安倍晋三自民党総裁が、今月26日召集の特別国会で新首相に選出されます。
取り組むべき課題が山積する新内閣ですが、迫りくる中国の軍事的脅威を考える限り、喫緊の課題は、やはり憲法9条の改正でしょう。
「戦争放棄」「戦力不保持」、そして「交戦権の否認」を定めた現行の憲法9条は、日本が国家として生き残るための自衛権の行使を縛るものであり、その改正こそ、新内閣が真っ先に取り組むべき課題でありましょう。
これまで憲法9条の改正が実現できなかったのは、左翼護憲勢力の存在に加えて、改憲を党是としながら長らく放置してきた自由民主党の責任も大きいでしょう。
しかし、共同通信が行ったアンケートによると、今回の衆院選当選者の75%以上が、憲法9条改正派でありました。
いよいよ、憲法9条改正に向けた機運も整ったといえましょう。
ではこれから、どのように改正を進めていけばよいのでしょうか。
これまで憲法改正を阻んできた、もう一つの大きな要因に、憲法96条の存在があります。
憲法改正には「衆参両院で総議員の三分の二以上の賛成」で発議、そして「国民投票で過半数の賛成」ではじめて憲法改正が実現と、法律よりも遥かに高い、手続き上のハードルを課しているのが96条なのです(いわゆる「硬性憲法」)。
ここには「日本人には、永久に自主憲法を持たせまい」という米国占領軍の悪質な意図が込められていますが、そこで今、安倍新政権が進めようとしているのが、憲法9条改正の前の、まず96条の改正なのです。
具体的には、衆参両院での発議要件を、総議員の「三分の二」から「二分の一」へと緩和するという試みです。
この取り組みに対しては「迫りくる国難に対して、あまりに遅々とした歩みである」という批判も耳にしますが、私はそれはそれで、着実な前進であると評価します。
実際、国民の過半数が憲法9条の改正に賛成しつつあるのに、肝心の国会のほうが、選挙制度や政党の離合集散により、衆参両院で同時期に改憲勢力が三分の二を超えるのが難しかったという現状にメスを入れることになるからです。
仮に96条の改正により、衆参両院のそれぞれ過半数の議員の賛成で、国民投票を実施できれば、根強い左翼護憲勢力の反対を押し切っての9条改正の実現も、一気に現実味を帯びてきます。
前述のとおり、幸い、衆議院では改憲勢力が「三分の二」を超えています。
参議院でも、「国際情勢や、時代の変遷に応じて、憲法をもっと柔軟に、法律と同じ基準で改正できるようにしよう」という提案自体は極めて国民常識に叶ったものであり、可決の余地は十分にありましょう。
安倍新首相の胸中には「来年夏の参議院選までは安全運転」という思いがあるかもしれませんが、ここは思い切って、来年1月に召集される通常国会に、憲法96条の改正原案を提出してもらいたいものです。
仮に国会審議が難航しても、夏の参議院選で憲法改正が真正面から議論されることになります。その意義は大きいものがあります。
因みに、大川隆法・幸福実現党名誉総裁による、新・日本国憲法試案第5条は以下のとおりです。
「国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍・海軍・空軍よりなる防衛軍を組織する。また、国内の治安は警察がこれにあたる。」
この条文こそ、今後の憲法9条改正の議論における、北極星のような指針となることでしょう。
いずれにせよ安倍新首相には、憲法9条改正を具体的な政治日程にのせる果断なる取り組みを、心から期待する次第です。(文責・幸福実現党研修局長 加藤文康)
[HRPニュースファイル495]今こそ、憲法改正を具体的な政治日程にのせよ。
12月 22nd, 2012
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