モンゴルが「経済侵略」を強める中国に対して、「独立」の姿勢を見せ始めています。
モンゴルは、あのチンギス・ハーンの末裔の国。
元帝国以降、清の支配下にありましたが、清が崩壊して後、南部の内蒙古(南モンゴル)は中国に組み込まれて「内モンゴル自治区」となり、外蒙古はロシアを後ろ盾にして独立して現在の「モンゴル国」となっています。今回は、そのモンゴル国の話です。
モンゴルは1990年に社会主義国から脱却し、複数政党制を導入して民主化しています。
JBPressに掲載された姫田小夏氏(ジャーナリスト/チャイナ・ビズ・フォーラム代表)執筆による「モンゴルでますます高まる嫌中ムード~『やりたい放題』に資源を獲得し、土地の不法占拠も」(http://p.tl/mNwc)によれば、モンゴルの経済は、2000年以降大幅に拡大し、一人当たりGDPは2004年からの3年間で約2倍に急増しました。
経済成長を支えているのは金、銅、石炭、レアアースなどの豊富な地下資源です。その主要な輸出相手国は中国で、全輸出の実に8割以上を占め(ちなみに日本は2010年で第11位)、2009年の銅と石炭の輸出は実に100%が中国に振り向けられたと言われています。
また、モンゴルへの投資累計額(2010年末)でも、中国が断トツの1位で、後続のカナダ、オランダ、韓国を大きく引き離しています。
さらに、モンゴルでの主要国資本の企業数は、2010年が中国が実に5,303社、それに韓国の1,973社、ロシアの769社、日本の451社が続いているという現状です。
これだけ見ても、モンゴルがどれほど中国の経済力に依存していることがわかります。
しかし、こうした現状をモンゴル国民は決して歓迎しているわけではなく、「モンゴルでは空前の反中ムードが高まっている」と同記事は報告しています。
産業法規を無視するような「やりたい放題」の中国資本、後を絶たない不法入国、衛生観念の欠落、地元女性をほしいままにする素行の悪さ、続々となだれ込んでくる中国人に職を奪われるのではないかという不安。こうした脅威にさらされ、最近のモンゴル人の感情は「穏やかではない」ということです。
そうした国民世論を反映するように、モンゴル政府は今年4月、モンゴルを横断してロシア極東の港湾まで結ぶ、大規模な鉄道網整備計画を打ち出しました。
輸出の75%以上を占める中国市場への依存度低下と経済開発の推進を図る計画の一環で、完成すれば鉄道を介して日本や韓国向けにレアアース(希土類)など、多くの資源が供給され、中国の世界的なレアアース支配に風穴を開けるとみられています。(4/25サンケイビジネスアイ)。
モンゴルのエルベクドルジ大統領も、この鉄道整備について「私達は資源を多くの国に供給することを希望している。それに、一国だけに依存する状態も望んでいない」と発言しています。(10/27News.mn)
明らかに、モンゴルは「中国一国による経済支配」から脱して、欧米や日本を含めた自由主義国との連携を望んでいるのです。
モンゴルは人口約270万人、2010年のGDPが約4000億円で、日本の鳥取県の4分の一程度の経済規模の国家です。
日本が積極的に投資や技術供与、資源の共同開発などを進めれば、その経済的なインパクトは絶大なものとなるはずです。
幸福実現党はマニフェストに、インドやロシア、韓国、オーストラリア、モンゴルなどとの連携強化を掲げ、覇権主義を強める「対中国包囲網」の戦略的構築を目指しています。
中国への経済依存(支配)から「脱中国」を目指し、「独立自尊」を求めるモンゴルの気概を受け止め、日本は今こそ、モンゴルとの経済・政治の戦略的な提携関係を深めていくべきです。
それが日本の安全保障だけでなく、迫りくる中国の覇権主義からモンゴルの国民をも守る道となるはずです。(文責・矢内筆勝)
[HRPニュースファイル115]日本・モンゴルの連携を強化して中国包囲網を!
12月 8th, 2011
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