南アフリカのダーバンで開催されていた気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)は、会期が2日目間延長されるなど、大紛糾の末、閉幕しました。
この会議は地球温暖化の原因とされてきたCO2を国際的に削減していく事を目的としたもので、1997年の京都議定書以来、国際政治においては主要なテーマとなっていました。
今回は京都議定書で最終年と定めている2012年以降のあり方を決める分岐点となる会議となりました。
幸福実現党はマニフェストにおいても、「CO2温暖化原因説は仮説にすぎないため、温室効果ガスの25%削減は行いません」ということを打ち出して来ました。
しかしながら、2009年の民主党政権発足直後、日本の温室効果ガスの削減目標を「1990年比25%減」と明言し、日本の産業界に大きな危機感をもたらしました。
普天間基地の「県内移設」発言と同じく、格好いいことをぶち上げ、これまで関係者が苦労して積み上げてきたものを全てぶち壊す一方、その実現可能性や実現手法、デメリット等については全く何も考えていないという、非常に愚かで無思慮な言動でした。
温室効果ガスの削減目標は、国民生活や日本経済に極めて深刻な影響を及ぼす大問題です。
「1990年比25%削減」という目標は、2007年の排出量は90年より9%増加しているため、07年比に直せば「31%削減」が必要となり、CO2排出量約3分の1削減の負担が産業界と各家庭に重くのしかかります。
ところが、同年11月「クライメートゲート事件」と呼ばれるメール流出事件があり、そもそも「CO2による地球温暖化説」の前提となっていたデータに改ざん(捏造)が加えられていた可能性が高まっています。
「地球温暖化仮説」における「不都合な真実」を隠していたわけです。実際、今の温暖化は、産業化がずっと緩やかだった1850年頃に始まっており、CO2が大量に増えているはずの1940年から1975年までは温度は下がり続けています。
日本のマスコミはほとんど報道しないのですが、欧米のマスコミを中心として、国際社会では大変な騒ぎが起こっていました。
今回の会議で日本は、2013年以降のCO2削減について「自主目標」を掲げる事を訴え、2012年に切れる京都議定書の延長を行わない事を推進しました。言うまでもなく、鳩山氏の国際公約も白紙に戻すという事です。
しかしながら、その理由としては、今後、原子力発電の割合を低下させるために、どうしてもCO2削減の公約をするわけにはいかない、という事が本音であると思われます。
原発を増やせない分を火力で補った場合、30年の温室効果ガス排出量はエネルギー基本計画での想定に比べて1億6600万トン増えます。25%削減の基準年である1990年と比べると、約13%も上積みされる計算となります。
それでも25%削減を目指すなら、火力ではなく再生可能エネルギーの拡大が不可欠となりますが、太陽光発電などはコストが高く、経済界の負担はあまりにも大きくなります。
そのため、産業界からは「このままでは日本での操業はカントリーリスクになる」(鉄鋼業界幹部)、「3~5年で日本から出ることになるだろう」(別の製造業幹部)などと猛反発する声が続出していました。(6/6産経)
COP17では結果として、日本は延長された13年以降の京都議定書体制には参加せず、独自の削減努力を続けることになり、13年からルールに拘束されない空白期間に入ることになります。
結果的に、国益の立場から良い形となりました。産業界も「延長受け入れは生産の大幅な制限を強いられるに等しい。何とか踏みとどまった」と歓迎の声を上げています。(12/10産経)
国際政治のテーマであったCO2削減問題は、幸福実現党が指摘して来たように「科学的な根拠が薄い」ことと「世界的不況」のために、ここに至り、国際政治の表舞台から一旦は退く事になりました。
日本は省エネ技術で既に世界のトップランナーであり、この機会に民主党政権は「25%削減」の公約を撤回すべきです。
そして、この期間に、安全・安心な原子力発電技術を高め、エネルギーの安定供給に務めていくべきです。(文責・政務調査会チーフ 小鮒将人)
[HRPニュースファイル120]COP17:日本の事実上の離脱―民主党政権は「25%削減目標」撤回も決断せよ!
12月 13th, 2011
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