昇。皮肉にも、交渉ではアメリカが勝利しても、輸出自主規制の経済効果はアメリカにマイナス、日本側にプラスとなったのです。

輸出自主規制や輸入自主拡大政策にせよ、貿易政策には各国の官僚や政治家、関連業界の利害が絡む政治ゲームとなっています。

TPPは、そうした中で交わされる貿易と投資に関わるゲームのルールを設定する場です。

ルール設定には、参加各国間の同意が必要とされ、交渉期間は10年程度の猶予期間を設けています。よって、必ずしも一つの国が利益を全部かすめ取る(Winners take all)とはなりません。

◇通商交渉の真の狙いとは

TPPなどの各種通商交渉の真の狙いは、貿易と投資の自由化を通じて参加国の富を増やし、効率的な資源配分を促進するものです。

しかし、現実は政治ゲームです。その裏には貿易に対する誤解や偏見が蔓延しているのも事実です。

例えば、「国際競争力」という概念は広く通商交渉にも登場します。

既存産業が「中国やベトナムなどの低賃金国とはまともに戦えない」というような内容はよく耳にするでしょう。

実際、輸入品と競争している産業にとっては死活問題であるのは事実です。なぜなら、輸入が拡大すれば失業者を出し、場合によっては倒産に追い込まれるからです。

このように、国内においては勝者と敗者が生まれるのは事実ですが、国際貿易の原則は双方が勝つ取引です。いわゆるWin-Winの関係にあります。

輸出だけを重視するという考え方は、経済学の父と呼ばれたアダム・スミスが痛烈に批判した「重商主義」の考え方です。

輸出国は、支払いが輸入国から入り、輸入国は、国内で生産したら割高な製品やサービスを安く購入できるというメリットがあります。

要するに、輸出がプラスで輸入がマイナスではなく、自発的な交換の利益が双方にもたらされるからこそ、貿易は成り立っているのです。

◇方向性としては正しい

現実の世界は、経済学の教科書通りに自由貿易が最適ではいないかもしれません。

環境汚染などの「市場の失敗」や知財権が絡むと国際的な独占産業が生まれやすくなります。農業のような保護産業は補助金によって成り立っています。

ただし、認識しなければいけない点があります。

それは、保護主義は国民に負担を押し付けるだけではなく、一部の業界が国民の犠牲のもとに既得権益を温存させているということ。よって、TPPが進めている貿易の自由化や投資の促進を進めることで打破することができます。それ故に、方向性は正しいのです。

ノーベル経済学者のM・フリードマンが主張した『資本主義と自由』にも同様の内容が書かれていますが、それは「自由からの繁栄」を目指す幸福実現党の政策理念と一致するものです。

保護主義は形を変えた社会主義です。関税は増税であり、貿易制限は規制そのものだからです。

一方、貿易の自由化は減税や規制緩和と同様の効果をもたらし、経済成長を促進する一つのエンジンにもなるのです。(文責・中野雄太)

[HRPニュースファイル442]誤った政策につける薬なし――消費税増税法案は破棄すべし

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10月26日、政府は消費増税に伴う中小企業向けの価格転嫁(てんか)対策の基本方針を決定しました。

「消費税の価格転嫁」問題とは、消費税が増税された場合、下請けの中小企業は納入先の大企業から値下げ圧力がかかるため、増税分を十分に価格に上乗せできない状況を言います。

すなわち、消費税が増税された場合、中小企業の利益が減少し、経営を圧迫する問題が生じるのです。

大企業が地位を悪用して違法に価格転嫁を拒否した場合(「下請けいじめ」)、公正取引委員会が企業に是正を勧告し、公表することが柱となっています。(10/25 日経「価格転嫁拒否なら公取委が是正勧告 消費増税で政府が対策」)

転嫁対策調査官(転嫁Gメン)を各省に置き、価格転嫁を拒否し下請けいじめをしている企業がないかの情報を集め、電話やメールで中小企業経営者らの相談を受け付ける窓口も内閣府に設置するとしています。

政府は、年末までに価格転嫁対策の詳細を決め、来年の通常国会に関連法案を提出する方針です。

これらの対策は、消費税率を8%に引き上げる2014年4月の半年前にあたる13年10月から16年3月末までの時限措置としています。

また、複数の企業で増税分の製品価格への上乗せを取り決める「転嫁カルテル」や、表示方法を取り決める「表示カルテル」に対しては、公取委に事前に届け出た場合は独禁法の適用除外として認める方針です。(10/26産経「消費税増税時の価格転嫁中小企業の不安払拭へ『調査官』」)

中小企業が消費増税分を価格に転嫁できない問題は、当HRPニュースでも度々取り上げてまいりました。

中小企業庁が2002年に実施した調査によりますと、売り上げ規模が小さくなればなるほど、「価格に消費税を転嫁できない」と答える事業者の比率が高いことが分かります。

売上3000万円以下の事業者の、なんと52%の事業者が「完全な転嫁はできない」と答えています。そして30%の事業者が「ほとんど転嫁できない」と答えています。

この問題一つとっても、消費増税が中小企業にとって大打撃となることは必須で、未だデフレを脱却できていない現時点で消費増税は断じて行ってはならないと考えるのが常識的判断であります。

しかし、民主党政府は、消費増税ありきで、増税するためには、価格転嫁対策を新たに税金を投入してでも行うというのです。

経済評論家の近藤駿介氏は、今回の政府の対策で、大企業が「増税に乗じた下請けいじめ」を止め、下請け企業の正当な価格転嫁を認めるということは、「立場の弱い一般消費者」への販売価格が上昇するということに他ならないと指摘しています。(10/25「消費増税に伴う中小企業向け価格転嫁対策~誤った政策につける薬はない」)

そして、立場の弱い一般消費者が出来ることは、より安いものを買うか、購入量、購入回数を減らすかしかないとして、政府の「消費増税ありき」の姿勢を批判しています。

さらに、同氏は、企業側の「抜け道」として「税額」ではなく、「製品単価」を下げさせる形で消費増税分を下請けにかぶせることができると指摘しています。

政府は「製品単価」を引下げさせ、満額「税額」を支払う行為も、「増税に乗じた下請けいじめ」と認定するつもりなのでしょうか。

自由主義経済のなかで、大企業が下請け企業に対して、消費増税によっても税込購入単価が変わらないように「製品単価」引下げを要求することを、新たに制定する法律で規制できるのでしょうか。

政府は正義の味方となって中小企業救済を謳っても、一方で消費者負担が強いられ、さらに日本の自由主義経済を統制下におくような「大きな政府」が敷かれ、新たな行政コストに税金が投入されます。消費税増税には、もはやつける薬はないということです。

野田首相は、臨時国会召集日の29日、衆院のみで所信方針演説を行いました。

所信表明演説の中で首相は、日本経済の再生こそが、野田内閣が取り組むべき現下の最大の課題と強調しましたが、これは景気弾力条項をクリアし、晴れて消費税を予定通り増税したいという本音が聞こえてしまうのは私だけではないでしょう。

幸福実現党は、消費増税ありきの考えの間違いを指摘し、あくまで消費税増税法案の破棄を求めてまいります。

最後に、前述近藤氏の言葉で締めくくります。

「誤った政策に効果のある薬を用意するよりも、誤った政策を撤回する方が、社会的コストが安いことは明らかである。誤った政策につける薬はない。」(文責・加納有輝彦)

[HRPニュースファイル442]誤った政策につける薬なし――消費税増税法案は破棄すべし

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10月26日、政府は消費増税に伴う中小企業向けの価格転嫁(てんか)対策の基本方針を決定しました。

「消費税の価格転嫁」問題とは、消費税が増税された場合、下請けの中小企業は納入先の大企業から値下げ圧力がかかるため、増税分を十分に価格に上乗せできない状況を言います。

すなわち、消費税が増税された場合、中小企業の利益が減少し、経営を圧迫する問題が生じるのです。

大企業が地位を悪用して違法に価格転嫁を拒否した場合(「下請けいじめ」)、公正取引委員会が企業に是正を勧告し、公表することが柱となっています。(10/25 日経「価格転嫁拒否なら公取委が是正勧告 消費増税で政府が対策」)

転嫁対策調査官(転嫁Gメン)を各省に置き、価格転嫁を拒否し下請けいじめをしている企業がないかの情報を集め、電話やメールで中小企業経営者らの相談を受け付ける窓口も内閣府に設置するとしています。

政府は、年末までに価格転嫁対策の詳細を決め、来年の通常国会に関連法案を提出する方針です。

これらの対策は、消費税率を8%に引き上げる2014年4月の半年前にあたる13年10月から16年3月末までの時限措置としています。

また、複数の企業で増税分の製品価格への上乗せを取り決める「転嫁カルテル」や、表示方法を取り決める「表示カルテル」に対しては、公取委に事前に届け出た場合は独禁法の適用除外として認める方針です。(10/26産経「消費税増税時の価格転嫁中小企業の不安払拭へ『調査官』」)

中小企業が消費増税分を価格に転嫁できない問題は、当HRPニュースでも度々取り上げてまいりました。

中小企業庁が2002年に実施した調査によりますと、売り上げ規模が小さくなればなるほど、「価格に消費税を転嫁できない」と答える事業者の比率が高いことが分かります。

売上3000万円以下の事業者の、なんと52%の事業者が「完全な転嫁はできない」と答えています。そして30%の事業者が「ほとんど転嫁できない」と答えています。

この問題一つとっても、消費増税が中小企業にとって大打撃となることは必須で、未だデフレを脱却できていない現時点で消費増税は断じて行ってはならないと考えるのが常識的判断であります。

しかし、民主党政府は、消費増税ありきで、増税するためには、価格転嫁対策を新たに税金を投入してでも行うというのです。

経済評論家の近藤駿介氏は、今回の政府の対策で、大企業が「増税に乗じた下請けいじめ」を止め、下請け企業の正当な価格転嫁を認めるということは、「立場の弱い一般消費者」への販売価格が上昇するということに他ならないと指摘しています。(10/25「消費増税に伴う中小企業向け価格転嫁対策~誤った政策につける薬はない」)

そして、立場の弱い一般消費者が出来ることは、より安いものを買うか、購入量、購入回数を減らすかしかないとして、政府の「消費増税ありき」の姿勢を批判しています。

さらに、同氏は、企業側の「抜け道」として「税額」ではなく、「製品単価」を下げさせる形で消費増税分を下請けにかぶせることができると指摘しています。

政府は「製品単価」を引下げさせ、満額「税額」を支払う行為も、「増税に乗じた下請けいじめ」と認定するつもりなのでしょうか。

自由主義経済のなかで、大企業が下請け企業に対して、消費増税によっても税込購入単価が変わらないように「製品単価」引下げを要求することを、新たに制定する法律で規制できるのでしょうか。

政府は正義の味方となって中小企業救済を謳っても、一方で消費者負担が強いられ、さらに日本の自由主義経済を統制下におくような「大きな政府」が敷かれ、新たな行政コストに税金が投入されます。消費税増税には、もはやつける薬はないということです。

野田首相は、臨時国会召集日の29日、衆院のみで所信方針演説を行いました。

所信表明演説の中で首相は、日本経済の再生こそが、野田内閣が取り組むべき現下の最大の課題と強調しましたが、これは景気弾力条項をクリアし、晴れて消費税を予定通り増税したいという本音が聞こえてしまうのは私だけではないでしょう。

幸福実現党は、消費増税ありきの考えの間違いを指摘し、あくまで消費税増税法案の破棄を求めてまいります。

最後に、前述近藤氏の言葉で締めくくります。

「誤った政策に効果のある薬を用意するよりも、誤った政策を撤回する方が、社会的コストが安いことは明らかである。誤った政策につける薬はない。」(文責・加納有輝彦)