[HRPニュースファイル487] 原発:放射性廃棄物最終処分場問題に答える

本ブログの内容がメールマガジンでも読めます。(※無料です)


幸福実現党は「原発再稼働」「原発推進」を掲げ、衆院選を戦っています。

しかし、原発の危険性を煽る左翼言論やマスコミの影響もあり、「『原発のゴミ(高レベル放射性廃棄物)』をどうするのか?原発を止めれば、核のゴミはこれ以上増えないのに」というご質問、ご批判を受けることがあります。

■「脱原発」でも原発のゴミ処理問題は残る

まず申し上げなければならないことは、「原発のゴミ」(使用済み燃料)は、もう出てしまっていますので、原発を止めても「原発のゴミ」はなくなりません。

つまり、「原発推進派」も「脱原発派」も、これまで原発が供給する電力の恩恵を受けてきた以上、一緒に考えなければならない問題だということです。

■「核燃料サイクル」についての各党の政策比較

「脱原発」「卒原発」「原発ゼロ」を政策に掲げる共産、みんな、日本未来、社民の各党は「核燃料サイクル」(後で説明)については撤退を訴えています。民主、公明は見直し、自民、維新は具体的な言及もありません。(12/8 朝日)

「脱原発」を掲げる各政党は、原発を止め「核燃料サイクル」からも撤退するとして、「原発のゴミ」は、原発内でプールや容器に入れて敷地に保管(乾式貯蔵)するか、地上に数百年保管する「暫定保管」の方針を打ち出しています。(参考・12/8 朝日「宙に浮く核燃再処理」)

地上での放射性物質の保管は、テロや災害の危険性に晒されますが、これに対する対策は示されていません。

■「核燃料サイクル」を採用した「放射性廃棄物」の地層処分

私たち幸福実現党は、科学力・原子力技術を推進する立場です。つまり、核のゴミ処理問題も科学技術の力で解決します。

一言で言えば、原発で出た使用済み燃料を再処理し、高速増殖炉で再利用する「核燃料サイクル」を確立し、放射性物質は安全な処置を施した上で「地層処分」します。

「核燃料サイクル」とは、使用済み燃料を再処理(青森県六ヶ所村)し、ウランとプルトニウムを抽出し燃料として再利用することです。

再利用には2種類あり、1つは、これまでの原発である軽水炉でMOX(混合酸化物)として再使用する「プルサーマル」です。再処理すれば、MOX燃料は、ウランの使用済み燃料の7分の1程度に減ります。

もう1つは「高速増殖炉」で、再処理工場で処理して出来たプルトニウムを燃焼して利用します。

「高速増殖炉」はプルトニウムを減らすことも意図的に増やすことも出来る夢のようなシステムです。

そこから出た放射性廃棄物は、軽水炉の使用済み燃料と比較しても体積も有害度も低減できます。

高速増殖炉は、技術原理は確立していますが、現在は事故で停止している福井にある高速増殖炉「もんじゅ」があります。(参考:山名元, 森本敏他著『それでも日本は原発を止められない』産経新聞出版)

■「地層処分」の安全性

国内の使用済み燃料は年間1000トンで1970年代から現在の累計は23000トンです。

六ヶ所村の再処理工場が動き出せば、最大で年間800トンが処理可能になります。また、処理を待つ使用済み燃料を最長50年仮置く中間貯蔵施設は青森で建設中です。(12/8 朝日)

高速増殖炉から出た放射性廃棄物は、「ガラス固化体」にして処分に適した状態(30年~50年)となるまで六ヶ所村と東海村で管理してから「地層処分」します。

「ガラス固化体」は初期の放射能は高いのですが、ウランとプルトニウムは除かれているので爆発することはありません。

ガラス固化体から1m離れた所に1.5mの厚さのコンクリートがあれば、人が生活しても影響がないレベルまで放射線を下げることが可能です。

「地層処分」とは、地下300m以深の固い岩盤に埋設し封じ込めることです。

もちろんその際には、安全性を確保するため地質調査を行い、水の出る地層、火山、断層を避ける必要があります。

さらに「地層処分」の安全性を高めるためには、放射性廃棄物を地下水から隔離する必要があります。

「ガラス固化体」は、「金属容器」に入れて「粘土」で固めます。これを「固い岩盤」の中に封じ込めるわけですが、これを「多重バリアシステム」と言います。

これによって万が一放射性物質が金属容器から漏れても粘土が吸収して岩盤に到達する速度を遅くすることができます。

ちなみに地層処分を決めた国には、フランス・スウェーデン・フィンランドがあります。(参考) 「高レベル放射性廃棄物の地層処分」処分システム安全研究所長 杤山 修氏⇒http://www.nsra.or.jp/rwdsrc/library/080909ichiya.pdf

■新たな「核変換」という科学技術

地層処分の方向性を追及しながらも、同時に「核変換」という技術を開発していくことが必要です。

「核変換」とは、高廃棄物の放射能物質に中性子を当てて核分裂させ、短い時間で放射能が減っていく別の物質に変える技術です。これが開発できれば、核のゴミ問題は大きく前進します。

■日本は「フクシマ」を乗り越え、世界を支える科学・原発技術大国を目指せ!

日本は、世界で唯一の原子力爆弾を2発も落とされた国ですが、日本の科学者はそれを乗り越え、科学技術立国を目指して努力した結果、世界一の原子力技術を開発するに至りました。

福島の原発事故も、事故を教訓としながらも日本が科学の力で乗り越える気概が必要です。

「原発ゼロ」への進路変更は、これまで積み上げてきた原子力技術を手放すと同時に、優秀な科学者の芽も殺いでしまいます。

日本は、科学技術立国を目指し、100億人になろうとする地球人口を支えるエネルギー技術を開発し、世界をリードしていく使命があるのです。(文責・佐々木勝浩)


本ブログの内容がメールマガジンでも読めます。(※無料です)


コメントする