◆中国軍機40機超が尖閣上空に接近
[HRPニュースファイル619]で取り上げたように、中国外務省の華春瑩副報道局長が26日の定例記者会見で尖閣諸島を「中国の核心的利益だ」と明言しました。
それを裏付けるかのように23日、尖閣諸島周辺の日本領海内に中国の海洋監視船「海監」8隻が侵入しています。同時に8隻の領海侵犯は初めてのことです。
また、それと連動させて中国は戦闘機40機超を尖閣上空に接近させています。
今回、40機の戦闘機を入れ代わり立ち代り飛来させることでスクランブル発進した航空自衛隊戦闘機パイロットの疲労を狙ったものです。(4/27産経「尖閣に中国軍機が40機超飛来 前代未聞の威嚇 空自パイロットの疲弊狙う」)
その際、中国軍は新型「第4世代戦闘機」Su27とSu30を投入しています。「第4世代戦闘機」は中国が560機に対して日本は300機で、政府高官は「今回の威嚇飛行が続けば、空自は対応できなくなる」との懸念を示しています。(同上)
今後、中国は海洋支配と同様、尖閣諸島の領空侵入も長期戦に持ち込み、徐々に実効支配を進めていくものと見られています。
日本は早急にシフト可能な戦闘機を尖閣対応に回し、合わせて戦闘数を増やす対応を取るべきです。
◆海洋監視体制の強化――「中国海警局」の創設
今回の中国船8隻の領海侵入の背景として、中国が海洋で尖閣諸島への実効支配に向けた新たな管理体制を強化したことが挙げられます。
3月の全国人民代表大会では「国家の海洋権益を守っていく」との強い決意が示されました。
その上で、「中国国家海洋委員会」を設け、尖閣諸島支配に向けた指揮や情報の一本化を図るため、「中央海洋権益工作指導小組」を新設。トップに習近平総書記が就任していることを見ても、尖閣侵攻に向けた強い意気込みが伝わってきます。
もう一つ、中国は国家海洋局を改編、海洋管理体制を統一して権限を強化。それまでバラバラで縦割りの組織であった国家海洋局の監視船、農業省所属の漁業監視部隊、公安省の海上警備部隊などの海洋を管理する組織を統合し、「中国海警局」を新設しています。
「中国海警局」の隻数は統合に伴って450隻となりました。既に海上保安庁の巡視船の隻数を大幅に上回っています。
注目すべきは、海警局に「警察権」が与えられている点です。例えば、尖閣近海で操業する日本漁船に対し、「中国領海で不法操業した」として拿捕し、日本人船員を逮捕して中国本土に移送、拘束ができるようになります。
海警局の公船の一部は軍艦を改良したものもあり、武器を装備しているため、漁船や海保巡視船では対処する手立てはありません。
おまけに、中国海警局はあくまで軍隊ではなく「警察機能」であり、軍艦ではないため、対抗措置として海上自衛隊を出動させることは出来ません。
仮に日本が海上自衛隊を出した場合、中国は「日本が先に軍事行動を起こした」「日本が先に手を出した」と国際社会に弁明の上、海軍軍艦を出して来るでしょう。
この場合、日米安保条約第5条(共同対処宣言)も適用されず、米軍も動けません。中国国内でも人民の反日感情を煽ることもできます。
◆早急な「領海警備法」の制定を!
昨年8月の「改正海上保安庁法」で尖閣諸島で「外国人の不法上陸」などが起きた際、犯人逮捕などの警察権を行使できるようになりました。
しかし、武器装備を持った「中国海警局」の公船を封じるためには、海上保安庁の武器装備を持つ特殊警備隊の巡視船を増やすと共に、「自衛権」を与えるなどして、海上自衛隊の艦船とのスムーズな連携が可能な「領海警備法」の制定を急ぐべきであります。(文責・政務調査会・佐々木勝浩)
中国の尖閣諸島侵攻に向けた海空の新戦略に備えよ![HRPニュースファイル621]
4月 28th, 2013
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