[HRPニュースファイル067]政府は即刻、「憲法審査会」を実質的に始動させよ!

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10月20日より第179臨時国会が開会し、51日間の政治日程がスタートしました。実質的な審議は来週28日に野田総理大臣が所信表明演説を行い、代表質問を31日から3日間行った上で、まず第3次補正予算案の審議に入り、早期成立を目指すことになります。

それに先立ち、憲法改正案や憲法改正の発議を審議する機関となる衆参の憲法審査会が21日開かれ、会長が選定されました。これにより、憲法改正に向けた議論が始動していくことになります。

「憲法審査会」は、2007年5月国民投票法の成立を受けて、憲法についての総合的な調査を行う「憲法調査会」と、国民投票法を審議する「憲法調査特別委員会」の2つの機関が統合され、2007年8月に設置されたものです。

しかし、「憲法審査会」が設置されてより4年間、民主党は委員名簿の提出に応じなかったため、事実上の休眠状態が続き、国家の根幹となる憲法改正の審議が放置されて来ました。

法的には衆参両院に設置されたはずの「憲法審査会」が、政権与党のサボタージュによって何一つ始動していない「違法状態」が続いて来たことは大問題です。

民主党は、自民党の強行採決に対する抗議として名簿提出に応じないと言っていましたが、実際には、民主党内の改憲派と護憲派との対立で原案をまとめられなかったことが審議拒否の真意であったと言えるでしょう。

今回、自公の要求に応じて、ねじれ国会の審議が円滑に行われるための材料として名簿提出を行いましたが、これまでの民主党の姿勢に鑑みるに、与党としての責務を果たすことは出来ないと言わざるを得ません。

また、実際に審査会が始動したとは言え、「具体的な改憲論議が進むとは言い難い」「当面はこれまでの経緯をおさらいをしてお茶を濁すのではないか」と見られています。

臨時国会も、三次補正や復興財源を巡る攻防が最大の焦点になっており、改憲に向けた熱は与野党ともに乏しいと言えます。民主党幹部も「そう簡単に動く話ではない」と語っており、改憲に向けては消極的な姿勢が鮮明です。(日本経済新聞10/21)

読売新聞社の全国世論調査(9/3~4日実施、面接方式)では、憲法を「改正する方がよい」と答えた人は43%、憲法改正の議論を望む人は計72%となっており、機能しない国会や厳しさを増す国際情勢などを踏まえ、多くの国民が改憲論議を求めていることが明らかになりました。

今こそ、与野党は憲法論議において変革への道筋を明確に示すべきです。

確かに、臨時国会においては、迅速かつ的確に判断しなければならない議案が山積しています。しかし、目先に突き付けられた課題だけに追われていて、本当に国家運営・国家経営が出来るでしょうか。

政治家は、国益を見据え、大所高所の視点カラ、戦略的、長期的、かつ創造的に政治力を発揮しなければなりません。

例えば、科学技術開発の基幹となる防衛産業の育成を視野に入れた「次期主力戦闘機(FX)の選定」や「集団的自衛権」「武器輸出禁止三原則の撤廃」「普天間基地移設問題」「南スーダンへのPKO派遣」における武器の使用制限の見直し等は、それぞれ個別の問題ではありません。

国防費を大幅削減していくアメリカとの同盟のあり方をどうするのか、中国の覇権主義に対して防衛のあり方をどうしていくのか、ということは、国家戦略の根幹を問う重大問題であり、最終的には憲法9条を改正しなければ、この国を守り抜くことはできないことは明らかです。

安全保障体制はすぐに築くことが出来るものではありません。そうであれば、なおさらのこと、国内政治だけを見て、互いに他党の様子見をしている余裕はありません。

憲法審査会にしても、形式的には設置されても、事実上、機能していないのであれば、国会は「国民の生命・安全・財産を守る」という最重要の責務を果たしているとは言えません。

「国難」迫る今、与野党議員は国家運営・国家経営の責任を果たさないのであれば、すぐに国会議員を辞すべきです。

政府は即刻、「憲法審査会」を実質的に始動させ、現代の世界情勢を踏まえた本質的な憲法改正論議をスタートすべきです。(文責・小川俊介)


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