小野寺防衛相は2月5日夜、東シナ海の公海上で1月30日、中国海軍の艦艇が海上自衛隊の護衛艦に対し、射撃管制用のレーダーを照射したと発表しました。
また、同月19日にも別の艦艇が海自のヘリコプターに同様の照射を行った可能性が高いことも明らかにしました。
レーダーはミサイル等を発射する際に対象を捕捉するためのもので、攻撃を前提とする中国側の挑発行為が判明したのは初めてだということです。
「日本の曖昧な出方に対する中国側の強硬的な姿勢」というのが、この事件の基本的な見方です。
安倍政権になってもなお毅然たる外交姿勢が見られないことは、事件への対応からも容易に窺い知ることができます。
こうした日本政府の「事なかれ主義」がこの事件を引き起こした根本原因だと言えます。(参考:【緊急声明】「中国海軍による海自護衛艦へのレーダー照射を受けて」⇒http://www.hr-party.jp/new/2013/34835.html)
本記事では、また別の観点からこの事件について考えてみたいと思います。
尖閣諸島を巡る対立が表面化してから、日中間では様々なことが起きていますが、日中両国政府共に、この件について外交交渉をした形跡が見当たりません。
日中の間には主張の隔たりがあることは当然ですが、隔たりがあるからと言って外交交渉をしなくていいという理由にはなりません。
「領土問題は存在しない。だからこの件に関して外交交渉はしない」という日本政府の姿勢もある程度は評価できますが、こうした対応だけでは、万が一、紛争がエスカレートした場合、日本は有無を言わさず、戦争に臨まなくてはならなくなります。
しかし、現状では日本は戦力の配置、物資の備蓄、予備役などに代表される「戦争に対する備え」は不十分な状況にあります。
確かに、戦力や隊員の質に関して言えば、日本は中国を凌駕する部分もあると考えますが、それは戦争の一要素にしか過ぎず、憲法や自衛隊法に縛られ、指揮・命令系統が不備で、戦力の配置が十分になされていない日本が戦争に勝てるか否かは不透明です。
もちろん、戦争は無いことに越したことはありませんが、万が一、戦争になった場合の備えやシミュレーションは十分にしておく必要があります。
戦争を勃発させないためにも、また、もし戦争が勃発したとしても、外交関係を継続することは重要です。なぜなら、「戦争は政治(外交)の延長である」(クラウゼヴィッツ『戦争論』)からです。
また、日本も中国も内政が不安定であるということは戦争の勃発の可能性を高めます。というのも、内政の混乱によって戦争が引き起こされることもあるからです。
例を挙げると、古代ギリシアを二分した戦いである「ペロポネソス戦争」(紀元前431年~紀元前404年)は、アテナイを中心とするデロス同盟とスパルタを中心とするペロポネソス同盟との間で戦われた戦争です。
この戦いは最初、アテナイ側優勢で進みます。ところが、アテナイで疫病が発生して治安が悪化、更に指導者であるペリクレスが病死すると、内政は混乱を極めます。
そして、劣勢であったスパルタ側からの和平の提案に応じず、戦いを継続したのです。そして20年後、アテナイは最終的に戦争に負けることになったのです。
このことから考えると、日中両国双方の内政が不安定であり、中国は高度成長の停滞などの「不満のはけ口」として、戦争を仕掛けてくることも十分に考慮に入れておくべきです。
そこで重要なのが沖縄の存在です。現在、沖縄はアメリカの太平洋戦略の要衝ですが、この機能が次第に失われつつあります。
だからこそ、自衛隊の戦力を沖縄にシフトし、更に物資の備蓄などの備えを固めることによって、自主防衛体制を確立し、不測の事態に備えることが急務なのです。
「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ(Si vis pacem, para bellum)」というラテン語の格言にもある通り、日本は平和を目指すからこそ、戦争への備えを怠ってはならないのです。(文責・黒川白雲)
「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ(Si vis pacem, para bellum)」[HRPニュースファイル542]
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中国海軍の太平洋進出の真意とは?[HRPニュースファイル541]
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先月31日、中国海軍の艦隊が沖縄本島と宮古島の間を通過し、太平洋方面に進出したことが報道されました。
今回は、太平洋進出後の中国艦隊の動きとその狙いについて深く知るため、日本のマスコミだけでなく、中国軍の機関紙『解放軍報』から読み解いてみたいと思います。
◆激増する中国海軍の「第一列島線突破演習」
昨年来、中国海軍による第一列島線突破演習は増加の一途をたどっていますが、今回、宮古海峡を突破したのは、北海艦隊に所属する「青島」「烟台」「塩城」の三隻の軍艦からなる「連合機動編隊」です。
この編隊指揮官は演習について「一次出島鎖(注:第一列島線の事)遠航訓練」と称しており、演習の内容が「第一列島線の突破」と、「遠海での訓練」を強く意識したものであることが伺われます。(1/31『解放軍報』「北海艦隊連合機動編隊離港新年度首次出島鎖遠海訓練始動」)
さらに2月1日付の解放軍報3面には「穿越宮古海峡」というヘッドラインが踊り、日本の南西諸島防衛に突破口を「穿(うが)った」という印象を与えているほか、記事では「宮古海峡は太平洋に出るための一条の理想的な国際水道だ」という編隊参謀長の発言を伝えています。
また、宮古海峡は「国際水道」であり、「艦艇・航空機の通行は自由」という主張を掲載していることから、尖閣どころか、中国は宮古海峡を「理想的な通り道」として支配下に置く動きを進めていることが分かります。(2/1『解放軍報』「穿越宮古海峡」)
◆太平洋進出も「海洋権益」とみなす中国
なお、昨年行われた中国共産党の第18回党大会の結果、胡錦濤主席によって「断固として海洋権益を守る」方針が示されたことが知られていますが、同編隊参謀長は、胡錦濤主席の「海洋権益」発言に触れながら「第一列島線の突破」が海洋権益維持のために重要であることを記者に訴えています。
このことから、中国が維持すべき「海洋権益」とは、「尖閣諸島」のみならず、「第一列島線の突破と太平洋への進出」も含まれるという実態が見えてきます。(同上)
◆演習の目的は「中国版GPS」の軍事運用試験にあった!
さらに興味深いのは、この艦隊が「中国版GPS」(北斗衛星)を使用していたという事実です。
記事によれば、今回の演習に参加した軍艦は「中国版GPS」とリンクする「情報化」の改造が行われており、演習自体も「中国版GPS」を実際に軍事目的に運用することが狙いだったことが示されています。
例えば、「中国版GPS」独自のサービスである位置情報付きショートメール機能を利用し、軍艦同士の通信を飛躍的に効率化させたことが紹介されています。(2/4『解放軍報』HP「北海艦隊使用北斗衛星導航系提昇戦闘力」)
◆射撃用レーダー照射事件との関係は?――私はこう考える
なお、2月6日の朝刊全紙で特集が組まれていた、中国海軍の軍艦による海上自衛隊の護衛艦への「射撃用レーダー照射事件」との関連性ですが、2月6日付の読売新聞夕刊では、レーダー照射事件を起こしたのは尖閣諸島周辺で日本とにらみ合いを続ける中国公船を護衛していた軍艦であったと報じており、北海艦隊と直接の関連はないと見られています。(2月6日現在)
しかし、レーダー照射に関して日本政府の発表から一晩経っても中国政府の反応はなく、中国の外務省も「報道で知った」とコメントするばかりである点から、共産党と中国軍の間で何らかの問題が生じている可能性もあります。
これは私見ですが、「中国版GPSの軍事運用試験という重大な任務を背負った北海艦隊の第一列島線突破を妨害されないよう、中国軍が共産党を無視して威嚇行為を行わせた」可能性はあり得ると思います。
尖閣周辺でトラブルを起こすことで、日本の目を北海艦隊から尖閣諸島に引きつけようとしたということです。
◆一番の問題は、日本政府の受動的対応にあり!
ただ、射撃レーダー照射事件の背景が「尖閣」にあるにせよ、「太平洋への進出」にあるにせよ、本質的な問題は、中国との摩擦を恐れ、「極めて遺憾」とその場しのぎの対応を続けてきた日本政府自身の態度にあると言えます。
詳細は、2月6日、矢内筆勝党首よりマスコミリリースされた緊急声明【中国海軍艦艇によるレーダー照射事案を受けて】をご参照ください。⇒http://www.hr-party.jp/new/2013/34835.html
太平洋への進出、そしてGPSを中心とした通常軍の運用を目指す中国に対して、我が国も衛星破壊兵器や、巡航ミサイルを発射可能な潜水艦を開発するなど、何らかの対抗措置を取るべきです。(文責・HS政経塾一期生 彦川太志)
銀行は原点に帰り、資金供給の使命を果たし世界恐慌を防げ![HRPニュースファイル540]
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野田元首相が解散宣言をした昨年11月14日から、日経平均株価は年末まで20%、一月末までで約30%上昇しています。
円は80円台に乗り年末には86円台、そして一月末には92円台まで下落(円安)しています。
いわゆる「アベノミクス」による株高、円安トレンドにより、ムード的には景気回復への期待が高まっています。
「アベノミクス」では、大胆な金融緩和、財政政策、成長戦略、この三つを同時に行わなくてはならないとしています。
※幸福実現党の経済政策と「アベノミクス」の最大の間違いは、幸福実現党は金融緩和、財政政策、成長戦略に加え、減税政策を加えています。「レーガノミクス」も減税政策を中軸としていました。「増税政策」を主軸とする「アベノミクス」では失速は避けられません。
「金融緩和」「財政政策」「成長戦略」三つを同時にと強調しているのは、「金融緩和政策により日銀がいくら資金を銀行に供給しても、その先の民間の資金需要がないから効果はない」という批判に対抗するものです。
この「民間の資金需要がないので、これ以上の金融緩和は効果がない」という意見は、日銀白川総裁もしばしば主張していました。(2012/5/24 産経「金融政策も限界か、資金需要高まらず『のれんに腕押し』白川総裁も嘆く」)
「民間の資金需要がない」という言葉は、経済学者、評論家、政治家の口からもしばしば聞かれます。
先週のNHKTV日曜討論会でも民主党桜井政調会長が、「民間の資金需要がないから金融緩和は効果ない」と発言していました。
しかし、この発言には非常に違和感を覚えます。赤字法人率が75%の日本です。私の知っている多くの中小企業も資金繰りに苦しんでいます。
長引く不況の中で、多くの中小企業の資金繰りが厳しい状況にあり、倒産に至るケースも少なくありません。
「お金を借りたくても、銀行は貸してくれない」という中小企業経営者の言葉は聞くものの、「資金は必要ありません」などという言葉を聞いたことはありません。
このように、中小企業は、「借りたい」という活発な資金需要があるにもかかわらず、なぜ、銀行側は「資金需要がない」などという、お門違いの発言をするのでしょうか?
これは「資金需要」というものの両者の捉え方、考え方が、異なっているからに他なりません。
銀行が言うところの「資金需要」とは、「設備投資等を主とした、経営を拡大・発展させるための資金」であり、中小企業が言う「資金需要」とは、主として「運転資金」であり、時としてそれは、「赤字補填資金」でありましょう。
政治家は、現場の実体を知らなければなりません。政治家の口から「民間の資金需要はない」という言葉が出ること自体、恥ずべきことです。
また、日本の銀行は極度にリスクを嫌い、ベンチャー企業に対する投資を避ける傾向が強いため、事業立ち上げ段階で資金の目処が立たずに断念する起業家も少なくありません。
市場に資金を流通させる責任者である銀行が、リスクフリーで必ず儲かる国債を買うばかりで、市場に資金を供給しないならば、いくら金融緩和しても、銀行を儲けさすのみで景気は一向に良くなりません。
「バンカー精神」とは、「成長の可能性を秘めた企業に対し、リスクを取って積極的に投資し、社会の発展に貢献する」という高い志です。
幸福実現党大川隆法総裁は、このような「バンカー精神」を失った銀行に対して以下のメッセージを投げかけています。(ザ・リバティー2012.12月号「銀行を過度に守る金融政策の間違い」)
・銀行は考え方を変えるべき。自分達のことだけ考えてはならない。つまり、不良債権問題を処理して、IMFのような官僚組織や他行、政府に対してバランスシートをきれいに見せることだけを考えてはならない。
・銀行は企業を救うため、特にこの3~4年は、多額の資金を供給し続けなければならない。もし企業に対する締め付けが厳しくなれば、1929年のような世界恐慌が起きてしまう。大恐慌の足音が聞こえる。
・銀行制度は、世の中の企業を助け、経済活動を促進するためにこそ存在している。銀行はその原点に帰るべき。
・日本は今、新たな経済政策をスタートさせるべき。資金の供給を止めず、弱い企業が再び立ち上がって事業を再開するのを支援すべき。
・日本と世界についての未来ビジョンが必要。これが不可欠。銀行は往々にして「未来ビジョン」を欠いていることが多い。
・融資を減らす政策は良くない。それをやれば10年、20年以上にわたり不況が続く。
銀行は、バンカー(投資銀行家)としての原点に帰り、未来を構想し、資金供給の使命を果たし、世界恐慌を防いで頂きたいと願うものであります。(文責・岐阜県参議院選挙区代表 加納有輝彦)
安倍首相は憲法9条第1項を廃し、国際平和のためには武力行使も辞さない覚悟を示せ![HRPニュースファイル539]
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◆不十分な自民党の憲法改正案
安倍首相は1日、参院本会議での各党代表質問で、「自衛隊は国内では軍隊と呼ばれていないが、国際法上は軍隊として扱われている。このような矛盾を実態に合わせて解消することが必要だ」と述べ、憲法を改正して国防軍の保持を明記する意向を示しました。
自民党は、昨年4月に憲法改正草案を発表し、12月の衆院選でも国防軍明記を公約に掲げましたが、安倍首相が就任後、国会で明言したのは初めてのことです。
国防軍の保持は、主権国家として当然であり、その姿勢は評価できます。
しかし、問題は、自民党の憲法9条改正案が、不十分であり、国家主権を侵害するものに留まっていることです。
自民党の憲法9条改正案は、第1項(平和主義)で、「国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない」としつつ、第1項2で「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」とし、第2項(国防軍)で、「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する」としています。
現行憲法の9条第2項の「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」を削除し、自衛権と国防軍を明記したことは評価できますが、問題は、第一項が、ほぼそのまま残っていることです。
安倍首相も、「憲法の平和主義、戦争放棄を変えるつもりはない」と述べ、これを裏付けています。
◆主権を侵害し、必要な武力行使を妨害する危険性
しかし、「国権の発動」、つまり「国家主権の行使」としての戦争を放棄することは、国民の主権の一部を放棄することに他なりません。
そのため、「憲法9条は基本的人権の尊重を定めた憲法第13条に違反している」との見解もあります。
自民党は、第1項2で「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」と付記することで、「自衛のための武力行使は容認される」と解釈しています。
しかし、「国権の発動としての戦争」と「自衛のための武力行使」の違いは定かではなく、将来、左翼的な政権が成立した場合、第1項を根拠に、自衛権の行使を妨げる危険性が高いのです。
また、「国際紛争の解決の手段」という言葉の解釈も特殊であり、「侵略目的のもののみを指す」と解釈されていますが、普通の言語感覚からして無理があります。
この特殊な解釈は、1928年に定められたパリ不戦条約第1条からきています。
同条約は「国際紛争を解決する手段」としての戦争を放棄するとしつつ、その定義は明示せず、ただ、締結の過程で「自衛権や自衛戦争は認められる」という解釈が出されたため、「国際紛争を解決する手段とは、侵略目的のものののみを指す」という解釈が慣習化されたのです。
しかし、結局、「侵略とは何なのか」が定義されなかったため、各国は主権国家として、自らの戦争が自衛か侵略かを独自に判断でき、あらゆる戦争が容認される状態となりました。
つまり、同条約は、解釈が複雑で、空文化しており、正当性が希薄だと言えます。
それにも関わらず、この文言を憲法に入れることで、日本は自らの手足を縛っているのです。
欧米諸国が、イスラム原理主義組織によるテロ活動や独裁政権による民衆弾圧を止めるため、世界各地で軍事介入を繰り返していますが、利権確保のための行動もあるとは言え、「侵略目的の武力行使」ではなく、一定の正当性があると言えます。
国益と国際平和、国際正義を守るために、「国権の発動としての戦争」や「国際紛争解決の手段としての武力行使」が、どうしても必要となることはあるのです。
特殊な解釈が国際法上、慣習化されているからといって、それを文面通りに国内法に取り入れ、主権を害してはなりません。
特に、国民の精神的支柱であるべき憲法において、そうした文言を掲げ、複雑な解釈で無理に現実に合わせることは、望ましくありません。
この9条第1項が温存されている限り、戦後日本の「非現実的な一国平和主義」が続き、政府による責任逃れの口実に使われる可能性が、非常に高いと言えます。
それは、1月に起きたアルジェリアでの人質事件での安倍首相の対応を見ても明らかで、日本政府は卑劣なテロと戦い、自国民を保護するための軍事介入すら、できずにいるのです。
◆「村山談話」踏襲に見る安部政権の恐怖心
また、このことは、安倍首相が「村山談話」を踏襲したこととも、無関係ではありません。
1995年、当時の村山首相は、日本が第二次世界大戦で「植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました」と謝罪しました。
安倍首相は、これを踏襲する意向を示し、「とりわけアジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えたという認識は歴代内閣の立場と同じだ」としています。
つまり、安倍政権を含む歴代政権には、「先の大戦は日本の侵略戦争であり、同じような侵略戦争は起こしたくないし、侵略戦争だと批判されるような他国への軍事介入、海外での紛争解決には手を出したくない」という罪悪感・恐怖心が、根深くあると言えます。
しかし、先の大戦におけるアジア諸国への日本の軍事介入は、侵略目的のものとは言えず、欧米の植民地主義に対抗する戦争でした。この戦争の結果、アジアの人々は植民地支配から解放されたのです。
この史実を、日本は誇りを持って語り継ぎ、未来においても同様に、国際平和と国際正義のために行動しなくてはなりません。
国際社会における正邪を判断し、結果責任をとることは難しいことですが、政府はその重責から逃げず、あくまで正義を追求し、勇気を持って行動すべきです。
しかし、自民党で最右翼と言われる安倍政権ですら、「過去の侵略戦争の亡霊」から逃れられず、「国際紛争の解決の手段」としての武力行使を行う勇気と覚悟が無いのです。
◆国際平和と国際正義を実現する幸福実現党
日本を国際社会のリーダーとし、国際正義と国際平和を実現できるのは、幸福実現党のみです。
幸福実現党は、現行憲法を廃し、新たな憲法を創ります。
幸福実現党の大川隆法総裁が提言している「新・日本国憲法試案」では、第一条で、「国民は、和を以て尊しとなし、争うことなきを旨とせよ。
また、世界平和実現のため、積極的にその建設に努力せよ。」とした上で、第五条で、「国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍・海軍・空軍よりなる防衛軍を組織する。」と定めています。
これは、日本が、国際平和実現のため、あらゆる手段を尽くすことを誓うものです。決して、侵略戦争や、無用な戦争を起こすのではありません。
紛争や侵略によって苦しんでいる人々を救うためならば、「国権の発動としての戦争」も「国際紛争を解決する手段としての武力介入」も辞することなく、勇気と正義感を持って行動するということです。
現在も、中東・アフリカ地域では、テロや紛争が絶え間無く続いていますし、アジアでは、中国や北朝鮮など、他国への侵略・攻撃意図を持った覇権国家の脅威も続いています。
こうした中、幸福実現党は、大国・日本の責任政党として、日本国民はもちろんのこと、全世界の人々の生命と安全、財産、そして幸福を、断固として護り抜く決意です。(HS政経塾第二期生、徳島県参院選選挙区代表 小松由佳)
沖縄全首長による「オスプレイ配備撤回要求」運動は県民を危機に陥れる行為だ![HRPニュースファイル538]
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1月27日、米軍普天間基地に配備されたオスプレイの配備撤回と同基地の県内移設断念を求め、沖縄県内の全41市町村の首長らが、東京・日比谷公園で集会を開き、約4千人(主催者発表)が参加。集会後、銀座などでデモを行いました。(1/27 日経「オスプレイ反対、東京でデモ 沖縄の市町村長ら」)
翌28日には翁長市長や名護市の稲嶺市長ら約30人が、全41市町村長や議会議長らの署名が入った「オスプレイの配備撤回と米軍普天間飛行場の県内移設断念を求める『建白書』」を安倍首相に手渡しました。
今回の行動行動について、翁長共同代表は「オール日本 対 オール沖縄の主張にねじれがあるので、新政権に沖縄の主張を真剣に受け止めて対応してほしいという(沖縄の意思を)つなぐ意味でも意義が大きい」と述べています。
しかし、沖縄県名護市在住の私、金城竜郎の知人は「オール(すべて)の県民の意見」として一括りにされていることに憤慨しており「俺の意見は粛清されている」と怒りをあらわにしています。
彼は「アジアで軍事的脅威になっている中国からの侵略を防ぐためにも、オスプレイは必要だ」と主張し、辺野古移設を容認している一人です。
むしろ問題の本質は、沖縄県民の意見を一つにまとめ上げて、反対の意見を持つものを村八分にするような「同調圧力」にこそあります。
オスプレイ配備撤回を求めて東京まで押しかけていった沖縄の各首長、そしてそれをまるで甲子園大会に出場する代表選手のように扱ってエールを送る沖縄のマスコミこそ、最大の問題だと私は言いたい。
連日のマスコミ報道による洗脳が進み、多くの県民はオスプレイを危険だと感じており、そう信じているからこその「同調圧力」なのですが、データを客観的に分析すれば、実際のオスプレイの事故率は、民間ヘリよりも低いということが明らかになっています。
オスプレイが配備された日、マスコミのヘリコプターが追尾して一日中テレビニュースで流しておりましたが、「マスコミのヘリのほうが事故率が高かった」ということを言っておかなければなりません。
私は「本当にこんなことをやっている場合なんでしょうか?」と訴える一人です。その理由は下記3点です。
(1)中国による尖閣諸島への侵略行動は「レベル3」に!
「レベル3」とは、私がつけた段階ですが、中国政府は明らかに侵略計画を立てて計画通りに実行しています。
「レベル1」は、2010年9月7日の「漁船衝突事件」です。中国の漁船(これは中国の言い分ですが、船長は本当に漁民かどうかは怪しい)が、我が国の海上保安庁の巡視船にぶつかってきた事件のことです。
「レベル2」は、2011年10月24日の中国の国家海洋局の漁業監視船が我が国の領海に侵入してきたことです。
「レベル1」との違いは、民間船ではなく、中国政府の公船による領海侵犯が起きたことです(明らかに軍艦だが、中国政府は軍艦だとは言っていない)。しかし、多くの県民は、漁船衝突事件の時のような驚きを感じてはいませんでした。
中国は昨年9月11日に、わが国が尖閣諸島を国有化したことを「泥棒だ」と叫び、対抗措置を取ると脅しておりますが、侵略行為はそれ以前から始まっていたことなのです。今では公船による領海侵犯は常態化しています。
更に、「レベル3」の事件が起きたのは、昨年12月13日のことです。中国国家海洋局の輸送機が尖閣諸島付近の領空に侵入しました。
私が危惧する「レベル4」は、いよいよ中国人民解放軍の戦艦あるいは戦闘機が侵犯してくる、という事態です。そうなれば、当然、海上保安庁や沖縄県警では対応不可能です。
自衛隊の防衛出動となれば、事実上の「開戦」となる可能性がありますが、果たして安倍首相にその命令が出せるでしょうか。
(2)中国軍は戦争準備を始めている
これは事実です。着々と軍事施設を造り、重要な人物が公的な場で強硬発言をしている以上、わが国との戦争を想定していると考え、対策を講じなければなりません。
国家の安全保障に関しては、最悪を想定していなければ、県民・国民を守ることはできないのです。
昨年5月頃、中国福建省・水門に尖閣諸島奪取をにらんだ空軍基地が完成しました。戦闘機や地対空ミサイル・システムなどが配備される予定だといいます。
重要な点は、この基地から尖閣諸島までは360kmしかないということです(沖縄本島からは440km)。中国の戦闘機なら、約12分で尖閣まで飛んで来れます。しかし、飛行場の無い尖閣諸島に着陸することはできません。
ですから、尖閣諸島まで1時間以内に到着しヘリコプターのように着陸できるオスプレイが防衛の要となることは言うまでもないことです。
これまで海兵隊が使用してきた輸送ヘリCH-46は、行動半径が140kmで、尖閣諸島まで飛ぶことは不可能なのです。
今年の3月に国家主席に就任することが確実の習近平氏は、昨年12月に中国共産党トップの総書記に就任して初の視察地に広東省を選びました。
この時、広東軍区にある海軍基地に足を運び、海軍司令員(海軍トップ)と長時間会談しております。その際、習近平総書記は対日開戦に関するレクチャーを受けた可能性が高いと言われています。
そして1月14日付の軍機関紙、解放軍報などは、中国人民解放軍を指揮する総参謀部が全軍に対し、2013年の任務について「戦争の準備をせよ」と指示を出していたことを明らかにしました。
更に中国人民解放軍の彭光謙少将は、1月14日、中国の新聞社が運営するニュースサイト「中新網」の座談会に出席した際に、日本側が中国航空機に「曳光弾を一発でも撃てば、それは開戦の一発を意味する。中国はただちに反撃し2発目を撃たせない」と発言しました。
ちなみに曳光弾は、国際法で認められた警告射撃のためのもので、相手に危害を加えるものではありません。
(3)中国国内の好戦ムード
前述の彭少将の発言は中国国内で大きな反響を呼んでいます。インターネットには「よく言ってくれた」「原子爆弾でお返ししよう」といった支持の声が寄せられています。
今年1月5日、中国で放映された大人気の討論番組のテーマは「2013年、中国と日本はどうしても開戦せねばならないのか」という大変きな臭い内容でした。
中国を代表する日本専門家、軍事専門家5人が顔をそろえ、日本との戦争になれば、中国はどうするべきかを論じております。「わが人民解放軍は一気呵成に勝ちに行く。日本よ、何するものぞ」等、強気な発言が相次ぎました。
また、国営中央テレビ(CCTV)など官製メディアは連日のように日本との戦争を想定した特集番組を放送し、軍事的緊張をあおっています。
そのため、中国国民からも日本との開戦を望む声が高まっています。年末年始の中国国内のテレビでも朝から晩まで抗日ドラマのオンパレード。
また、大学入試でも「共産党抗日史」は必須だということで、日本悪玉論の教育を徹底しています。
これだけのことを知れば、中国世論が好戦的であることを背景に、中国政府によるわが国への侵略の動きをますます加速させていく可能性が高いということがわかるのではないでしょうか。
幸いにして、真逆の行動で県民の意志を政府に届けた団体もあります。
沖縄県民を中心に組織した「中国の脅威から尖閣・沖縄を守ろう!実行委員会」(徳留博臣代表)は1月29日、首相官邸前で「米軍への感謝を表し沖縄と共にオスプレイ配備歓迎の声を首相に届ける集会」を開き、内閣府の担当者に安倍晋三首相宛の「『オスプレイ配備歓迎』に関する要望書」を手渡しました。
集会では、協賛団体の幸福実現党の矢内筆勝党首が挨拶に立ち、尖閣に迫っている中国の脅威や、防衛上のオスプレイの必要性、日米同盟の強化を訴えました。(1/29 「幸福実現党党首、沖縄県民と共にオスプレイ配備賛成の声を内閣総理大臣に届ける」⇒http://www.hr-party.jp/new/2013/34517.html)
そして、沖縄などから参加した50人の支持者と共に、「オスプレイ配備撤回は、沖縄県民の総意ではありません!」「沖縄普天間基地は早急に辺野古へ移転してください!」とシュプレヒコールをあげました。
そして「オスプレイ配備撤回の声は、沖縄県民の総意ではないことを踏まえ、日本の国防上、必要不可欠なオスプレイ配備を撤回することなく、今後も勇気を持って進めていくこと」「米軍普天間基地を早期、辺野古へ移転し安全を確保すること」などを要望しました。
沖縄県各首長が全員参加した抗議行動を受け、安倍首相は2月2日に沖縄入りしました。
那覇空港の第2滑走路増設事業の予算化と工期短縮をアピールするなど沖縄県との信頼関係構築を強調しましたが、冷静に一連の動きを追ってみると、首相への抗議の「建白書」手交が1月28日。来年度予算に関する臨時閣議における政府の来年度予算案の決定が29日。ちなみに沖縄関係予算は今年度比2.2%、64億円増の3001億円です。
そして2月2日の首相来沖となれば、「単なるゆすりたかりの陳情団だったのでは?」と疑われても仕方がないのではないでしょうか。
実際、東京では抗議行動を冷ややかに見る都民がかなりおられたとも聞いています。
私は一貫して、日米政府に協力してこその沖縄関係予算だと言い続けています。沖縄県が協力してこそ、日本人は一つにまとまるのです。
今、本当に必要なのは、これ以上、中国に悪を侵させない強い外交と、それを担保する防衛力と法律の整備です。
各首長の皆様、県民の代表であるならば、それを訴えるために上京することこそが、本当に県民を守ることになるのではないでしょうか。
今こそ、沖縄県民はそのような馬鹿げた行動を許してはなりません!(文責・沖縄県参議院選挙区代表 金城竜郎)
戦わずして尖閣諸島を我がものにする中国の戦略に騙されるな![HRPニュースファイル537]
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◆習近平氏による尖閣奪取対日工作が始まった!
昨年9月、胡錦濤政権下で、日本の尖閣国有化前、対日工作の大方針を策定しています。
その方針は3つ、(1)持久戦、(2)外交戦、(3)経済戦を展開です。
その際に、対日工作調整委員会を設置、そのトップに指名されたのが習近平総書記です。(2012/11/2 産経「『尖閣』共同管理へ定期協議要求 対日工作トップに習近平氏指名」)
◆鳩山、山口、村山、加藤……日本の売国政治家を利用した外交工作
中国が仕掛ける対日工作は「尖閣海域での中国公船の常態化」であり、「持久戦」に持ち込んでいることは、ニュースで報じられている通りです。
また、「外交戦」では、日本の「尖閣諸島に領有権問題は存在しない」という立場を突き崩す政治家工作が次々と打たれています。
1月16日、中国の招きに応じて訪中した鳩山元首相は、中国側の要人と会談、「尖閣諸島が係争地であるとの認識」を示し、尖閣に領土問題は存在するという中国の立場を後押しするために利用されています。
また、公明党・山口代表が与党幹部として、21日の香港のフェニックステレビで、尖閣諸島の領有権について「容易に解決できないとすれば、将来の知恵に任せることは一つの賢明な判断だ」と述べ、「尖閣棚上げ論」に言及しました。(参照[HRPニュースファイル529]安倍政権を蝕む寄生虫――自民は即刻、売国政党・公明党と連立を解消せよ!)
さらに28日、村山元首相、加藤紘一元自民党幹事長を、尖閣が中国領であることを象徴する「釣魚台迎賓館」へ招き、その席で「対話と協議を通じて、コントロールしながら解決の手段を探ることが急務だ」と日本側に対話の重要性を働き掛けています。(1/29 時事)
鳩山、山口、村山、加藤といった親中売国奴議員達は、習近平氏の「尖閣工作」の走狗(使いっ走り)として、日本の内側から中国の侵略を手引きしていると言えます。
自民党は即刻、売国政党である公明党とは即刻、連立を解消しなければ、安倍政権は内側から中国に蝕まれていくことは避けられません。
◆中国の「対話戦略」に騙されるな!
昨年11月、中国は尖閣諸島をめぐって領有権争いが存在することを日本政府に認めさせた後、尖閣周辺海域の「共同管理などを話し合う定期協議を求める対日外交方針」を固めました。(2012/11/2 産経)
中国の対話に応じ、日台中の「尖閣共同管理」を日本が受け入れれば、「尖閣に領土問題は存在していた」ことを認めることになります。
これは、「尖閣には領土問題が存在しない」という日本の立場を崩す結果になります。
中国が言う、日台中の「尖閣共同管理」は、台湾は中国のものという前提と、共同管理の名目で尖閣海域で中国の公船常態化を正当化させる口実となります。
そもそも、尖閣諸島は当初より「日本固有の領土」であり、中国に「共同管理」を言われる筋合いなど全くありません。
南シナ海でなされて来たように、「共同管理」は中国による尖閣諸島実効支配の第一歩であることを見抜くべきです。安倍政権は断じて応じてはなりません!
中国は持久戦に持ち込み、尖閣海域を自国の海と化し、「戦わずして勝つ戦略」を目指していることを忘れてはなりません。(文責・佐々木勝浩)
[HRPニュースファイル536]安倍政権が今国会で「道州制基本法」を提出へ――「国家解体」の危険性
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◆自民党が今国会で「道州制基本法」を提出へ
安倍晋三首相は31日の衆院本会議で、道州制の導入を定める「道州制基本法」の早期制定を目指す考えを示すと共に、「早期制定を目指して議論を行う与党と連携を深めて取り組む」と明言しました。(1/31 東京「首相、道州制法の早期制定目指す」)
安倍首相は積極的な「道州制推進論者」として知られており、今通常国会に「道州制基本法案」を議員立法で提出する方針です。(1/11 産経「自民、道州制基本法案を来年度予算成立後に提出へ」)
「道州制基本法案」では、理念や手続きを規定し、30人以内の有識者らで構成する「道州制国民会議」を内閣府に設け、3年以内に区割りや市町村の役割などをまとめ、首相に答申することとなっています。
◆道州制は「琉球独立」への道
道州制とは、都道府県を廃止し、全国を10程度の道や州に再編するものです。
自民党の「道州制基本法(案)」には、その区割りは明記されていないものの、北海道、東北、北関東、東京、南関東、中部、関西、中国、四国、九州、沖縄という区割りが想定されています。
東京を単独にするのか、中部を東海と北陸に分けるのか、中国と四国を統合するのか等、瑣末な議論はあるものの、沖縄が単独で州として設定されことは確実と見られています。
内閣総理大臣の諮問機関である地方制度調査会が発表した答申では、「北海道及び沖縄県については、その地理的特性、歴史的事情等に鑑み、一の道県の区域のみをもって道州を設置することも考えられる」とあります。(2006/2/28 地方制度調査会「道州制のあり方に関する答申について」)
更に、2008年の自民党の道州制推進本部(谷垣禎一本部長)と道州制推進委員会(佐田玄一郎委員長)が合同で示した道州ブロックの区割り4案では、沖縄は4案いずれも単独州に設定されています。(2008/5/30 琉球新報「道州制、4案とも沖縄単独州」)
「地域主権」と「道州制」によって、沖縄州に「主権」が分譲されれば、沖縄州は強力な自治権限を獲得すると共に、「琉球独立」運動と一体となって、沖縄の日本からの独立に拍車をかけることになるでしょう。
そもそも、「沖縄独立」を最も強く願っているのは中国です。
矢内筆勝党首も、中国が「琉球独立」運動の手助けをし、米軍が撤退した後には人民解放軍が進駐し、中国の「琉球自治区」として統治しようと画策していることを指摘しています。([HRPニュースファイル150]「琉球独立運動」の危険性⇒http://www.hr-party.jp/new/2012/18234.html)
尖閣・沖縄に「国難」が迫る最中、こうした「国家解体」に繋がりかねない「道州制」は極めて危険性が高いと言えます。
◆地域間格差が激しくなる「道州制」
また、道州制は、地方への「課税自主権の付与」を掲げています。
一見、国から地方への大幅な税源移譲は、地方にとって「得」になりそうに見えます。
確かに、首都圏などの一部の大都市は「得」するでしょう。しかし、地方の多くの都市が「損」することは明らかです。
国家は国税の一定割合を「地方交付金」として、地方自治体の財政状況に応じて分配しています。これは、地方の財政状況を平準化し、「地域間格差」を調整するための機能を有しています。
普通交付税の交付を受けていない「不交付団体」は年々減少傾向にあり、平成24年度は1都54市町村に過ぎません。(総務省「平成24年度不交付団体の状況」)
すなわち、多くの市町村が「地方交付金」によって財政が賄われているのですが、地方への税源移譲がなされてしまえば、「税の再分配機能」が失われ、「豊かな自治体はより豊かに、貧しい自治体はより貧しく」なります。
全国町村会も「道州制」導入反対に向け、反対攻勢を強める行動計画をまとめるなど、波紋が広がっています。(1/3 信濃毎日「全国町村会、『道州制』導入反対で行動計画」)
◆「国家解体」に繋がる「道州制」
また、「道州制」や「地域主権」の下では、国家レベルの外交・安全保障政策が遂行できなくなる危険性が非常に強くなります。
例えば、沖縄州が「米軍基地の退去」「自衛隊基地の退去」を決定すれば、日本の国防機能が弱体化することは避けられません。
また、国家の機能が分散されてしまえば、大規模災害があった際、単独の道州で対応せざるを得ず、迅速かつ大規模な救援活動が取れなくなることも懸念されています。
そもそも、「主権理論」を確立した中世フランスの政治思想家ボダン(Jean Bodin)は、「主権は最高にして唯一、国家の絶対的かつ恒久的、不可分にして不可譲という属性を持つ」と述べています。(堀江湛著『政治学・行政学の基礎知識』一藝社,2007)
安倍首相は「主権を分割する」という近代国家、明治維新に逆行する「道州制」「地域主権」の危険性を知り、「道州制基本法」提出を取り止めるべきです。(文責・黒川白雲)
[HRPニュースファイル535]「パイを奪い合う」のではなく、協力して「大きなパイを作る」日本に!
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1月29日、安倍晋三政権の経済政策の具現化である平成25年度予算案が閣議決定されました。
公共事業による投資を増やし景気を刺激すると共に、生活保護の支給にメスを入れるなど、民主党政権の「分配型予算」から「成長に投資をする予算」に転換したことが大きな特徴です。
朝日、毎日系の新聞は「弱者切り捨て」と批判をしていますが、生活保護を受ける人が増加したため、生活保護費は2兆8224億円と過去最大になっています。
さらに生活保護費削減の内容も、一人ぐらしの高齢者に対する給付は必要最低限に抑えられ、ケースによっては支給額が増える場合もあります。例えば町村部に住んでいる一人暮らしの60歳代の方の場合は1000円の増額となっています。
今回、削減の対象となっているのは夫婦と子供2人といったような、人数の多い世帯です。
生活扶助は世帯の人数が増えればそれだけ多く支給されますが、働いて収入を得ている人は、子どもの人数によって収入が増える訳ではありません。
景気の後退が続くなか、子育て世帯の収入は1年間で39万2000円も減少しています。(2012/7/5 日経「世帯所得、昭和に逆戻り…10年平均538万円」)
汗を流して働いている子育て世帯の収入が減少したことを踏まえ、支給額が修正されたことは当然のことだと言えます。
ただし、給付水準の見直しだけでは、増え続ける生活保護費を減らすことは不可能です。
生活保護費が増える原因は長期の景気後退による失業者の増大です。2008年のリーマンショック以降の景気の悪化で、働くことができる「その他の世帯」の受給者が増えています。
増え続ける生活保護の費用を減らしてゆくためには、景気回復により雇用を創出していくことが大切です。
安倍総理は今回、「(民主党政権では)分配ばかりを重視し、経済全体のパイをどう大きくしていくかの発想が十分でなかった」と発言し、公共投資による景気回復を行おうとしています。
第二次世界大戦後、西ドイツを高度経済成長に導いたルートヴィヒ・エアハルトも「小さな菓子を奪い合うよりも、協力して大きな菓子をつくっていくほうが、福祉の向上につながる」と言っています。(ルートヴィヒ・エアハルト『ドイツの経済政策』p.7)
多くの収入を得ている人からどれだけ税金をとることができるかということを考えるのではなく、生活保護をやむを得ず受けている人も、再度チャレンジして豊かになれる機会を提供することが大切です。
安倍首相が掲げている金融緩和と、公共投資は日本の景気回復に大きな役割を果たすと考えられます。
しかし、金融緩和は時としてバブルを生成すると言われています。
金融緩和によってもたらされた資金が、事業の投資などに回らず、株式や不動産に対する投資にばかり回り、株や不動産の価格が実体経済とかけ離れたものになれば、バブルが発生します。
金融緩和によってもたらされた資金が実体経済の回復につながるためには、金融緩和によって消費の活性化がなされなければいけません。
消費が活発になることで、企業の投資が活発になり、さらにその企業の取引先も投資を行っていくという、経済の好循環をつくらなくてはいけませんが、2014年、2015年の消費税増税は、消費の活性化に水をさします。
実体経済の景気回復をともなわない金融緩和はバブルを生成するだけです。
安倍首相には、今回の金融緩和と公共投資を無駄にしないためにも、2014年、2015年の消費税増税を中止するよう、強く求めます。
所得格差を強調し国民の間に亀裂をいれるのではなく、幸福実現党は「オールジャパン」で日本経済の復活を実現し、生活保護を受けなければいけない世帯を減らす「社会保障」を行ってまいります。(文責・HS政経塾1期生 伊藤のぞみ)
[HRPニュースファイル534] アベノミクスはどこまで耐えられるか
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2012年の安倍政権誕生後、アベノミクスと称される経済政策に関する内外の批判が急増しています。
民主党の海江田万里代表は、日銀法改正を見据えた金融緩和路線に対し、「日銀の独立性を損なう」と批判。同様の批判は、イングランド銀行のM・キング総裁をはじめとする世界の中央銀行家からも出ています。
また、同氏は「国土強靭計画」に見られる公共投資の復活を、「古い考え方」と切り捨てました。再び野党となった民主党は、民主党政権時代の国債発行44兆円枠の維持や再生可能エネルギーの推進にはじまり、対中国や韓国への強固姿勢を追求する構えであり、今後の党首討論は目が離せません。
また、経済学者では、金融緩和の有効性を疑う経済学者も多く出ています。
例えば、吉川 洋教授の最新刊『デフレーション』では、「貨幣供給量を増やせば物価が上がり、景気が良くなる」というのは必ずしも支持されないことを説明しています。
また、日本だけがなぜデフレとなっているかの根本原因として、日本特有の雇用制度が崩れて賃金が下落し、デフレが定着したことに求めています。本書は、デフレの歴史や学術的背景をきちんと説明しているので一読の価値はあるとはいえ、「ではどうしたらデフレを脱却できるのか」という政策提言としては疑問符がつきます。デフレが貨幣的現象ではなく、制度的なものに起因すると言うならば、労働市場の改革やイノベーションが起きてこないといけません。問題は、どのように変革していくかについて説明不足なため、不完全燃焼感が残ります。
さらに、安倍首相の進めるデフレ脱却路線は、いわゆる「リフレ」と呼ばれる経済政策を指します。特に、リフレ派の親分肌にあたる内閣官房参与の浜田宏一イェール大学名誉教授の存在も見逃せません。
これに対して、反リフレ派からの猛攻撃も始まっています。
代表的な論者としては、SBI大学院大学の池田信夫客員教授や慶應義塾大学の小幡績准教授が有名です。彼らの意見は、基本的には伝統的な経済系の保守思想に基づいているのは間違いありません。ハイエクに関する著書を出している池田氏が、反リフレ路線となるのは当然のことでしょう。なぜなら、生前のハイエクは、母国オーストリア・ウィーンでのハイパーインフレで家族の資産が紙くずとなった光景を目の当たりにしているからです。以後、ハイエクはインフレには断固として反対を表明しています。参考文献:『ケインズかハイエクか』(N・ワプショット著) こうした背景もあり、反リフレ派は、インフレ目標を設定する金融政策に極めて懐疑的になるのです。
中央銀行関係者以外の諸外国からの批判も出ています。
例えば、アベノミクスによって為替レートが円安に振れているのは周知の事実ですが、中央日報は「円安は、韓国の輸出鈍化につながりかねない」(2012年12月18日)とし、中国も通貨安戦争は他国にも波及するため、「近隣窮乏化」であると批判をしています。
上記のような意見は、欧州や南米諸国からも出ているとはいえ、金融政策は日本の問題であり、他国が文句をいう筋合いはありません。為替介入をしているのならまだしも、金融政策を通じて通貨価値を下落させることは日本の自由であり、他国への相談がいるわけではありません。よって、こうした批判は一蹴するべきです。
最近の研究によれば、通貨安戦争は必ずしもデメリットばかりではないことが知られています。→HRPニュースファイル212
では、賛成意見や支持する声はあるのでしょうか?
例えば、日本でも有名なアメリカのノーベル経済学者であるP・クルーグマンは「円は下がっているが、それは非常に良いニュースである。日本の輸出を後押ししている」(ニューヨーク・タイムズ2013年1月13日)とし、アベノミクスに一定の評価を下しています。また、同じくノーベル経済学者であるJ・スティグリッツも同様のコメント発しており、デフレ不況を打開するためのマクロ経済政策を評価しています。
ただし、アベノミクスは特別な経済学ではありません。内容自体はシンプルですが、デフレの長期化とゼロ金利、莫大な長期債務という足かせがあるから、政策としては特殊ケースへの対応が取られているに過ぎません。ただし、増税路線が明確になっているので、幸福実現党とは政策の差異はあるとはいえ、不況期の経済政策としては正しい方向を歩んでいると考えます。
ただし、安倍首相が今後も経済成長を促進するならば、増税は見直すべきでしょう。そして、複雑な税制を大胆に改革して減税路線へと方針転換することも大事になります。財政再建が増税しかないというのはあまりにも発想が貧弱すぎます。TPPの参加に対しても様子見をしているのも、おそらく参院選前という事情と農協の票が逃げるからです。政治的配慮によって安全運転をしているのでしょうが、今後はそれだけでは許されません。
アベノミクスがどこまで批判に耐えられるかは定かではありませんが、景気の回復後に増税ではなく、むしろ減税や規制緩和、TPP参加などの「自由からの繁栄」路線にシフトに舵を切れるかどうかが課題です。現在の自公政権にはその遺伝子がありません。仮に、「自公から自幸」へシフトできれば実現の可能性が高まることは言うまでもありません。やはり、政府に頼りすぎず、「自由からの繁栄」を経済政策の基本に据えるべきです。(文責:中野雄太)
[HRPニュースファイル533]再び原発ゼロの恐れ――「左翼・反原発派の巣窟」原子力規制委員会が日本を滅ぼす
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原子力規制委員会(以下、規制委)は22日、活断層の上に原発の重要施設を設置してはならないことなどを明文化した新安全基準の骨子素案を公表しました。(1/23 産經「原発重要施設『活断層上は設置禁止』規制委が新安全基準骨子素案」)
今月末までに原発の設計基準や過酷事故対策の基準と合わせて骨子案をまとめ、今年7月に施行する新安全基準に盛り込む予定です。
骨子素案では、活断層の定義も変更され、従来の「12~13万年前以降」に活動した断層を活断層とする定義から、「40万年前以降までさかのぼり評価すること」と定義が拡大されました。(同上)
7月に決定される新基準を基に、電力会社が補強工事を計画し、その後に規制委が計画を審査、それから工事に着手というステップを踏むため、再稼働は当面許されないことになります。
「電力会社から申請があっても、3~4日でOKとはいかない。一基の審査に半年、一年はかかる」と規制委の田中俊一委員長は、年初(9日)の記者会見で語っています。着工は早くても来年以降となるということです。
一部の項目は完了するまでの猶予期間が設けられる見込みですが、再稼働のためには新基準の全てを満たすことが必須となります。
唯一稼働中の関西電力の大飯原発3、4号機も今年9月には定期検査に入り、再び原発ゼロの状態になる可能性が濃厚です。(1/15 中日)
規制委の田中委員長は23日の定例会見で、大飯原発3、4号機について「例外扱いできない。自動的に9月まで(運転を認める)というのはありえない」と明言しました。
これについて、関電の八木誠社長は25日、規制委が骨子案を示した原発の新安全基準について、「ただちに必要なものと、長期的に安全向上に必要なものの区分けを明確にしてほしい」と要望。
新安全基準が施行される7月以前に、緊急性を要する基本対策をクリアし、稼働中の大飯原発3、4号機の継続運転と高浜原発3、4号機の再稼働で夏の電力不足を乗り切りたい考えを示しました。
八木社長は「大飯3、4号機が稼働できないと、夏の電力需給は厳しい状況になる。」として、規制委に理解を求めていく考えを示しました。(1/25 産經)
関西電力は原発11基が全て停止した場合、電気料金の値上げ幅が今回申請の約2倍の30%超になると試算しています。
値上げ幅は従来、7月に大飯原発3、4号機に加え高浜原発2基の再稼働を前提とし、家庭向けで平均11.9%、企業向けで同19.2%で、家庭、企業向けを合わせた全体の値上げ幅は15.7%としてきました。
大飯、高浜、原発全停止で値上げ幅は倍増し、30.3%までになると見込まれています。(201212/12 産經)
経産省が開催した、関西電力の電気料金値上げに関する公聴会では、一般公募の参加者から値上げに反対する声が相次ぎました。
織物会社経営者の男性は「中小企業は(電気料金値上げ分を)価格転嫁できない。廃業する企業が続出するのではないか」と述べ、関電の経費削減の徹底とともに、政府に中小企業の救済策を求めました。(1/28 毎日)
原発停止で値上げ幅が30%超えたら、関西電力管内の中小企業にとっては大打撃となります。
来年4月からは消費税増税が追い打ちをかけます。電気料金の値上げと、消費税増税と、共に価格転嫁できないとなれば、中小企業の廃業、倒産が続出するのではないかと非常に心配されます。
再稼働のためには例外を認めず、新基準の全てを満たすことが必須となれば、9月には我が国は再び原発ゼロの状態に戻ります。
マスコミは「活断層なら廃炉にせよ」という論調を煽り、原発ゼロを推し進め、多くの原発を廃炉に追い込もうとしているかのようです。
景気回復を最優先すると繰り返し明言している安倍政権ですが、アベノミクスによる明るい兆しも、原発ゼロによる電気料金の大幅な値上げと、消費税増税により、暗礁に乗り上げる可能性大であります。
幸福実現党は、参議院選挙勝利を果たし、規制委の「廃炉ありき」のような硬直した非科学的姿勢を断罪し、原発再稼働を行い、これ以上の電気料金の値上げを阻止して参ります。
そして「左翼・反原発派」の巣窟となっている原子力規制委員会の暴走から日本を守り抜いて参ります。(文責・加納有輝彦)