昨日17日付のニューデリー時事によれば、インドのクリシュナ外相は16日、ベトナムの首都ハノイでファム・ビン・ミン外相と会談し、南シナ海でのインド国営企業による油田・ガス開発で合意したということです。
その背景には今年5月末、国連海洋法条約に基づくベトナムの排他的経済水域(EEZ)である大陸棚石油・天然ガス開発鉱区で、ベトナム国営石油会社の探査船が活動中、中国の監視船3隻に妨害・威嚇され、調査用ケーブルを切断された事件を発端とする対立があります。
この事件について、中国外務省は「中国が管轄する海域での正常な海洋取り締まり活動だ。この海域でベトナムが石油・天然ガスの探査活動を行うことは、中国の権益を損なう」と中国の実力行使を正当化しました。
こうした中国の不当な主権侵害行為に対し、ベトナム外務省は「ベトナムの通常の調査活動を妨害する中国側の行為は、重大な主権侵害だ」と非難。「ベトナム海軍は主権、領海保全のために必要ないかなる行動も取る」と強く中国を牽制しました。
しかし、ベトナムは軍事力で中国との間に大きな隔たりがあります。ベトナムが中国の軍事力に対抗し、南シナ海の排他的経済水域を守るためには、対中国で協力できる国が必要になります。
そこで、ベトナムが戦略的に連携した相手国がインドです。インドは核を保有し、地理的には中国の横腹の位置に位置します。ベトナムはインドと油田・ガス開発を共同で行うことにより、インドとの連携を深め、中国を牽制する道を選んだのです。
日本にとって、南シナ海はシーレーンの要衝であり、東シナ海と同様、中国の覇権を許せば、日本のエネルギー供給を断たれ、生命線を握られることになります。
昨年3月、中国高官が米高官に「中国にとって南シナ海は核心的利益をなす」と発言したように、中国はエネルギー資源の豊富な南シナ海への覇権拡大を着々と進めています。
日本としてはインドやベトナム、フィリピン等、南シナ海を侵食する中国を牽制し、中国包囲網を形成していく必要があります。
しかし、民主党政権は南シナ海について全く関心を持っていないのが現状です。野田首相の口からは、シーレーン防衛の方策すら出てきません。ベトナムをはじめとして東南アジアの諸国から日本の信頼は失墜するばかりです。
ベトナム、フィリピン、インドネシア等のASEAN諸国は単独で中国とやりあうことは難しく、各国が力を束ね、日米と結束してこそ、中国と対峙することが初めて可能になります。
日本は中国の南シナ海覇権に対抗すべく、日米同盟を強化すると共に、早急にインドとの同盟の締結やASEAN諸国と連携して、南シナ海の勢力均衡(パワー・オブ・バランス)を築き上げることが求められます。(文責・政務調査会 佐々木勝浩)
9/18[HRPニュースファイル033]南シナ海波高し!中国包囲網を築け!
9月 18th, 2011
本ブログの内容がメールマガジンでも読めます。(※無料です)
本ブログの内容がメールマガジンでも読めます。(※無料です)