安倍首相は第二次安倍内閣を「危機突破内閣」と名付けました。これまで幸福実現党が打ち出して来た、デフレからの脱却、外交立て直し、震災復興、原発政策の再構築等について、そのまま内閣の政策課題としています。
安倍首相は「安全運転」を心がけているとも言われていますが、現在は経済・金融政策的側面の打ち出しが強く、国防・安全保障についての打ち出しが明確には見えて来ません。
しかし、日本を取り巻く安全保障環境は急を要しており、安倍首相は十分には「国難」の正体についての認識をお持ちではないように見受けられます。
◆「国難」の正体とは何か
今、日本は過去に経験したことのない「国難」、すなわち、国家存亡の危機に直面しています。
それは経済の低迷や国政の混乱といったことがかすむような、「国家そのものが地上から消滅してしまうかもしれない危機」であります。
あえてこの国難に匹敵する危機を挙げるとすれば、幕末でありましょう。
当時、大航海時代以来の西洋列強の帝国主義によって世界の植民地化が進んでいました。
イギリス、フランス、スペイン、アメリカ、ロシア、そうした列強によって、アジア、アフリカ、南米の国々は植民地にされ、人々は収奪され、奴隷にされ、殺されていきました。
そうした西洋列強の侵略から日本を守り、西洋諸国に負けない新しい独立国家をつくろうとしたのが、明治維新であり、その主役となったのが、坂本龍馬や吉田松陰、西郷隆盛、勝海舟といった志士達でした。
現代の日本は、その幕末以上の危機に直面しています。どこからの危機か――一衣帯水の隣国「中国」です。
◆「大中華帝国」の再興を狙う中国
中国は1978年の鄧小平による改革開放路線によって、それまでの社会主義経済を捨て、市場経済体制に移行しました。
その経済成長は目覚ましく、この二十年のGDPの成長率は実に10%前後で、GDPはすでにドイツ、日本を抜いて世界第二位の経済大国になっています。
そして中国はその経済力をバックに、驚異的なスピードで軍事力を強大化させ続け、国防費はすでに日本の防衛費の二倍から三倍となり、アジア最大の軍事大国へと変貌しました。
その目的は何か――それは、かつての「大中華帝国の再興」であり、日本併呑まで視野に入れた、アジアの覇権国家の実現です。
「中華」とは、中国(中華)が世界の中心であり、漢民族以外の異民族は漢民族帝国に膝を屈するものとする思想です。
そこから歴史的な「羈縻(きび)政策(羈は馬の手綱、縻は牛の鼻綱。羈縻とは、手綱・鼻綱で周辺諸国を中国から離反しないように、つなぎ留めておく意味)」や「冊封体制(中国の皇帝が周辺諸国の君主と名目的な君臣関係を結ぶこと)」が生まれました。
「帝国」とは、一人の権力者がその強大な権力によって、自国民のみならず、異民族をも支配する状態を言います。
「覇権」とは、天下に向かい号令をかける権利のこと、あるいはその権利がある状態を指します。
かつて中国史上において、秦、漢、隋、唐、明、清などの王朝が、漢民族居住地域を越えた領域を支配し、アジア全域に影響を及ぼしたように、中国は今、その経済力と軍事力をバックに、再び周辺諸国を支配し、アジアの覇者にならんとの誘惑に駆かられているのです。
◆今こそ、真なる主権国家として立ち上がろう!
私は中国をいたずらに敵視したり、戦争を煽りたいわけでは全くありません。私個人としては、孔子や孟子など多くの思想家を輩出した中国文明には一定の尊敬の念を持っており、中国人の友人も数多くいます。
しかし、ここまで露骨な軍備拡張を行われては、「専守防衛」の立場から考えても、問題視せざるを得ません。
日本もまた国家として、国民と国土を守らなければならないのです。
私達は、そうした中国の「わがままな」拡大主義の前に膝を屈するわけにはいきません。
「自分の国を他国の植民地にはさせない」という、強い意志と気概を持たなければならない時を迎えているのです。
なぜなら、中国は共産党の一党独裁国家であり、マルクスの共産主義思想を核にした唯物論国家です。
その属国となることは、日本がチベットやウイグルと同じ運命をたどる――宗教も、言葉も、歴史も、自由も、思想も、土地も、資源も、全て奪われ、民族全体が奴隷のように扱われ、虐殺され、支配される――ことを意味します。
何よりも今、私たち日本人に求められていることは、自分たちが置かれている状況を理解することです。
つまり、2250年前に始皇帝が興した「秦」にも似た覇権主義の帝国・中国が台頭している現実を直視することです。
私たち日本国民は、このままであれば、十年後、二十年後には日本という国は、中国に呑み込まれて滅びる可能性が極めて高いという事実を知り、今こそ、真なる主権国家として立ち上がるべきであります。(文責・矢内筆勝)
[HRPニュースファイル509]今こそ、真なる主権国家として立ち上がろう!
1月 5th, 2013
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