中小企業を苦しめる消費増税――参院選は「消費増税中止」を問うファイナル・ジャッジメント![HRPニュースファイル552]

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今回は「消費税」という税制そのものに潜む「構造的欠陥」について考察してみたいと思います。

消費税の問題点として、主に以下の3点、(1)逆進性、(2)益税、(3)消費不況を論じたいと思います。

(1)消費税の「逆進性」問題

「逆進性」とは、所得の低い人ほど消費税の負担が大きいことをいいます。

「逆進性」については、食品など特定の品目について税率を下げる軽減税率や、所得の低い人に多くの現金を給付する給付付税額控除等の対策が議論されています。

自民党と公明党は1月23日に与党税制協議会を開き、軽減税率は「消費税率10%への引き上げ時に導入を目指す」ことで合意しました。

しかし、軽減税率は適用の範囲の選定が難しく、食料品と言っても「キャビアやフォアグラまで軽減税率を適用するのか」「パンには軽減税率を適用して、嗜好品である菓子パンには適用すべきではない」と言った「線引き論争」が起こっています。

これに対して、読売新聞は1月19日の社説「軽減税率『消費税8%』で導入すべきだ」で、「(軽減税率の)適用対象の線引きが難しいとの慎重論もあるが、コメ、みそ、しょうゆ、新聞など、対象品目を絞り込めばよい」と主張しています。

なぜ、軽減税率が「コメ、みそ、しょうゆ、新聞」だけなのか?なぜ、食品に加え、新聞に軽減税率を適用すべきなのか?新聞業界の自分勝手な論理だと言わざるを得ません。

たとえ、いかなる線引きをしようとも、軽減税率の対象選定には恣意性が入るため、日本経済に大きな歪みをもたらします(特定の生産者にだけ補助金を与えるのに等しいため)。

したがって、「逆進性」問題の解決のためには、軽減税率ではなく、消費税増税そのものを中止することが最善策なのです。

(2)消費税の「益税」問題

「益税」とは、消費者が払った消費税が、納税されないで販売事業者の懐に入ることを言います。

その理由は、年間の売上が1000万円以下だと消費税を納めなくても良いためです。

「益税」については、2004年度から消費税が免税される「免税点売上高」が3000万円から1000万円と引き下げられました。免税点売上高が3000万円の時代は、消費者が支払った消費税(益税)で懐を肥やす悪質業者云々と盛んに喧伝されました。

消費者が納めた消費税を免税事業者がピンハネしている。これが「益税」問題ですが、恣意的な徴税を禁じた憲法84条等に違反すると20人の市民が訴えを起こしたことがありました。

「消費税は憲法違反である」と訴えた、この国家損害賠償請求事件について、判決が出ています。(1990.3.26東京地裁民事第十五部判決)

裁判長はこの訴えを破棄し、消費税は憲法に違反していないとの合憲判断でした。この判決内容が、驚くべき内容です。

「消費税法は、事業者に徴収義務を、消費者に納税義務を課したものとはいえない。」――つまり、消費税は誰が負担すべきなのか、特定できないということです。

日本は特殊な分野を除いて公定価格はありません。あるのは「物価」であります。その「物価」に消費税を転嫁できるかどうかは卸業者との、また消費者との力関係で決まります。

弱い事業者は、消費税を物価に転嫁できません。強い事業者は転嫁できます。これは、消費税の担税者(税を負担する者)は、時に消費者であり、時に事業者自身ということになります。

消費税とは、ある時は間接税となり、ある時は直接税というわけです。ほとんどの書物には消費税は間接税であると書かれていますが、課税の制度設計が現実には実現していないという重大な欠陥が露呈しています。

※「間接税」とは、担税者と納税者が別。「直接」税とは、担税者と納税者が同じ。

もう一つ、消費税で特筆すべきは、その滞納額が著しく多いということです。

平成23年度の新規発生の国税滞納額は、全体で6,073億円です。この内、消費税が3,220億円となっています。実に50%を超えています。

これは一番大きい滞納額となっています。消費税を納める事ができない事業者が非常に多いのです。

デフレ経済の中で、立場の弱い中小企業は、消費税を物価に転嫁することができず、そのほとんど、あるいは一部を自腹をきって負担しています。

すなわち、消費税は事実上、直接税たる「中小企業税」だと言えます。

日本の75%の事業者が、赤字経営です。赤字企業にも容赦なく課税されるのが消費税です。借金経営の事業者が消費税を自ら負担しているのです。これが10%に増税されたら、一体いかなる事態となるのでしょうか。

赤字経営の中小零細事業者に対してその担税能力の差を顧みることなく、一律に課税される消費税は、もはや原始租税形態の一つ、人頭税と同じ残酷税といっても過言ではありません。

(3)「消費不況」の問題

政府の試算では、消費税率10%で、年収500万円の4人家族の場合、消費税分で年11万5千円、社会保険料などを含めて、年間33万8千円の負担増になるとされています。およそ年間で1カ月分の収入が減る計算です。⇒【幸福実現News第42号】http://www.hr-party.jp/new/2013/34538.html

消費増税で、年間で1ヶ月分も使えるお金が減れば、消費者は消費を減らすため、大きな消費不況が起こり、倒産や失業者が激増し、その結果、自殺者も急増する危険性があります。

参議院選挙の争点は「消費税増税」です。7月の参院選は、消費税増税を止めることができる最後の国政選挙です。

幸福実現党は、中小企業、そしてそこで働かれている方々を守るために、断固、自公民の野合による横暴な消費税増税を中止して参ります。(文責・幸福実現党 岐阜県参議院選挙区代表 加納有輝彦)

TPPは日本の生命線。安倍政権は交渉参加を急げ![HRPニュースファイル551]

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◆貿易立国・日本が生き残る道

2月13日、米国と欧州連合(EU)は、自由貿易協定(FTA)の締結に向けた交渉を開始すると発表をしました。

地球儀をイメージして頂ければ判りますが、アメリカとEUは、大西洋を囲むように存在しています。

中国のような新興国に比べれば成長力は劣りますが、大西洋の両雄が関税の相互撤廃を目指して交渉を始めたのです。

交渉は難航するでしょう。されど、もし地球上のGDPの約5割を占める世界最大の経済圏が誕生すれば、日本が貿易面で大打撃を受けるのは必定です。

さらに、地球の貿易・投資のルール作りにおいても、今以上の脇役に追いやられることでしょう。

貿易立国・日本が生き残る道は明らかです。

太平洋を囲むアメリカをはじめとする諸国間で構想が持ち上がっている、聖域なき関税撤廃を前提とするTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に、速やかに参加することです。

◆まずは交渉に参加し、有利な条件を引き出せ!

安倍政権は当然ながら、水面下で交渉参加を模索していますが、ここにきて、与党・自民党内でTPP参加反対の動きが強まっています。

夏の参議選を前に、農協(JA)や医師会系の組織票を失いたくないという議員心理からでしょう。

そうした中、安倍首相は今月22日のオバマ米大統領との首脳会談で、農業等に「聖域」を認めさせようと必死のようです。

要は「TPPには参加するが、コメや乳製品などの特定品目は例外として、引き続き高い関税率を残すことを認めて欲しい」ということです。

されど、ドライなオバマ大統領が日本だけを特別扱いする保証はありません。

また、「世界一の技術と品質を持つ日本農業を、いつまでも高関税(例、コメ778%、乳製品360%)で保護すべきなのか」という議論もありましょうが、今回は深入りしません。

今回、私が指摘したいのは、TPP交渉参加を表明している各国とも、多かれ少なかれ、日本と同様、自国産業保護のための譲れない領域を抱えているという事実です。

各国とも複雑な内部事情を抱えながらも、将来の国益を踏まえて、交渉の場に出てきているのです。

ならば日本も、まずは交渉に参加すべきです。その上で、少しでも自国に有利な条件を引き出すように努める。それが外交であり、政治ではないでしょうか。

◆TPP参加こそ、経済成長戦略の要

いずれにせよ、TPPへの参加は、貿易立国・日本が生き残るための生命線であり、アメリカとの同盟関係を深める安全保障上の新たな柱であり、そして、新たな経済成長戦略の要でもあります。

安倍政権は現在、大胆な財政出動と金融緩和に取り組んでおり、一定の効果も出ています。されど、この二本の矢だけでは、早晩、経済は失速するでしょう。

今、求められているのは第三の矢、新しい雇用と企業の発展を促す、経済成長戦略であります。

反対派の主張にもありますが、確かにTPP参加によって、日本の産業構造や地域社会に様々な影響が出るでしょう。

されど、より自由な貿易環境のもとで諸外国と連携を深めながら、新たな経済成長の道を模索する中に、我が国が生き残る道もあると思います。

改めて訴えます。我が国は一刻も早く、TPPへの交渉参加を表明して、交渉のテーブルにつくべきです。

その上で、少しでも有利な条件を引き出すように努めるのが、政府の使命であります。

与党・自民党の国会議員には「選良」として、国益を踏まえた言動を求めます。

そして幸福実現党ですが、これからも大局的な見地に立って、TPP参加の必要性を訴えて参ります。(文責・幸福実現党総務会長 加藤 文康)

日本は北朝鮮の核実験にいかに対処するべきか――外交の視点から探る[HRPニュースアイル550]

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北朝鮮は2月12日、国営朝鮮中央通信を通じ、核実験を成功裏に実施したと発表しました。北朝鮮の核実験は2006年10月、2009年5月に続いて3回目で、金正恩体制下では初めてのことです。

朝鮮中央通信は、核実験について「爆発力が大きいながらも、小型化、軽量化し、高い水準で安全で完璧に実施した」と報じており、2012年12月の弾道ミサイル打ち上げに引き続き、北朝鮮が着々と核ミサイル保有を進めていることが明らかになりました。

北朝鮮は日本の主要都市を射程に収めた300基ものノドンを配備しており、それらに核弾頭が搭載されれば、日本の安全保障は大変危険な状況に追い込まれます。

また、北朝鮮は年内に4、5回目の核実験を行う準備を進めていることを中国に通告しており、更にはロケットと称し、新たなミサイル発射を行う方針も示しています。(2/16 産経「北朝鮮が中国に4、5回目の核実験を通告か」)

韓国紙は「3回目の実験は濃縮ウラン型である可能性が高い」とする政府当局者の見方を報じていますが、もしウラン型核兵器の開発が可能になれば、北朝鮮は国内で原料の天然ウランの領内採取が可能なため、核兵器の大量保有につながる可能性もあります。(1/26 日経「北朝鮮の核実験予告、ウラン型に警戒広がる」)

本記事では、このような北朝鮮の動きに対して、外交的にどのように対処するべきかについて論じます。

今回の北朝鮮の核実験は、国際連合安全保障理事会決議825(1993/5/11 北朝鮮の核拡散防止条約脱退に関する決議)、同決議1540(2004/4/28 大量破壊兵器拡散を防止する方策を定めた決議)、同決議1695(2006/7/15 2006年7月のミサイル発射実験に関する決議)、同決議1718(2006/10/14 2006年10月の核実験に関する決議)、同決議1874(2009/6/12 2009年5月に行われた核実験に関する決議)、同決議2087(2013/1/29 2012年12月に行われたミサイル発射実験に関する決議)に明確に違反しています。

これらの国際連合安全保障理事会決議、特に核実験やミサイル発射実験などを経て採択された決議の内容を検討すると、北朝鮮あての資金の凍結、北朝鮮向けの武器やミサイルの部品などの貨物を検査し、押収し、廃棄するなどといった広範な制裁措置が取られていることが分かります。

それにもかかわらず、なぜ今回の核実験が行われたのかということを考える必要があります。

実は、このような制裁措置の完全な履行は、国連加盟国が一致団結して行わないと意味がありません。

特に資金の凍結や武器・ミサイル・ミサイル部品などの貨物の検査・押収・廃棄は海上戦力を有する国が積極的に軍事力を用いて実行しなければならず、足並みを揃えるのは至難の業だと言えます。

逆に言えば、北朝鮮はこのような足並みの乱れの隙をついて、資金や部品を調達しています。更に、去年のミサイル発射実験で打ち上げられたミサイルの部品は、ほとんどが北朝鮮国内で作られた部品であることが分かっており、北朝鮮の制裁の隙を突いて、独自の技術を発達させた可能性があります。

このような状態の下では、現状の制裁措置のほとんどが意味をなさないと考えて良いと思います。

今回の核実験を経て新たな決議が採択されますが、それらもこれまで同様に役に立たないものと推測されます。

日本は安全保障理事会の他に、六カ国協議の枠組みの中で北朝鮮に対する対処を決める機会があります。しかし、六カ国協議は北朝鮮の友好国である中国が議長国であり、その実効性は疑問視されてしかるべきものです。

このような事態に立ち至った今、日本は独自の行動を起こして周辺国を巻き込んでいかなくてはなりません。

日本は中国に代わって六か国協議の主導権を握るべきであり、握れないのであれば、新たな外交の枠組みを作り上げていく努力をしていくべきです。

そのためには、日本は日本国憲法第9条を改正して軍事力の使用について考えを改め、相手を威嚇できるくらいの国力に見合った軍事力を整備しなくてはなりません。そうしなければ外交は主導できません。

日本はいつまでもアメリカ頼みの外交をするわけにはいきません。

現在のオバマ政権におけるケリー国務長官、ヘーゲル国防長官は共に「親中派」と目されており、クリントン前国務長官やパネッタ前国防長官のように主導権を握るというところまではいかないものと予想されます。

日本はこの状況を上手く利用し、逆に日本の国際的地位を高めるように外交を進めていくべきです。(文責・黒川白雲)

NSC構想は日本の外交・安保を救うのか?――日本に不足している情報収集機能[HRPニュースアイル549]

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◆日本版NSCとは何か

本日2月15日(金)、政府は危機管理能力の向上に向け、「日本版NSC」創設のための有識者会議を発足させることになっております。

NSCとは、国家安全保障会議(National Security Council)の略で、アメリカなどで設置されている外交・安全保障政策の立案や調整などを行う機関であります。

会議のメンバーには、内閣官房参与を務める元外務事務次官の谷内正太郎氏や自衛隊トップの統合幕僚長を務めた折木良一氏、京都大学名誉教授の中西輝政氏ら10人が内定しています。(NHK総合大阪ニュース)

さて、国家の意志決定において、最も重要なカギを握るのは「情報力」です。

しかし、先月アルジェリアで起こったイスラーム武装組織による人質事件では、情報が錯綜し、政府における情報機能の脆弱さを露呈しました。

また、1月30日に起こった中国海軍のレーダー照射に関しても、アメリカ政府が驚く程の情報伝達の遅れがあったと言われています。

◆「縦割り行政」が弱体化させる日本の情報機能

このように日本の情報機能が弱い要因の一つは、行政機関お得意の「縦割り」が挙げられます。

現状では、内閣情報調査室や外務省、防衛省、また警察・公安など複数部門がそれぞれの独自の情報網を持っており、各省庁が持っている情報は本来、内閣情報官が集約し、首相や官房長官に上げることになっています。

しかし、実際は官邸へ個別で報告したり、価値の高い機密情報ほどそれぞれの省庁で独占したりと、上手く首相官邸に情報が集約される仕組みが出来ていませんでした。

NSC構想とは、こうした省庁縦割りの弊害をなくし、各省庁の情報を集約・分析、一括することで、政府としての「情報力」を最大化する構想であり、実は第一次安倍政権下で設置を目指しながら、結局廃案となってしまった「肝いりの政策」なのです。

「敵を知り、己を知らば、百戦殆うからず」という孫子の有名な言葉が表す通り、まさにNSCのような情報集約・分析の枠組みが今日本政府に求められています。

◆日本に最も不足している対外的な情報収集能力

一方で、今までのNSC構想では情報の集約・分析に重きが置かれ、情報収集に関する抜本的改革に関する議論は活発ではないように思います。

思うに、今の日本政府に最も不足しているのは、対外的な「情報収集」の機能ではないでしょうか。

「外交官の最重要な任務の一つは情報の入手である。この目的を含め職業の目的の達成には不断の勉強、その為の人脈の構成、社交の努力が欠かせない。(『なぜ外務省はダメになったか』)」と戦後の日本外交を引っ張り、駐米大使も務めた故・村田良平氏も述べている通り、日本の在外公館などにおける現地での情報収集には疑問符が付きます。

結局、アルジェリアテロ事件で情報が錯そうしたのも、日本政府や現地の在外公館がほとんど独自情報を得られなかったことが原因であると言われております。

また、1月21日に行われた自民党の外交部会で警察庁出身の平澤勝栄衆院議員からは「日本政府は結局、イギリスから情報をもらった。なんでイギリス大使館で出来ることが日本で出来ないのか」と外務省の情報収集能力を疑問視する指摘が出ていたそうです。

◆「諜報活動ゼロ」の日本は世界の非常識

更に、スパイや諜報員というと、日本では映画やドラマの世界のように感じてしまいますが、現実として「大使館は秘密のスパイ組織(モーゲンソー著『国際政治』)」が世界の常識なのです。

比較的良好な関係にある両国の間においてすら、今なお、大使館内に接受国が盗聴器を仕掛けるといった諜報戦が水面下で繰り広げられている「国際社会の常識」を日本人は受け入れなければならないでしょう。(潮匡人著『常識としての軍事学』)

「現代外交の根本は、情報、とくに自国の対外政策を基礎づける秘密情報を集めるという機能の中にある」と地政学の大家・モーゲンソーも言っておりますが、具体的に、欧米各国には立派な対外的な諜報機関がすでにあります。

代表的な事例としては、アメリカのCIA(人員規模2万人、予算約4800億円)、イギリスのMI6(人員規模2500人、予算約450億円)、そしてフランスのDGSE(人員規模4400人、予算約675億円)などがあり、その他にもロシア、ドイツ、そしてイスラエルなどの諜報組織も規模、実績共に定評があります。

それに比べ、日本の対外的な諜報活動に関しては極めて限定的で、世界の大国というには恥ずかしいくらい、そうした機能を持っていないに等しい状況であります。

今こそ日本は、この混迷を極める国際情勢において、国民の皆さまを守り抜く「したたかな外交」を展開する上での、「したたかな情報戦略」を持たねばならないと確信しております。

是非とも安倍首相におかれましては、本日行われる予定の有識者会議においては、ぜひNSC創設をベースに、「情報収集機能を高めることが、いかに国を救うか」という点についてしっかりと議論して頂きたいと思います。

◆日本政府の情報収集能力に向けた具体的提言

そのための具体的提言として、以下に三点挙げたいと思います。

まず第一に大使館ラインでの各地元紙・テレビなどを通じた「公開情報」の情報収集能力の向上、また政府要人や現地キーマンとの人脈の構築強化が、情報収集強化の大前提であります。

そして第二には、アルジェリアでの反省を踏まえ、防衛駐在官の増員を図り、軍事関連の情報収集能力も向上させていくことであります。

更に第三に、諜報部門(ヒューミント)の本格的に創設によって、日本独自の「非公開情報(秘密情報)」の獲得を積極的に図っていくことであります。

何といっても、日本は「忍者」の国です。鎌倉時代から存在した諜報のプロ、「忍者」の伝統を活かして、CIAやMI6を優に凌ぐような世界一の諜報機関の創設を日本に目指すべきであると提言いたします。(文責・山形県参議院選挙区代表、HS政経塾第1期生 城取良太)

日本経済は「バブル」ではない!「バブル論」は国民をミスリードする愚論 [HRPニュースアイル548]

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◇日本経済は「バブル」なのか?

安倍政権誕生後、東京株式市場が活性化し始めたあたりから再び「バブル」という言葉がメディアに登場します。

確かに、週刊誌などでは、「株式の次は不動産だ」「勝てる銘柄はこれだ」という論調も目立ち、1980年代の「バブル経済」を二重写しにするかのような記事も散見されます。記事としてはなかなか面白いのですが、民主党から自民党へ政権交代してまだ二ヶ月弱であり、日経平均株価も1万1千円台で「バブル」だというのは時期尚早であり、違和感を覚えます。正確には、「アベノミクスへの期待感を反映し、デフレ不況下から回復中」と書くのが妥当です。

アナリストや経済学者からは、「実体の伴わない株価上昇はバブル」だとしています。

失業率やGDP成長率などの改善がなく、株式市場のみが活性化している場合は庶民には縁のない話だという論調も十分に成り立ちます。従って、投資家のみがおいしい思いをするので「バブル」だと評したいのでしょう。背景には、株価で儲ける人たちへの嫉妬もあります。ただ、投資をして成功する人は少数であり、誰もが株価上昇によって成功しているわけではないことは知るべきです。

いずれにしても、現時点の短期的な株価上昇だけを持って「バブル」だとするのは短絡すぎます。

◇「バブル」と聞いて日銀はどう動くか

さて、世間ではアベノミクスへの期待と不安が入り混じっている状況ですが、アベノミクス自体は不況期のマクロ経済政策としては標準的なものです。インフレ目標や日銀法改正という技術的な問題はあるにせよ、真新しいものは特にありません。幸福実現党との違いについても、筆者が2月7日に出演した幸福実現TVで触れているので、興味がある方はご覧下さい。→http://youtu.be/Pk5hNDcqHlc

幸福実現TVでは「バブル」という言葉を使いませんでしたが、現在の株価上昇が今後も続いた場合、日銀がどう動くかを見ていく必要があります(ただし、実際は増税が始まる2014年までとなるだろう)。

内閣官房参与の浜田宏一イェール大学名誉教授の存在によって、日銀の金融政策と日銀法が改正される圧力が一気に高まったさなか、白川方明総裁が辞任を表明しました。次の日銀総裁が誰になるかは分かりませんが、日銀は典型的な官僚組織であること、独立性を守るためにあらゆる手段を使って安倍政権の動きに対して牽制をすることが予想されます。

具体的には、世間で「バブル大合唱」が起きてくると、日銀はゼロ金利の解除をするインセンティブを持ちます。つまり、金融引き締めに入る可能性が高いということです。時の日銀総裁のさじ加減次第で、アベノミクスの株価上昇が止まる可能性が高まります。つまり、日銀の金融引き締めが起こるようだと、景気回復は腰折れとなるのです。

産経新聞の田村秀男記者は、「株式や不動産市場が活性化する前にバブルを警戒して金融緩和をやめるのは、回復しかけた重病人から栄養剤を取り上げるようなものである」(ZAKZAK 2013年2月1日)と記していますが、実に適切な表現です。

問題となるのは、次の日銀総裁人事です。

財務省出身者とするのか。それとも、経済学者を登用するかによって日本経済に対する影響力は大きく異なってきます。アメリカのFRB議長やイングランド銀行の総裁は経済学者が座っているように、日銀総裁も学者となることは可能です。ただし、日銀の御用学者では無意味です。安倍首相の頭の片隅には、浜田宏一氏をそのまま日銀総裁に据える案があるのかもしれません(両者は父の安倍晋太郎氏の頃からの知り合いなので、十分に可能性はある)。

◇財務省はしたたかに増税路線を実現している

一方、安倍政権になって沈黙を保っている財務省はどうでしょうか?

政権交代をしたとはいえ、自公政権は基本的に増税路線です。現時点では麻生財務大臣が消費税増税は避けられないことを言及しているので、消費税増税が既定路線になっています。所得税や相続税の最高税率引き上げも、自公民の三党合意がなされました。

また、国土強靭計画のような大型の公共投資は、本来財務省が嫌う政策です。同時に、「経済成長をしても財政再建ができない」という奇妙な経済学を主張していた財務省が沈黙を保っているのは、2014年4月と2015年10月に待ち受けている消費税と富裕層増税ができるからです。彼らにとっては、自公政権になって多少経済成長路線に傾いても、全く痛くも痒くもないのでしょう。

言い換えれば、彼らが真に恐れるのは、本気で減税路線を実現する政党や政治家の出現であり、世論が減税に傾くことです。その意味で、幸福実現党の存在意義は十分にあります。

要するに、マスコミの「バブル大合唱」は、日銀の金融引き締めと財務省の増税を容易にする道が開けているわけです。バブルでもないのにバブルと騒いでいる日本の現状は世界から失笑を買うことになるでしょう。安倍首相は断固として、こうした愚論を退けるべきです。(文責:中野雄太)

北朝鮮、三度目の核実験――日本政府は自主防衛・核武装を進める義務がある[HRPニュースファイル547]

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◆北朝鮮3度目の核実験が意味するもの

北朝鮮は12日、3度目となる地下核実験を強行しました。国際社会では、核実験が3度成功すれば、核保有国として認識されるようになります。

過去2回の核実験もミサイル発射から、数ヶ月以内に核実験が行われて来ました。

過去の核実験では、北朝鮮の核保有をくい止めるために、米国が主導で6カ国交渉を行い、食料支援やエネルギー支援をする代わりに北朝鮮に核施設の査察を要求し出来ました。しかし北朝鮮は秘密裏に核実験の準備を行ってきたのです。

◆過去2回の核実験との違い

過去2回の核実験は、プルトニウム型原爆であったのに対し、今回の核実験は、濃縮ウラン型で大陸間弾道弾ミサイル(ICBM)に搭載する弾頭を小型化する実験であったと分析されています。

つまり、今回の3度目の核実験で北朝鮮は韓国、日本はもちろん、アメリカをも狙える核ミサイルを保持したことを意味します。

それに自信を得たように北朝鮮は昨年12月のミサイル発射の国連安全保障理事会決議声明を受け、「全面排除」と主張し、北朝鮮の非核化が盛り込まれた6カ国協議共同声明の無効を宣言。「我々が継続して発射する衛星や長距離ロケットも、高い水準の核実験も、我々の敵である米国を狙うことになる」(1/24 共同)と強調していました。

◆北朝鮮への制裁を強化せよ!

対話が通じない北朝鮮に対しては一切、「核カード」を切った経済支援要求には乗ってはなりません。

日本は韓国や米国をはじめ関係各国と一致結束して、北朝鮮に対し圧力を一層強めるべきです。

菅官房長官は日本独自の制裁として、朝鮮総連の副議長5人に対し、北朝鮮を渡航先とした日本への再入国を禁止する措置を12日に発動したことを明らかにしました。(2/12 日本テレビ「日本政府 北朝鮮に厳重抗議、独自制裁発動」)

また、日米韓がどれだけ北朝鮮への経済制裁を強化しても、朝鮮総連から北朝鮮へ莫大なお金が送金されている現状では制裁効果は薄れます。

パチンコ業界も含め、日本政府は徹底的に朝鮮総連の闇送金ルートを洗い出し、北朝鮮の資金源を完全に断つべきです。

◆日本は自主防衛・核武装を進めよ!

韓国政府は12日、北朝鮮の核実験を受けた声明で、核・ミサイルの脅威に対抗するために「北朝鮮全域を射程圏にするミサイルを早期に配備するなど、軍事力拡充にさらに拍車を掛ける」と強調。

更に金寛鎮国防相は、より積極的な核抑止戦略が必要だとして、北朝鮮の核施設への先制攻撃を宣言しました。(2/12 時事「軍事力強化を表明=ミサイル配備、先制攻撃強調-韓国」)

日本も、北朝鮮の核ミサイル基地への先制攻撃を宣言すべきです。実は、自衛のための先制的行動は憲法9条を改正しなくても可能です。

実際、1956年、衆議院内閣委員会で、鳩山一郎首相の答弁を船田中防衛庁長官が以下の通り、政府見解を代読しています。

「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。

そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。」(第24回国会衆議院内閣委員会会議録第15号)

したがって、「差し迫った脅威」に対して、日本が先制的に自衛権を行使することは既に認められており、その実施に向けては、日本は早急に弾道ミサイルや爆撃機等の敵基地攻撃能力を保有すべきです。

更に本質的には「核を抑止できるものは核しかない」(通常兵器では核の脅威を阻止できない)と言われるように、日本政府は国家・国民を守り抜くべく、核武装を急ぐべきです。

米国の「核の傘」はあてにならない事態に至っており、日本は現実問題として、自主防衛・核武装を迫られています。

日本が「道義国家」として国際的正義を貫くべく、自主防衛・核武装を進めることが、緊張を増すアジアの平和を守るための抑止力ともなるのです。(文責・佐々木勝浩)

「学校週6日制」を学校民営化・生産性向上に繋げよ![HRPニュースファイル546]

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1月15日下村文部科学相は、公立小中高学校で実施中の「学校週5日制」を見直し、土曜日にも授業を行う「学校週6日制」導入の検討を始めたことを明らかにしました。(1/16 産経「学校週6日制、導入検討 文科相『世論の理解ある』」)

この背景には、学力向上を図るため学ぶ内容を増やした新学習指導要領が小学校では2011年度、中学校では12年度から完全実施され、必要な授業コマ数がそれまでより増えたことで、自治体によっては既に土曜授業を行うところが出てきていることも後押しとなっていると考えられます。

実際、東京都では先駆けとして2010年度から月2回まで小中の土曜授業を認め、その後、埼玉県の一部市町が11年度から導入、12年度には福岡県や横浜市・京都府、栃木県他でも始まり、13年度からは大阪市も導入の方針を出しています。

また、学力低下は「学校週5日制(土曜休校)」で授業時間が減少したことが要因とする意見もあり、公立と異なり、私立学校ではそもそも週5日制にはせずに一貫して土曜日も平常授業を行っているところが多くあります(首都圏では6割以上の私立中が土曜授業実施というデータもある)。

そもそも、以前は土曜授業があるのが当たり前でしたので、親の世代としては週6日制に違和感はなく、世論調査でも週6日制実施に賛成が76%という結果も出ており、文科相方針を支持しています。(2/8 産経「学校週6日制 賛成76%、教員増も必要65%」)

ただ、実際に週6日制を実行する上では、教師の勤務時間問題をクリアできるか、増員による人件費増が必要となるコストの問題など、いくつか課題もありますし、そもそも時間増が必ず学力向上につながるのかという疑問も指摘されています。

また、民間塾などは学校がない土曜に授業コマを入れて定着しているところもあり、学力向上を本気で狙うからこそ、学校が生徒を拘束する時間は増やさないでほしいという意見もあり、公立学校の質が現状のままでは授業時間増加は意味がないのではないかという厳しい指摘もあります。

したがって、今回の学校週6日制議論には、単なる時間数の議論だけでなく、そこで行われる教育の質、やはり授業を行う教師の問題を合わせて議論しなければ意味がないでしょう。

もし土曜授業実施に伴い、教員の増員等が必要だとしたら、ただでさえ税金投入の生産性の低さが問題となっている公立学校ですから、しっかりと学力向上や教育的成果が見込めることが求められます。

ただ誠に残念ながら、公立学校の現状の質や教員養成の仕組み、効果測定の数値すらあいまいな教育行政下では、私は普通の教員増で土曜授業を行うより、塾に行かせたほうがはるかに有益と考えますし、むしろどうせ土曜授業をやるならその授業自体に塾など民間の参入を認めるべきと考えます。

実は東京都が土曜授業を認めるきっかけの一つとなった杉並区立和田中学校では、民間からの校長登用を契機に各種改革を行い、土曜授業を「土曜寺子屋」と呼び補習的授業を地域のボランティアや学生で実施したり、平日の夜の時間帯には「夜スペシャル」として民間塾の講師による進学用授業を行い、成果につながっている例があります。

この場合、塾には授業料を支払う仕組みですが、塾と学校の交渉により普通に塾に通うよりは安い料金で行われているようです。

また、土曜日の授業では、企業等の民間参入を許可し、現在の日本の教育に不足している企業家教育や投資教育などの実学教育を行うなど、土曜授業を「学校運営の自由化・民営化」につなげることができると考えます。

幸福実現党は「学校の民営化」を訴えていますが、その一形態として、公立学校の土曜日の塾や企業等への授業委託は、授業の質の飛躍的向上やコスト削減、無能な教員の削減を果たすことができます。

今後、公立学校で土曜授業を検討する際は、このような民間委託も真剣に検討すべきです。

どちらにしても、今回の週6日制議論が、組合や教員、教育委員会側だけの視点での議論ではなく、公立学校の学力向上と経営再建を求める「顧客」、すなわち子供や保護者の視点を最優先に進められることが不可欠です。

幸福実現党は、有権者の皆様方が納めてくださった税金をより効果的に公立学校に使われるよう、教育の質の向上、そのための学校運営民営化・自由化にも積極に取り組んで参ります。(文責・宮城県第4選挙区支部長 村上善昭)

建国記念の日~世界最古の国「神国・日本」の歴史に誇りを持ち、希望の国づくりを![HRPニュースファイル545]

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◆世界で一番古い国、日本

世界に現存する国家で最古の国をご存知でしょうか?

実は、私たちの国、日本国こそが世界で一番古い国です。

2月11日は「建国記念の日」、日本の国は2673年目を迎えます。

西暦2013年は、キリスト教でイエス・キリストを基準としていますが、日本で言えば神武天皇が国を開いたことを基準として「皇紀2673年」となるのです。

◆中国4000年の嘘

しばしば「中国4000年の歴史」と言われますが、実際には、中国共産党政権の歴史は60年しかありません。

中国大陸では、漢民族や満州民族、モンゴル民族がそれぞれに国の興亡を繰り返し、文化的な連続性を持っているとは言えないのです。

また、古代ローマ帝国は栄華を極めた時代が長く続きましたが、それは永遠に続くものではありませんでした。現在の大国アメリカでさえ200年余りの歴史です。

◆日本の歴史は人類の奇跡

日本の国は、神武天皇以来、現在の今上天皇(きんじょうてんのう)まで、万世一系で貫かれ、一貫してその文化伝統が受け継がれている、世界に類のない国家であるのです。

日本が「ものづくり」に長けた素質を持っている一つの理由は、3000年に近い「ものを作る技術」が国家が耐えることなく連綿と受け継がれてきた環境があったからです。

しかし、それは、簡単に国家が続いてきたわけではありません。その時代の私たちの祖先が国を守る努力を怠らなかったからです。

鎌倉時代の元寇や幕末の西欧列強の植民地支配、日露戦争がありました。そして先の大戦では、敗戦という国家が無くなってもおかしくない歴史を経て、戦後経済大国にまで復興を遂げたのです。

「神国・日本」の歴史は「人類史上の奇跡」とも言われています。

◆国家の消滅率は28%以上!

過去200年の間、全世界に210カ国あった国家のうち60カ国(28%)以上が消滅しています。

アジアでは、清、中華民国、満州国、内モンゴル、東トルキスタンなど。ヨーロッパ系ではオーストリア=ハンガリー帝国、ロシア帝国、オスマン帝国、ソ連、東ドイツなど。

そのうち何と51カ国が近隣の国からの侵略によって消滅しています。これが世界の現実なのです。(Liberty web「『日本占領』は、フィクションなのか?」⇒http://www.the-liberty.com/fj/notes/520/

◆国家が滅びる理由

世界の歴史には、海洋国家として貿易で繁栄した日本と良く似た国が2つあります。それは、カルタゴとベネチアです。

紀元前800年代に存在したカルタゴは、ローマ帝国に2度のポエニ戦争で敗れながら、経済・貿易大国として再度繁栄するほどの優秀な国家でした。

しかし、三度目のポエニ戦争でローマに敗れた時、再び繁栄しないようローマはカルタゴ国民を虐殺、または奴隷にしました。

港町は焼き払われ、都市は破壊し尽くされ、国土には雑草一本すら生えないよう塩が撒かれた程です。こうしてカルタゴは消滅したのです。

もう一つ、17世紀ころ、イタリアの北東部にあったベネチア共和国はヨーロッパでも最強と言われ地中海の海上都市として栄えました。

その後、国家の成熟と共に子供の数も減り軍事的にも衰退、18世紀末にナポレオンに戦わずして降伏してしまったのです。

かつて栄華を極めた二つの国家が消滅した共通の理由を、自国の歴史に誇りを失ったことと夢を失ったからであると識者は後世に指摘しています。

◆日本の歴史、伝統に誇りを持ち、希望の国づくりを!

日本は成熟社会、少子化で活力を失い「下山の思想」を推奨するような風潮があります。

しかし、私たち日本国民は、自国の歴史を再度見直し、その日本の国の優秀さを再認識しする必要があります。

「保守主義の父」と呼ばれるエドマンド・バークは、歴史や伝統は私たちの先人達の智恵の結晶であり、長期間に渡って培われて来た社会制度を性急に変革することは、大きな混乱をもたらすとして、フランス革命を批判しました。

バークは「旧来の社会通念や生活規則が除去されるならば、その場合の損失はけだし計り知れぬものがあろう。我々は、その瞬間から自らの行動を律する羅針盤を持たなくなって、自分が目指す港の所在さえも分明には識別できなくなるだろう」(『フランス革命についての省察』,1790)と述べています。

バークは「伝統と切り離された国家は暴走する」ことを予言し、その後の共産主義革命や日本の民主党政権などの伝統的価値観を否定する政府の暴走、迷走を見事に言い当てています。

日本の各政党が保守思想を失った今、幸福実現党は、日本の保守本流の中核を担う政党として、日本の皇室、歴史、宗教、文化、伝統等を大切にし、歴史教育を尊重して参ります。

そして、日本の国旗に盛り込まれた「日の丸」のように、世界を照らす、日本の使命を果たして参ります。

共に、「建国記念の日」を、誇りある日本の歴史を語り継ぎ、希望のある国づくりを心に誓う日として参りましょう!(文責・佐々木勝浩)

アベノミクスは本物か?増税をするための経済政策か?[HRPニュースファイル544]

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◆アベノミクスの本質

自民党・安部政権下において、「金融緩和」「財政政策」「成長戦略」を柱とする経済政策「アベノミクス」が進められています。

「失われた20年」重症で寝た切りの日本経済を復活させるために、まず、貧血状態に「輸血」にあたる「金融緩和」をし、デフレ脱却を図って健康を安定させています。

実際に、日銀に対して金融緩和を強く促すことによって「円安ドル高」に向かい、株価が上昇しており、経済が体温を取り戻しつつあります。

次に、国会において補正予算案が審議されていますが、「リハビリ」をして体力を身につけることにあたる「財政政策」を行おうとしています。

国家が大規模な税金を投入することで、経済を刺激する音頭を取り、景気復活へのエンジンに点火しようとしています。

このように健康と体力を回復させた上で、さらに積極的に新たな活動を展開するための「成長戦略」で、次世代の新産業を育成して、日本の景気を持続的に拡大していく取り組みを目指そうとしています。

合わせて、新産業を生み出すためには「規制緩和」も重要です。

このような経済政策は、幸福実現党が立党当時より提言して来た政策を採択したものであり、国民生活を豊かにするために、与野党を超えて力を合わせていくことを求めたいと思います。

◆アベノミクスの懸念材料

しかし、懸念材料があります。「アベノミクス」の課題として指摘されている点は、金融緩和で金利・物価を高めるインフレ路線になることに成功したとしても、給与や利益が上がらなかった場合、個人の負担が増大し、失速が起きる恐れがあることです。

このような指摘に対して、安倍政権・産業競争力会議の民間議員でもあるローソン社長新浪剛史氏は、65%の若者社員に対して年収ベースで約3%(平均15万円)増やすと発表。率先してアベノミクスに賛同する姿勢を示しました。(2/7 朝日)

日本経済を復活させるために企業家として、気概あふれる英断であり、閣僚からは歓迎の声が上がっていますが、春闘に向けて経団連は「雇用確保が最優先でベースアップの余地はない」と主張しており、他の企業が一斉に追随するような状況に無いようです。

◆消費増税のためのアベノミクス?

ここで問われることは、消費増税のためのアベノミクスであるのか、景気回復のためのアベノミクスであるのか、ということです。

「消費税増税」を判断する「景気条項」として「名目3%」「実質2%」の経済成長率を明記されていますが、本年1月22日に、政府・日銀が共同声明を取りまとめ、「物価上昇率2%」を目標としています。

消費税が増税される2014年4月(5%→8%)、2015年10月(8%→10%)前に、物価上昇2%が実質税負担となるということです。

GDPの60%が個人消費であることを踏まえれば、消費増税で可処分所得(自由に使えるお金)が減れば、消費が萎縮し、景気が腰折れになります。

「減税」こそ、「金融緩和」「財政政策」「成長戦略」と合わせて、景気回復・経済成長に必要不可欠な「4本目の矢」なのです。

「増税」は典型的なデフレ政策で、アベノミクスを根本から崩壊させます。

政府日銀そして財務省は、消費増税のために、景気条項をクリアするためのテクニカルなロジックに陥ることなく、増税をストップし、本物の景気回復を目指すべきです。

◆政治にマネジメントを!

松下幸之助氏が、政治に「経営的視点」が必要であり、日本国を「株式会社」と考えれば、税金は「出資」であり、税金を食い潰すのでは無く、利益を増やし、出資した国民に「配当」を還元することが理想の政治であり、「無税国家」を目指すべきであると提言しました。

単に増税と言うのは、利益を生み出さない会社が延々と融資を受け続けることと同じです。政治にマネジメントが求められています。

安くてシンプルな税制「フラットタックス」を導入したロシア(13%)やブルガリ(10%)などの報告を見ると、節税や脱税への無用な努力が無くなり、自由に使える「可処分所得」が増えることで経済が活況すると共に、企業の誘致や各国からの投資が増えています。

シンプルで低い税制によって、税収が増えています。

幸福実現党は、本物の景気回復に向け、消費増税を中止し、政治にマネジメント・パワーを導入し、無駄な税金を無くし、国富を増大させること目指して参ります。(文責・幸福実現参議院選挙区代表 小川俊介)

薬事法改正で、医療分野における規制緩和を進めよ![HRPニュースファイル543]

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今年に入って、薬事法に関するニュースが続いています。

1月11日、医師の処方箋なしで買える一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売を原則禁止している厚生労働省令は違法だとする最高裁判決が出ました。(1/11 産経「大衆薬のネット販売規制は『違法』 最高裁が上告棄却し国が逆転敗訴」)

「一般医薬品」は副作用リスクの程度によって3つに分類されています。

2009年の改正薬事法では、比較的リスクの高い第1類医薬品以外は、条件を満たせばコンビニでも販売できるようになりましたが、厚生労働省は、比較的リスクの高い第1、第2類医薬品は、「安全のため、対面販売を原則とする」として、省令によってインターネットでの販売を禁止しました。

省令とは、各省の大臣が制定する命令で、法律と同じような効果を持ちます。国会で成立する法律と異なり、情勢に合わせて比較的短時間で改正できる反面、民主的な手続きを経ていないため、あくまでも法律が想定する範囲内での内容に限られます。

これに対して、一般医薬品のネット販売を行っていた会社2社が原告となり、「省令による規制は、憲法で保障された営業の自由を侵害している」として訴訟を起こしました。

ネット販売業者にとって、第1、2類医薬品は一般医薬品の約7割を占め、売り上げの柱でした。実際、ネット販売を禁止されてから、原告の一社「ケンコーコム」の年間売上は5億円も減少したそうです。

この裁判は最高裁まで争われ、「薬事法では、第1、2類のネット販売を禁じておらず、厚生労働省の出した省令は法律が想定する範囲を超えた違法な規制である」という趣旨の司法判断がなされ、事実上、ネット販売が解禁となりました。

この判決確定後、原告の一社「ケンコーコム」の株価は前日比26.6%と上昇。安易な規制が、いかに経済活動の自由を圧迫しているかの好例といえます。

ただし、今回の判決では、営業の自由の侵害などの憲法論までは踏み込んでいません。

あくまでも、厚生労働省の出した省令が法律の意図した範囲を超えていたことが指摘されたため、法律そのものを改正し、一定の規制をかけようという動きが出ています。

今のところは、比較的副作用の少ない第2類の一般医薬品のネット販売は認め、第1類については禁止しようという方向で検討されているようですが、なるべく規制はかけない方向で進めてほしいものです。

ネット販売のリスクがゼロであるとは言えませんが、外出が困難な人や、薬局まで遠い地域に住んでいる人にとってもメリットが大きいものです。また、店舗では買いにくい医薬品の購入など、新たなニーズも掘り起こしています。

例えば、第2類の医薬品には妊娠検査薬も含まれており、これを対面で販売しなくてはいけない合理的理由は見当たりません。

薬局で購入できる風邪薬や鼻炎薬、胃腸薬なども、副作用の程度によって第1類、第2類に分かれていますが、薬局で薬剤師と顔を合わせて購入すれば安全で、ネットで購入すると危険性が高まるとも、一律には言い難いと思われます。

丁寧に副作用の可能性を説明してくれる薬剤師もいると思いますが、ネット業者も、法律に従って画面上で副作用を明記し、薬剤師を配置してメールや電話での問い合わせに対応する体制を整えています。

また、どんな薬であっても一定の副作用リスクはあり、このリスクは薬の販売方法によって減らせるものではありません。

偽造医薬品を販売するような悪徳業者の取り締まりは当然ですが、むやみに販売方法を規制することは、商業活動の自由を阻害し、正しいあり方とはいえません。

また、最近では、国内企業の医療機器製造・販売への参入促進を図るため、政府が規制を緩和する方針を固めたとの報道がありました。(1/31 産経「薬事法改正で規制緩和 政府方針 医療機器、成長戦略へ一歩」)

詳細はこれからですが、規制緩和の動き自体は歓迎すべきと言えるでしょう。

現在、医療機器は、薬事法で製造許可や認証が厳しく規制されています。

医療機器製造の許可は製造所ごとに取得する必要があり、販売・譲渡・賃貸の許可も別途必要です。さらに、心臓ペースメーカー等の高度管理医療機器を販売する場合は、通常の販売許可とは別の許認可が必要です。

また、医療機器の製造販売事業者は一定の経験を積んだ製造販売責任者、品質保持者、安全管理責任者等の責任技術者を配置して、省令で定められた品質保証、安全保障の基準を満たさなくてはならず、こうした複雑な許認可が新規参入を拒んでいます。

医療分野の規制緩和は、人の命がかかっている分、慎重にならざるを得ませんが、時代にそぐわなくなった規制、リスクを過大に評価しすぎてメリットを奪っている規制については、一つ一つ検証し、緩和していくことが必要です。(文責・HS政経塾 小川佳世子)