[HRPニュースファイル335]日本は、朝鮮半島統一後の脅威まで見据え、今から備えを

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12月の大統領選挙に向けて、韓国でも「政治の季節」が始まっています。

与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)元代表が7月10日に出馬を正式表明。同候補は、民主化運動を弾圧しながらも、経済発展の礎を築いた朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の娘で、「初の女性大統領」誕生の期待がかかります。

世論調査で4割以上の支持を集める同候補は、2位の安哲秀(アン・チョルス)ソウル大学教授を引き離しています。

大統領選では、経済問題が最大の焦点となっていますが、日韓関係を中長期的に考える上での材料になる話題も出てきています。

それは「韓国も核兵器保持の能力を持つべきだ」という主張です。

大統領選に出馬を表明している鄭夢準(チョン・モンジュン)FIFA名誉副会長は、北朝鮮の核武装を念頭に「米国に依存した核戦略を超え、我々も独自に核兵器保有の能力を持つべき」と主張しています。(6/28 朝日「『韓国も核保有能力を』大統領選候補の鄭夢準氏」)

支持率1%ほどの鄭氏は現段階で泡沫候補にすぎず、これで韓国がすぐに核武装するという話にはならないでしょう。

しかし実際に韓国は、核兵器製造能力の保持に近づきつつあります。韓国は現在、2014年で満了する米韓原子力協定について、改訂の交渉を行っています。

原発で使用された核燃料から、ウランやプルトニウムを取り出す「再処理」というプロセスがありますが、現在の協定ではアメリカの了承なしに韓国はこれを行えません。

今回の交渉ではアメリカが韓国に再処理を認めるかどうかが焦点で、韓国側には既に再処理の了承を取り付けている日本への対抗心も見え隠れします。

北朝鮮対策という大義は理解できるにしても、韓国が万が一にも核兵器を持つことがあれば、我が国の安全保障にとって大問題になります。

その理由は、韓国が核をちらつかせながら、いわゆる歴史問題や竹島問題をめぐって、日本に対する強力な「脅迫カード」を持つことになるからです。

韓国での日本の「軍事大国化」への恐怖心はいまだに根強く、それが韓国核武装の遠因となる可能性すらあります。最近でも日本の原子力基本法改正を機に、韓国各紙が「日本が核武装に踏み切るのでは」と警告を発しています。(6/22 朝日「韓国、日本の核武装に懸念 原子力基本法改正で」)

また、韓国紙は最近、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は2005年、竹島問題などを理由に日本を「仮想敵国」とするようアメリカに提案していたと報じています。(7/1 中央日報「韓国与党議員「盧武鉉政権、日本を仮想敵国に…米国に提案」」)

分断国家が一つになれば、ナショナリズムが燃え上がることは確実であり、復讐心をもってその矛先を日本に向けることは想像に難くありません。

もし仮に半島が統一された場合には特に、日本は統一朝鮮の「反日ナショナリズム」と対峙しなければなりません。

民主主義国同士は戦争をしないという仮説もありますが、日韓あるいは日本と半島との関係を中長期的に見ると、この仮説への一つの試しになるとも言えましょう。

もっとも、幸福実現党は人類の道徳的な見地から、北朝鮮の圧制に苦しむ人々の解放、拉致被害者の救出を訴えており、自由と民主主義の下、北朝鮮ではなく、韓国によって半島が統一されることを切に望んでいます。

しかし、半島統一が自動的に東アジアに平和をもたらすと安易に考えるのは大間違いで、その時には、日本にとって現在の北朝鮮問題に匹敵するほどの、大きな国防の脅威が発生します。

日本政府は、北朝鮮解体を目指した政策を進めながら、半島が統一された後のシナリオ、北朝鮮の核兵器の扱いについても、早急に様々なシミュレーションに基づく対処を検討すべきです。

『日本武尊の国防原論』(大川隆法著、幸福の科学出版)には、「平和裡に朝鮮半島の統一ができるようになれば、今度は、韓国も核保有国になってしまう可能性があるわけです」「すなわち、日本の周りがすべて核に囲まれた状況になるわけですから、これほど危険なことはありません」とあります。

日本にとっては、朝鮮半島の統一を見据えて、朝鮮半島の非核化を目指すと共に、国防強化への備えが必要になるでしょう。

さらに、韓国内での反日世論の源泉になっている歴史問題について、真実を世界に発信することも忘れてはなりません。

「従軍慰安婦」なるものが存在した証拠はなく、竹島が韓国の不法占拠であることは明らかですが、世界の主要メディアは韓国の立場に同情的になってきています。

米ニューヨーク・タイムズ紙にいたっては、ソウル日本大使館前の慰安婦像設置のニュースを、わざわざ写真付きで報じています。

韓国側は欧米紙に竹島の領有を主張する全面広告を打つなど反日PRに余念がありませんが、日本側は堂々と世界のメディアなどで何が正しいのかを訴える必要があります。

「反日」を共通理念にして、中国が統一国家をその影響下に組み入れた場合、日本は厳しい国難に面することになります。

歴史的に朝鮮半島は日本と中国との勢力の緩衝地帯となっており、朝鮮半島が中国の勢力下にある時には、蒙古・高麗連合軍による「元寇」のように、日本に国防の危機が訪れているからです。

中国は統一国家を手なづけ、在韓米軍を追い出し、北朝鮮と同様、統一国家を日米同盟に対する緩衝地帯として利用するものと予想されます。そうならないためにも、日米の連携が必要になってきます。

また、統一国家において、中国に親和性のある「主体思想(チュチェ思想)」の強い影響下にある北朝鮮人民の洗脳をいかに解くかも大きな課題となるでしょう。

民主主義国同士のつながりを強調することで、統一された朝鮮をしっかりと日米側に取り込み、新たな統一朝鮮が「反日外交」で中国と協調する事態を避けねばなりません。

地政学的に重要な朝鮮半島をめぐって、日本は先の先まで見据えて手を打っていく必要があります。(文責・呉亮錫)


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